プロが教える 飲むべきコーヒー豆 3選|品種で変わる スペシャルティコーヒーの楽しみ方

2025.01.03
SHERE

多種多様な味わいの違いを楽しめるスペシャルティコーヒー。

生産国や生産地域のみならず、標高や精製方法、品種などのトレーサビリティがしっかりしているため、逆に情報が多すぎて、豆を選ぶときに何をみればいいのか、少し戸惑ってしまいますよね。

今回は特にスペシャルティコーヒー初心者の方に向けて、まず味わってみてほしいおすすめの豆を3種類、ピックアップにてお伝えいたします。

味わいの特徴など、わかりやすく解説していきます。

コーヒー豆の選び方|なにで味が決まるのか

今までのたくさんのマガジンの中で、スペシャルティコーヒーの楽しみ方について触れてきました。

カップコメントによる味の具体的な表現や、コーヒーの抽出レシピ、酸味や甘さといった観点などからご紹介していましたが、そもそもコーヒーの味わいは何によってきまるのでしょうか?

答えは<栽培から1杯のコーヒーになるまでのすべて>です。

「答えになってない!」と言われてしまうかもしれませんが、事実そうなのです。

わかりやすいところでいうと、まずは栽培環境が大切。

標高・降水量・日当たり・土壌・周囲の植物など、ありとあらゆる環境要因によってコーヒー豆の成分に違いが生まれ、それが味わいの違いに直結します。

また、コーヒー豆のなるコーヒーノキは植物なので、品種の違いも重要。

そして、コーヒーチェリーから種子を取り出す工程である精製(生産処理)も、味わいに大きく影響する部分。

こうして並べてみると、確認すべき情報が多すぎて、なにから選べばいいのか難しくなってしまいましたね。

そこで今回は、「これからスペシャルティコーヒーを始めてみたい」、「フルーティなコーヒーっていうのがあるらしいけどよくわからない」というビギナーに向けて、まず最初に飲んでみて欲しいコーヒーのキーワードを3つご紹介します。小難しい情報は一旦置いておいて、どれもコーヒー屋さんで豆を選ぶときに探してみてほしいコーヒーたちです。具体的に次項で確認していきましょう!

プロがおすすめするコーヒー豆1,エチオピア|独自のテロワールと味わい

コーヒーを飲む方なら一度は耳にしたことがあるであろう『エチオピア』。

ブラジルと肩を並べるコーヒー大国であり、人気生産地の一つです。

エチオピアのコーヒー豆は独自のテロワールがあり、ここからコーヒーにハマる人が多いと言っても過言ではありません。

コーヒーを語る上で避けては通れないエチオピア産のコーヒー豆に関して簡単に解説していきます。

  • 真っ赤なコーヒーチェリー。

    味の個性を引き出す完熟したベリーにするには寒暖差も重要。

  • 標高の高い山脈地域に多いエチオピアのコーヒー農園。

    朝晩の寒暖差や傾斜を活かした方法で栽培している。

  • 小規模農園が多いエチオピアでは、精製所にコーヒーチェリーを持ち込むことも多い。

エチオピアのコーヒー豆|味の特徴とは

ナチュラルだとベリーのような酸味と滑らかな口当たり、ウォッシュドのフローラルなフレーバーと透明感は、他の生産国では代えが効かない、特別なテロワールです。

このテロワールは高い標高からくる朝晩の寒暖差や、山脈の傾斜を活かした植樹、乾季と雨季のメリハリや季節風の影響が大きいとされています。

エチオピアの産地表記でよく目にする、イルガチェフェやグジ、シダモなどはエチオピアの県の名前で、品種とは別枠になりますが、この産地ごとにもテロワールがはっきり分かれているのも特徴の一つ。

コーヒー初心者の方にも味の違いがわかりやすく、最初の1杯としてうってつけだと個人的に感じています。

また、コーヒーノキの1種(アラビカ種)の原産地はエチオピアとされていて、そこから品種改良や突然変異が起こり、今日の様々なコーヒー豆の品種が誕生しています。

プロがおすすめするコーヒー豆2,ゲイシャ|コーヒーの最高級品種のひとつ 味の特徴とは

コーヒーのゲイシャ種。聞き馴染みの多い方もいらっしゃると思います。

そもそもゲイシャ種はアラビカ種に属する品種の1つで、アラビカ種からの突然変異によって生まれたとされ、エチオピアのゲシャ地域に由来して名付けられました。

栽培環境の適応が難しかったり、収穫量の問題から敬遠さる農園の方もいらっしゃいましたが、2004年のパナマで開催された品評会にて過去最高金額で落札されて以降大きな話題となり、近年ではパナマなどの有名産地から、ペルーやコロンビアの小規模農園まで幅広く栽培されています。

