【あなたのお好みは?】自分に合うコーヒー豆の見つけ方|失敗しないために大切な3つのポイント

2025.02.04
SHERE

ご自宅でコーヒーを淹れる方も、カフェを巡ってコーヒーを飲むことが好きな方も、一度は『失敗した!』と思う経験があるのではないでしょうか?

ここで言う失敗は、自分の好みの味ではなかったということで、『豆購入の際に聞いていた説明と雰囲気が違う…』、『もっとこういうコーヒーが飲みたかった…』などなど。

できればお金を出してまで失敗したとは思いたくありませんし、もちろん私たちお店側の人間としても思わせたくありません。

ではどのようにコーヒーを選べば、より自分好みの選択ができるのか、今回は失敗しないためのポイントを3つまとめてみました。

豆選びで失敗しないために|まずは自分が好きな味をざっくり把握する

普段コーヒーを飲まれる方であれば、『自分の好みの味わい』を把握していることが多いと思います。

ただ、味の感じ方は人それぞれ。できれば〈喫茶店で出てくるような〉などの曖昧な印象の表現ではなく、より明確な味の表現方法を知っておくと便利です。

コーヒーは産地だけではなく、焙煎度合いや精製処理(生産処理)、品種などにより、それぞれ個性を持っています。

この個性を言葉で表現しようとするとなかなか難しく、それ相応の訓練も必要なため気軽には使いにくいと思います。

そんな中で、誰でも味の傾向がはっきりわかる基準となるのが、『苦い・酸っぱい』です。

まずはご自身がコーヒーの苦味が好きなのか、酸味が好きなのかを把握していただき、次項から解説する3つポイントを合わせながら、好みを言語化していきましょう!

ポイント1|浅煎り?深煎り? 焙煎度合いで変わる「酸味」と「苦み」

コーヒーの味わいで苦味と酸味どちらが好みか把握すると、まずは選ぶべき焙煎度合いが決定します。

ざっくり大まかに言うと、〈苦味が好み=深煎りが好み〉・〈酸味が好み=浅煎りが好み〉ということ。

この基準を軸に、『苦味はあってほしいけど苦すぎるのは苦手』ならば中煎り後半〜深煎り、『極力苦味がなく鮮やかで酸味のある味がいい』となれば、浅煎り〜中煎り前半の焙煎度合いなど、細かく好みを分析していきましょう。

少しずつ好みを分析していくと、より好みの味に対する理解が深まり、失敗せずに選びやすくなると思います。

ただ、『このコーヒーが苦味よりなのか酸味よりなのかわからない』という場合もあると思うので、その際は次項の飲み比べで好みを探っていくことがおすすめです。

ポイント2|焙煎度合い別で飲み比べてみよう

自分の好きなコーヒーの味はわかるけど、これは深煎りなのか?浅煎りなのか?

好みの焙煎度合いの言語化で迷った時は、飲み比べてみることが確実です。

その際に一つ注意していただきたいのは、同じお店のコーヒー豆で飲み比べるということ。

複数のお店で浅煎り・深煎りを試すと、各店舗によって焙煎のアプローチが異なるため、味の傾向が異なり基準を定めにくくなってしまいます。

可能であれば、浅煎り〜深煎りまで幅広く扱う店舗へ行き、飲み比べてみてください。

一度きちんと比べてみると、浅煎りなのか深煎りなのか、はたまたその中間の中煎りなのか、より好みの味わいが判断できると思います。

もちろん購入時には複数店舗で豆を選ぶこともあり、その際に上記でお伝えした焙煎アプローチで味が異なるという懸念もあるかもしれません。

しかし苦味と酸味の傾向としては大きな解離はないので、あくまでも〈自分の好みを知る〉という段階では、同じお店の焙煎度合い別で飲み比べ基準を作ってみてください。

ポイント3|違いの決め手は産地よりも大事なキーワード「生産処理」(精製方法)にあり!

