ロースター萩原 ホンジュラス訪問記録| Part.3 いよいよカッピング&農園見学 編

2026.06.26
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3月26日(木)〜4月2日(木)まで、ロースターの萩原がホンジュラスへ産地訪問へ!

マガジンでは訪問の記録として、お邪魔したエクスポーターや農園をご紹介します。

すでに今年2回目の生産地訪問。旅のストーリーを何編かに分けてお届けいたしますので、ぜひ最後までご覧ください!

いよいよカッピングセッション!

まずは朝ごはん

2026年3月28日

いつものEl Dorado Cafeで朝食。今回はTHE COFFEESHOPで焙煎したSanVicenteの豆を持参。なかでもAngelの農園・El TangoのGeishaを本人に渡し、その場で抽出してもらえたのは旅の大きなハイライトのひとつ!「すごく甘さがあって美味しいね」と言ってもらえて、本当に嬉しかったです…!

  • Angel自らTCS焙煎の豆を淹れてくれた

  • 朝はゆっくりとコーヒーブレイク

朝食のあとはSanVicenteのラボでいよいよカッピングがスタート。少し緊張します。まずはSanVicenteのQCカッピング(クオリティコントロールカッピング)に混ぜてもらう形でカリブレーションを行いました。

並んだカップは80点くらいのクオリティのものから、87点のマイクロットまでさまざま。なかでもAngelの農園のMaracaturraは一つだけ飛び抜けて美味しかったです。聞けばこのロットはTim Wendelboeが全部買う契約になっているそう。さすがです。

そのあとは買い付けのためのカップを2セッション。ここからは実際にSHU・HA・RIで買い付けするロットを選んでいきます。この日に並んだカップはすべてMarcalaエリアにあるEl Puenteという農園のもの。THE COFFEESHOPではまだ買っていませんが、SHU・HA・RIの買い付けの中では最もボリュームが大きい生豆になります。Simon曰く「一年で1番大切な買い付けカッピング」だとか。(前日にあげたTCSステッカーをオフィスに貼っててくれて超嬉しい!!!)

  • QCカッピングに参加

  • Angelを中心にカリブレーションを行う

  • 緊張の買い付けカッピング

  • SanVicenteのオフィスにTCSステッカー!!

これまでいくつかの産地でカッピングをしてきたなかでも、SanVicenteのカッピングは味をとりやすい印象がありました。それはサンプル焙煎の技術の高さやカッピング環境の整い具合もあると思いますが、なによりSanVicente側からSHU・HA・RI用にセレクトされたサンプルが並んでいるから、だと思います。

SanVicenteは世界中のバイヤーが集まってくるエクスポーターです。SHU・HA・RIは数多くいるバイヤーのなかの1つに過ぎませんが、それでも買い付けの傾向や好みに合わせてサンプルをオーガナイズしてくれるのは、とてつもない仕事の細かさと正確さだと思います。SanVicenteが世界一のエクスポーターと言われる所以はそんなところにもあるのでしょう。

午後は農園見学へ

午前中にカッピング3セッションを行ったあと、午後は農園巡りの予定でしたがまさかの大雨。この季節にしては異常で、収穫乾燥には非常に良くない影響を与えます。特にナチュラルの精製に打撃が大きいようで、乾燥中に雨が降ると格段に品質が落ちてしまいます。そうなったロットはコマーシャルに混ぜるわけにもいかず、国内向けに焼き豆で販売することになります。

今年は特に天候不良が続いていて収量が少ないと、どの生産者からも話があがりました。歴史的にみても気温の低い年になっており、この日も気温は3℃くらいまで下がりました。ただ、雨が降ってたからまだマシで、晴れてここまで気温が下がると農園が全滅するかもと心配してたくらいだそうです。当然価格にも影響してくるところだと思いますが、産地に実際に訪問させてもらっていることで価格上昇の背景まで肌で知ることができました。

Bertilio Reyes

雨の降りしきる中、まず始めに訪問したのはBertilio Reyesという生産者。1.5haの農地で40年生産を続けており、15年前のCOEでは1位を獲ったことのある、実力のある生産者です。COE優勝をきっかけに、継続して買ってくれるアメリカのロースターができたそうで、そうした取引が続けられているので以降COEには出ていないとのことでした。

あとから甥っ子さんも来てくれました。彼も別の農園をもっており、乾燥棚を共有するなど助け合いながら生産を続けているそうです。彼もAngelが推しているPink Bourbonを植えはじめました。

Bertilio Reyesのコーヒーはカンピオーネ(チャンピオン)という区画のParainema Washedを、去年からSHU・HA・RIで買えるようになったばかり。THE COFFEESHOPではまだ取り扱ったことはありませんが、甥っ子さんの農園も含めて注目していきたいと思います。

  • Bertilio Reyes氏

  • おしゃれな接木の水路。お金がかかっている

  • 自宅に隣接したウエットミル

  • 毛並みのよい犬

Nelson Ramírez

次に会いに行ったのはNelson Ramírez。Santa Barbaraでは比較的大きい規模のコーヒー生産者です。落ち合ったのは彼が所有しているウェットミル。ここでは後継である息子のAlejandroが案内してくれました。所有している農園は3つ、そのすべてのコーヒーをここでプロセッシングしています。

量を多く作っているのはAnaerobicなどの発酵系で、72hなど長めの設定。こうしたロットが欲しいという需要に応えるために作っているといいます。トラディショナルWashedの需要にも応えているとのこと。トラディショナルの場合でも、収穫後1日くらいはチェリーの状態でレストした方が良い場合が多いらしく、こだわりを持ちつつもよりよいコーヒー豆を出荷する意識が伺えました。