コーヒーノキの花

・ゲイシャ種|味の特徴とは

品種の違いによる味わいの違いを一番感じやすいコーヒーだと思います。

大きな特徴はゲイシャフレーバーと言われる香りと甘さです。

ジャスミンのような華やかさと、花の蜜を思わせる繊細な甘さ、軽やかな口当たりが特徴的で、浅煎りで仕上がることが多く、コーヒー通の方にはもちろん、今までコーヒーが苦手だった方にもおすすめしたい品種です。

また、クオリティーの高い豆には必須の『クリーンカップ』も優れている豆が多く、高品質なコーヒー豆の代表格的な存在として位置付けられています。

プロがおすすめするコーヒー豆3,パカマラ|エルサルバドルが誇る名品種 味の特徴は

最後にご紹介したいのは、エルサルバドルが誇るコーヒーの品種〈パカマラ種〉です。

マラゴシペとパカスの交配種で、他の品種に比べて大きく、扁平で丸みがあることが特徴的。パッと豆を見てすぐに品種を判断できます。

甘さがしっかりあるコーヒー豆が多く、前述のゲイシャと並んで品種による味わいの特徴が明確に現れやすい品種の代表格です。

  • 乾燥中のコーヒーチェリー。

    チェリーの段階で食べても、パカマラ種は甘さや味の濃さが段違いだそう。

  • 左がブルボン、右がパカマラのパーチメント。

    粒が大きいのが一目でわかる。

・パカマラ種|味の特徴とは

ナチュラルだとグレープやレーズンなどの紫系の華やかさ、ウォッシュドだとアップルなどの爽やかな甘さを感じるコーヒー豆が多いです。

いずれも角がなく丸みを帯びたきれいな酸味で、しっかりとした甘さを感じることが特徴的。

豆が大粒なので、見た目からすると大味をイメージされる方もいると思いますが、繊細なフレーバーと甘さが両立している素晴らしい品種です。

THE COFFEESHOPのロースター:萩原イチオシの品種で、現地買付けでも多数のパカマラ種を購入しています。

特にコーヒー本来の甘さを感じていただきやすいと思うので、『No Sugar, but sweet.』というお店のコンセプトを一番わかっていただける品種の一つ。萩原が焙煎するパカマラ種をぜひ一度試してみてください!

THE COFFEESHOP|販売中のコーヒー豆でおすすめはこちら

ここまでおすすめの2品種と、愛好家の多いエチオピアのコーヒーに関してまとめてきました。

現在、THE COFFEESHOPで販売中のコーヒー豆の中で、品種・産地由来のテロワールが感じやすいものはこちらです。

  • Ethiopia / Shantawene Natural(エチオピア / シャンタウェネ・ナチュラル)

  • Colombia / Javier Macias Geisha Natural(コロンビア / ハビエル・マシアス・ゲイシャ・ナチュラル)

  • El Salvador / San Andres Pacas Honey(エルサルバドル / サン・アンドレス・パカス・ハニー)

冒頭にお伝えしたとおり、品質の高いスペシャルティコーヒーほど多くの情報が添えられており、かえって選ぶのが難しくなりがち。ですが、ここに挙げさせていただいた3つのキーワードが書かれたコーヒーは、スペシャルティコーヒーらしいフルーティさやユニークさを味わえるものが多いはずです。

まずはこれらのコーヒーを選んでみて、味の違いを感じて、より幅広くコーヒーを楽しむきっかけになれば嬉しいです!

WRITER

Mayuka Jimbo

THE COFFEESHOPバリスタ・ストアサブマネージャー。

富ヶ谷のロースタリーROAST WORKSにてドリンクを提供。フードペアリング担当。レシピの改善や、抽出技術の向上に日々取り組んでいる。

毎週日曜8:45〜はInstagramとYouTubeで15分間のライブ配信中!

PICK UP ITEM

関連記事