どのような過程でコーヒーの果肉から種子を取り出すのか、この過程を指すのが「生産処理」です。

コーヒー豆は果肉内部にある種子を取り出し、乾燥させ、焙煎して初めて飲むことができますが、この生産処理の仕方でコーヒー豆の味わいは異なります。

生産処理は【ウォッシュド・ナチュラル・特殊発酵】の大きく3つに分けられ、同じ生産地であっても生産処理が異なると、出来上がるコーヒーの味が大きく変わっていきます。

簡単に味の違いを見ていきましょう。

■ウォッシュド

果肉を水で洗い種子を取り出す方法です。

味わいの傾向は、焙煎度合い問わずすっきりとした軽めの印象に仕上がります。

浅煎りの場合、酸味のキレを感じる爽やかなコーヒーが多いです。

豆の真ん中(センターカット)にシルバースキンという薄皮のようなものが残るため、見た目の判断がつきやすいのも特徴です。

■ナチュラル

果肉がついたまま天日干しなどで発酵させる生産処理です。

こちらも焙煎度合い問わず、香りが甘やかで華やかさのある味わいに仕上がります。

ウォッシュドの爽やかな酸味に比べ、ナチュラルは角のない丸みを帯びた印象に感じることが多いです。

全体的に味のボリュームを強く感じ、しっかりとした味が好みの方におすすめです。

■特殊発酵

とにかく派手で、酸味や香りに特徴的で明確な印象があるコーヒーです。

発酵方法や過程の添加にもよりますが、酸味に強度を感じ、浅煎り〜中煎りで仕上げるお店が多いです。

日々新しい発酵方法が試され、確立されているので、目新しいコーヒーやいつも違う味わいのコーヒーを楽しみたい方にはおすすめです。

ミニコラム|コーヒーの酸味はどのようにして作られるのか?

ウォッシュドやナチュラル、特殊発酵の話をすると、コーヒーの酸味はコーヒーの実由来なのかと考える方も多いと思います。

例えば、ナチュラルの場合は果肉をつけたまま発酵させるため、コーヒーの実の香りが豆に移りやすいともされ、お店でもそのように説明しているシーンが多いです。

ですが、コーヒーを飲んだ時に感じる酸味は、実由来や有機酸そのものではありません。

焙煎によって生豆に含まれていた有機酸が熱分解され、再結合することで抽出したコーヒーに酸味を感じるようになります。

そのため、コーヒー生豆をそのまま食べても、酸味は全く感じません。

コーヒーの酸味は焙煎によって精製されるため、生豆に含まれる有機酸の含有率で引き出せる酸味の上限が決まっていきます。

あとはどのように火入れをするか(焙煎のアプローチ)によって、引き出される酸味の印象をコントロールできるため、同じ生豆を使用しても、お店ごとに個性の違うコーヒーに仕上がっていきます。

最後に選ぶべきが「産地」 → 最初に選ぶと混乱します。

ブラジル・エチオピア・グアテマラ・コスタリカ・インドネシアなど、コーヒー生産国は約70カ国ほど。

コーヒーだけではなく、他の食材であってもどこで作られたかを重視される方が多いと思います。

ただ、コーヒーの味を判断しようとした場合、生産国のくくりは少し厄介で余計に混乱する要因にもなります。

例えばひとくくりに「エチオピアのコーヒー」としても、標高・朝晩の寒暖差・生産区域が違うだけで、生豆の特徴は異なります。

ミニコラムでお伝えした、酸味成分を精製できる有機酸含有量も異なるため(厳密に言えばコーヒー生豆の品種も関係しますが)、そもそもの材料が違ってくるわけです。

そこにさらに上記でお伝えしたポイントの内、焙煎度合い・生産処理が異なると味の傾向が変わるため、国としての味は判断しにくくなります。

一番わかりやすく、味の判断がつきそうな条件に見えますが、あくまでも焙煎度合いと生産処理が味の軸を決めると知った上で選択することが、ご自身の好みに合う豆を見つけるポイントです。

3つのポイントをおさらい|判断基準は焙煎度合いと生産処理

ここまで焙煎度合いとコーヒー生豆の生産処理の種類、生産国に関してご説明しました。

これがわかったら、あとはどの焙煎度合いと生産処理の組み合わせが好きなのかで、よりご自身の好みに合わせた選択がしやすくなります。

例えば、

『酸味が苦手で苦味よりの全体的にすっきりしたコーヒー』なら深煎りでウォッシュド精製の豆、

『酸味が苦手で重厚感のある苦味よりのコーヒー』なら深煎りでナチュラル精製の豆、

『苦くなく甘酸っぱい印象の華やかなコーヒー』なら浅煎りでナチュラル精製の豆、

『酸味が明るく爽やかで、紅茶のような飲み口の明るいコーヒー』なら浅煎りでウォッシュド精製の豆などなど。

細かいことを言うと、コーヒー豆の品種などでも傾向は違いますが、最初の一歩はざっくりした好みで大丈夫です。

少しマニアックですし、専門用語も多いため、なかなか好みを話しにくいと感じる方も多いと思います。

ですが味の幅広さの中から自分の好みを見つける過程はとても楽しいので、ぜひ一度試してみてください!

店頭でもスタッフに気兼ねなくご質問いただけと嬉しいです。

WRITER

Mayuka Jimbo

THE COFFEESHOPバリスタ・ストアサブマネージャー。

富ヶ谷のロースタリーROAST WORKSにてドリンクを提供。フードペアリング担当。レシピの改善や、抽出技術の向上に日々取り組んでいる。

毎週日曜8:45〜はInstagramとYouTubeで15分間のライブ配信中!

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