ここもひたすら霧に覆われた天候で、雨も弱くなったり激しく降ったりの繰り返し。気温も低く、やはりこの時期にしては珍しいそうです。

  • 霧が立ち込めるウェットミル

  • 数メートル先が見えないほど

  • 農園主の息子・Alejandroによるアテンド

  • 清潔に整った水路

  • チェリーの状態でレストさせる

ボリュームロットにはメカニカルドライヤーも使うようで、ホンジュラスの個人農園では珍しい光景でした。乾燥工程の最初はパティオを使い、最終の水分値を合わせるためだけに使います。60℃くらいの熱風を当て乾燥させていきます。乾燥の最初からこれを使うとあまり品質に良くないようですが、最後にだけ使う分には影響は少ないらしいです。たくさんコーヒーを生産するには乾燥スペースが足らなくなることがよくありますが、これで回転を早める工夫をしているそう。

すぐそばに隣接するドライングベッド用のビニールハウスはとても大きく、今回のツアーで見た中でも最大級の設備。乾燥中のパーチメントも非常に美しい見た目で、クオリティの高さが伺えます。

  • メカニカルドライヤーが稼働中

  • 暗くなってからも熱心に説明してくれる

  • 美しく揃ったパーチメント

  • はしゃぐAngel

気候問題だけではない|農園に足を運んでわかる課題

Nelsonは、中米で深刻になっている〈ピッカー不足問題〉についても語ってくれました。今回様々な農園にお邪魔しましたが、どこへ行っても耳にする話です。ピッカーとはコーヒーのチェリー収穫を担当する労働者のこと。ピッカーが不足すると、せっかく品質の良いコーヒーチェリーが実っても、

・収穫期に人手が足りず収穫が追いつかない

・過熟のチェリーが残ってしまい後々で悪影響を及ぼす

などなど、課題が大きくなっているそうです。

そもそもなぜピッカーが足りなくなってしまうのかというと、

・稼ぎが少なく安定しない

・不法移民してでもアメリカにいった方が多くの収入を得られ、送金して家族を養える

など、ピッカーの雇用主である農園の側にも問題があるとNelsonは話してくれました。ただピッカーが来ないと嘆くのではなく、ピッカーが働きやすい環境を作る必要があり、その環境を整えられるのは農園主だけです。農園の管理が行き届いていると、収量が多く生産性が高くなり、ピッカーさんも稼げるので集まりやすいという、いい循環を作ることが大切だと彼は言います。

実際、Nelsonの農園では専属のシェフを雇ってピッカーさんたちのご飯の用意もしているそう。ピッカーが払うのは食材費くらいで一食1.2ドルほど。みんなで食べれるダイニングも作りたいのだと話してくれました。(福利厚生!)

何年も続くアメリカへの不法移民問題と、2020年にはコロナ禍で従業員激減。そうした経験からピッカーさんの労働環境に発想が向かったそうです。やはり大きい農園を持って事業を発展させている人は一味違うなという印象を持ちました。

聞けばNelsonとAngelは大学の同期で、農業技師としての勉強を共にしたのだとか。ホンジュラスのスペシャルティコーヒービジネスを担ってきた盟友なんだと感じます。

  • いろいろな話をしてくれたNelson

  • Angelとは学生時代からの盟友

そして、案内してくれた息子のAlejandroも非常に優秀。まだ10代ながらSanVicenteのラボに足繁く通ってカッピングの勉強をし、英語を使ってコミュニケーションもとれます。若くしてこの大きな農園を引き継いでいく覚悟を感じました。これから先の発展にもとても期待がもてる生産者です。

次世代を背負うAlejandro

すっかり暗くなってSanVicenteのラボに戻ると、まだスタッフが稼働していました。AngelやBenjamin、Arielもそうですが、みんな本当によく働いています。

収穫期にあたるこのシーズンは毎日大量のコーヒーがドライミルに届き、その全てをサンプルローストしてQC、そして世界中から来るバイヤーをアテンドしたりなど…。年間で4,000マイクロロットを取り扱っていると聞きましたが、実際はその何倍、何十倍ものサンプルと向き合っています。収穫期が落ち着く6〜7月くらいまで、まともな休みはなさそうです。

  • サンプルのソーティングにも余念がない

  • 優秀なSanVicenteのQCチーム

次回に続きます!

カッピングに参加できたことはもちろんですが、ホンジュラスのコーヒー生産を牽引してきた世代、それを繋いでいく若い世代の話を聞け、充実した1日になりました。環境問題や労働環境の問題は、実際に足を運んでみないとなかなかわからないもの。「持続可能なコーヒー生産」という言葉の意味する多様な側面を感じられました。

次回もカッピングの様子や農園の様子をお届けします!

  • THE・ホンジュラスランチ!

    肉、バナナチップス、チーズ、豆のペースト、野菜

  • サーモンのフライ、ヨーグルトソース、バナナチップス、ピラフ、野菜

WRITER

Daito Hagiwara

THE COFFEESHOPロースター

THE COFFEESHOPにて取り扱うすべてのコーヒー豆の仕入れと焙煎・クオリティコントロールを担当。日々焙煎の研究とコーヒー豆の品質チェックを行う。2024年 Next up Roasting Championship優勝。2025年 焙煎競技会 ROAR OF THE ROAST 2025 優勝

毎週木曜日20:00〜Instagram、YouTube、Xスペースでライブ配信中!

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