コーヒーの苦味について考える|元来の苦さ・焙煎による苦さ・カフェインとの関係など

2019.09.05


スペシャルティコーヒーに限らず、コーヒーを楽しむにあたり、必ず付いて回る『苦味』。苦いコーヒーのが好きとか嫌いとか、苦いからカフェインが多いとか少ないとか、常にセットで話題に上がるものですが、実はこれ、かなり奥深い要素なのです。今回は、コーヒーの『苦味』について、わかりやすく解説していきます。

目次

コーヒーの苦味とは

コーヒーの苦味とは、一体なんなのか?について話す前に、まずはコーヒーの味やフレーバーの評価について、おさらいしていきます。

前回、フルーティーなコーヒーってなに?という記事でも書きましたが、ロースター(焙煎人)やバリスタがコーヒーの味についてコメントする場合、共通用語として『フレーバーホイール』というものにある単語が用いられます。

フレーバーホイールscaa

↑ こちらがフレーバーホイール。この中に、甘さであったり酸味であったり、コーヒーの味を表現するときの単語が書かれています。

しかしながら、ここに『苦味』という項目はありません。つまり、フレーバーの評価軸に、苦味というものはない、ということになります。

それでも私たちは、コーヒーの銘柄や焙煎度合いによって、異なる苦味を感じており、苦いとか苦くないとか、言葉にすることができます。

では、コーヒーの苦味。どう捉え、どう表現していくのがよいのでしょうか。苦味そのものにフォーカスしてみましょう。

生豆が持つ苦味とは|苦いほどカフェインが多いはホント?

実はコーヒーには、大きく2つの苦味があります。

まず1つ目は、生豆に元々含まれている苦味です。

カフェインやクロロゲン酸類。コーヒーの生豆に含まれるこれらの成分ですが、人が口にした際、味覚において苦さとして感じると言われています。

ですが、実際に生豆をかじってみると(真似しないでくださいね)、苦味というか、植物的な青臭さや渋さの方が強く感じられます。

その感覚通りと言ってよいかはわかりませんが、苦味成分があるとはいえ、その量は微々たるもの。

(昔ながらの噂で、苦いコーヒーほどカフェインが多いというものがありますが、カフェインの量の違いを、人間の舌で感じるのは無理そうです。)

しかし無視できないのは、生豆に含まれるこの微量な成分、コーヒーの種類や産地によって、成分の種類も量も異なります。コーヒーは植物なので、厳密には豆一つ一つでも異なります。

焙煎が深いほどコーヒーは苦くなる|焼くことで生まれる苦味とは

2つ目の苦味は、コーヒー豆を焙煎することで生じる苦味。クロロゲン酸類が反応して出来たものや、超微量の糖やアミノ酸が焼かれて出来たメラノイジン(焦げ)の苦味です。

この2つ目の苦味は、焙煎を深くすればするほど、その成分が増えていくため、苦さも増していきます。焙煎が深い豆ほど、単調な苦味が強くなり、酸味やフレーバーを感じにくいものになっていきます。

コモディティコーヒーと呼ばれるグレードの豆が深煎りなのは、この苦味を強く出すためです。

コモディティコーヒーは、もともと持っている酸味やフレーバーなどの要素が少なかったり(1つ目の苦味も少ない)、ネガティブな要素であったりするため、浅煎りでは出来上がりのコーヒー味が、弱々しく悪い印象になってしまうことが多いです。そこで、焙煎を深くすることで苦味を強くし、『コーヒーの味』を作り出しているわけですね。

↑ 焙煎度合いで苦さも異なる。左:浅煎り 右:深煎り

ちなみに、焙煎を深めれば深めるほど、先ほどの1つ目の苦味は、化合もしくは分解して少なくなっていきます。

コーヒーの苦味に対する研究は、未だ突き詰めてデータ化されているものがないのですが、ロースターとしての感覚では、2つの苦味が共存出来るのは、中煎り〜中深煎りくらいまで。

深煎りの先まで焼いてしまうと、単調な苦味、つまり2つ目の苦味の方が強くなり、1つ目の方は感じにくくなります。

スペシャルティコーヒーとしての苦味

スペシャルティコーヒーの場合、2つの苦味をどちらも楽しむことが出来ます。

生豆の状態で、酸味やフレーバー、甘さなど、多くのポテンシャルを持っているスペシャルティコーヒーは、浅煎り〜中煎り程度で焙煎されることが多く、そのため生豆時にある苦味と、焙煎することで生じる苦味を、うまく共存させることが可能なのです。

とはいえ、やっぱり苦いコーヒーが好きなんだよね。という方も多くいらっしゃいますので、THE COFFEESHOP では、深煎りのブレンドコーヒーもご用意しています。

→ 深煎りコーヒー豆|ダークミックス 販売ページへ

これも、スペシャルティコーヒーだからこそ出来るものなのですが、深煎りだからといって、決して単調で苦いコーヒーではありません。ダークチョコレートやビターキャラメルのような甘さ、そしてグレープフルーツのようなほのかなフルーツ感を感じるコーヒーに仕上がっています。

まとめ

コーヒーの苦さですが、一口に苦味と言ってもその種類は大きく2つ、細かくすれば無数の成分から成り立っているということ、おわかりいただけたでしょうか。

次回は焙煎することで生じる苦味について、もう少し迫ってみたいと思います。お楽しみに!


続編はこちら
→ コーヒーの苦味とは|焙煎によって苦さはどう変わるのか

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