スペシャルティコーヒーの『甘さ』とはなにか|砂糖に頼らない自然な甘さを楽しむ

2016.05.23


今回は、スペシャルティコーヒーの甘さについて考えていきます。
スペシャルティコーヒーの『甘さ』は、酸味、フレーバーとともに重要な美味しさを示す指標になります。
では、その『甘さ』とは一体なんなのでしょうか。

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スペシャルティコーヒーの酸味については過去のエントリーをご参照ください。
>> 酸味 講義編
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目次

  • スペシャルティコーヒーの定義から『甘さ』を考える
  • コーヒー豆に含まれる成分から『甘さ』を考える
  • まとめ

スペシャルティコーヒーの定義から『甘さ』を考える

日本スペシャルティコーヒー協会SCAJでは、スペシャルティコーヒーの判定尺度としての『甘さ』について下記のように触れています。

コーヒーのチェリーが収穫された時点で、熟度が良く、且つ熟度がどれほど均一であったかに直接関係する甘さの感覚。甘さとは、焙煎されたコーヒーに含まれる糖分の量が絶対的なものではなく、甘さの印象度を創造する他の成分・要素との結合にも依存する。又、糖分が高くても、甘さを感じることを阻害する要因―辛さのある苦味、刺激的な酸味、強い汚れ、渋み等が有ると甘さを感じにくくなる。via : SCAJ

要約すると、コーヒーの甘さというのは、

  • コーヒーチェリーの熟し具合に大きく依存
  • ひとつの成分由来ではない
  • 成分と要素との繋がりによって感じるもの

と、読み取れます。

熟したコーヒーチェリーから採れる豆には、後に甘さとして感じる成分や要素が多く含まれています。

コーヒー豆に含まれる成分から『甘さ』考える

続いて、コーヒーの甘さを豆に含まれる成分から見てみましょう。以下は、焙煎前後のコーヒー豆の成分をグラフにしたものです。

コーヒー豆の成分2

コーヒー豆の成分1

(グラフは割合の数値。今回は甘さの考察のため、ポリフェノールやカフェインなどの微量成分はその他にまとめています。)

こうしてコーヒー豆中の成分を見てみると、甘さと直接関係があるのは、少糖類(オリゴ糖など)のみです。また、直接的な甘さ成分ではないものの、甘みに繋がりそうな成分は微量成分であるため、グラフのその他の中に含まれます。

グラフより、直接的な甘さ成分である少糖類は、焙煎によって減少していることがわかります。さらに、抽出時のロスもありますので、どれだけ熟したコーヒー豆を使っても、焙煎や抽出が適正でないと、甘さ成分はゼロに等しいほどに無くなってしまいます。

たとえ適正な焙煎や抽出がされたとしても、コーヒーの液体中の濃度は低く、甘さを感じさせるほどのものかは疑問があり、コーヒーのもつ甘さの正体は、はっきりとはわかっていないというのが事実です。

まとめ

定義と成分、二つの軸からコーヒーの甘さについて考えてみました。

まず大前提として、熟したコーヒーチェリーを用いることが、甘さを感じさせるためには不可欠な要素となります。熟したコーヒーチェリーから採れたコーヒー豆には、甘さに繋がる成分や要素が多く含まれるためです。

その上で、焙煎や抽出の過程でどれだけ引き出せるかということがポイントになります。言い換えると、どれだけロスさせずにカップに注げるかということです。

適正な焙煎と抽出を行なう前提であれば、しっかりと熟した良質なコーヒー豆を用いることで、カップに注ぐときに甘さとして感じる成分の量が多くなるのです。つまるところ、【 From seed to Cup 】というスペシャルティコーヒーの定義に立ち返ることになるわけですね。

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次回は、THE COFFEESHOP の甘さの表現についてご紹介していきます。

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