コーヒーの温度は何度が美味しい?飲む温度で変わるコーヒーの味検証(カッピング編)
スペシャルティコーヒーは、飲むときの温度によっても様々な表情を見せてくれます。今回の検証では、何度で飲むのがもっとも美味しいのか。淹れたてからの継時変化を、温度とフレーバーコメントでお伝えしていきます。
検証の目的と方法
今回の検証ですが、『冷めても美味しい』という、スペシャルティコーヒーのポジティブな特徴についてお伝えしたいというのが目的になります。
『冷めても美味しい』と一言にいうのは簡単ですが、実際のところどうなのか。実際に淹れたての熱々状態から冷めていく過程で、どのように味やフレーバーが変化していくのかを、THE COFFEESHOP ブリュワー黒田のコメントとともにお届けしていきます。
カッピング準備|コーヒー豆は3種類
今回検証で用いたコーヒー豆は以下の3種類です。
▼エチオピア/シャキソ・ハニー
フローラルで、はちみつやピーチ、シトラス、紅茶のような風味。
滑らかな質感で、蜜のような甘さが長く続く、エチオピアのハニープロセスです。
▼インド/カラディカン
ワイニーでホワイトグレープやアーモンド、ベリーの風味。
とろみのある質感で、きび糖のような甘さがある、インドのナチュラルプロセスです。
▼ブラジル/ファゼンダ カシャンブ
カシューナッツやチョコレート、ストーンフルーツのフレーバー。
クリーミィな質感で甘さの余韻が長く続く、ブラジルのパルプトナチュラルです。
コーヒーの温度と美味しさの継時変化
カッピングの準備が整ったところで、温度の変化とフレーバーの変化を見ていきましょう。お湯投入から10分後・20分後・30分後の3点でフレーバーコメントをつけていきました。
コーヒーの温度はどう変化したか
まずはお湯投入から10分が経過したタイミングからフレーバーの確認をしていきましたが、この時のコーヒーの温度は64度でした。
カッピング準備開始から、30分経過後までの温度変化詳細は以下の通りです。この時の室温は約22℃。お湯の投入から30分経過で、約半分の温度にまで冷めていました。
お湯投入時:89.5℃
・5分後:75.0℃
・10分後:64.0℃(フレーバーコメント1)
・15分後:57.1℃
・20分後:51.5℃(フレーバーコメント2)
・25分後:46.5℃
・30分後:43.8℃(フレーバーコメント3)
10分後・20分後・30分後の3点を飲んでみた感想(温度についての)ですが、10分後は熱々だけど美味しく飲み始めることができる温度。20分後は適温で飲みやすい温度。30分後は冷めていてがぶ飲み可能な温度といった感じです(個人的な体感です)。
コーヒーの味とフレーバーの変化は
コーヒーの味とフレーバーは、温度が下がるにつれてどのように変化していったか、フレーバーコメントは以下の通りです。
▼エチオピア/シャキソ・ハニー
10分後:64.0℃
アップル、マスカット、フローラルのフレーバーに、シトリックな酸味。
香り立ちがよく、華やかな印象。
20分後:51.5℃
ベルガモットティーのようなフレーバー。
ティーライクな印象で、後味にオレンジの風味が残る。
30分後:43.8℃
ハニーやストーンフルーツのような甘さを強く感じる。
熱いうちは華やかな印象が強く、冷めていくにつれて心地よい甘さが目立ってくるという変化でした。
▼インド/カラディカン
10分後:64.0℃
スイート感が強く、ベリー、アプリコットのようなフレーバー。
質感はスムースで、ストーンフルーツ系の爽やかな酸味がある。
20分後:51.5℃
ミルクチョコやカカオ、アーモンドのような風味。
ややワイニーで、ハーブのような香りもある。
30分後:43.8℃
黒糖やカラメルのような深みのある甘さが印象的。
アフターテイストが長く続く。
熱いうちはフルーツ系の爽やかな印象でしたが、温度低下とともにミルクチョコのような風味に変化し、深みのある甘さを強く感じるようになっていくという変化でした。
▼ブラジル/ファゼンダ カシャンブ
10分後:64.0℃
カシューナッツ、ミルクチョコ、カカオニブのようなフレーバー。
ホワイトグレープのような爽やかな酸味と、かすかにブルーベリーの風味。
20分後:51.5℃
シトラス、グレープフルーツピールのようなすっきりとした風味。
ヘーゼルナッツのような甘みのあるナッツ感がある。
30分後:43.8℃
ミルクチョコ、きび糖のような風味。
質感はスムース、穀物のような甘さが残る。
こちらも冷めていくにつれ、爽やかな印象から、甘みのあるフレーバーを強く感じるようになるという変化でした。甘さの質は、ダイレクトなものからマイルドなものへと変化していました。
まとめ|美味しいコーヒーの温度条件とは
スペシャルティコーヒーの温度変化による味の変化ですが、総じて温度が高いときには、香り(フレーバー)やフルーツ感のある明るい酸味の印象が強く、温度が低くなるにつれて甘さの印象が強くなるという傾向でした。
ロースター萩原コメント:
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温度が低いときにネガティブな要素がでないという点も、スペシャルティコーヒーの品質において重要なことであり、品質が良い豆でなおかつうまく焙煎できている豆を判断する大事な要因となります。
特に良質な酸味を引き出すことと、できる限りクリーンカップ(雑味がないクリーンな味のコーヒー)に仕上げるということが、美味しいスペシャルティコーヒーを提供するお店の役割と考えます。
皆さんもスペシャルティコーヒーを飲む際はぜひ、温度ともに変わっていく酸味や甘さ、フレーバーを感じながら楽しんでくださいね!
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