【競技会振り返り】インドスペシャルティコーヒーの焙煎大会〈ROAR OF THE ROAST〉で優勝しました!

先日開催されたインドスペシャルティコーヒーのローストコンペティション〈ROAR OF THE ROAST〉にて、ロースター萩原が優勝しました!
今回の大会ではあまり焙煎した経験のないインドのコーヒー豆がテーマということで難しさもあったのですが、最高の結果を迎えることができて本当に嬉しいです。
萩原の競技会振り返りと大会の概要をお伝えします!
インドスペシャルティの焙煎大会〈ROAR OF THE ROAST〉
大会主催者より
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Kaapi and Cultureが主催する「インドコーヒー焙煎チャンピオンシップ – 日本版」は、 コーヒー焙煎が持つ芸術性と科学の両面を称えるとともに、日本のトップロースターの皆様が厳選されたインド産コーヒー豆から、いかに卓越した風味のプロファイルを創り出すかをご紹介することを目的としております。
インドスペシャルティコーヒーのローストコンペティション〈ROAR OF THE ROAST〉は、インド専門にスペシャルティコーヒーを輸入・販売しているKaapi & Cultureが主催する焙煎大会。
彼らは南インドを中心に生産者と深く関わりながら、伝統的なプロセスのものからエクスペリメンタルな精製ロットまで、さまざまなコーヒーを取り扱っています。
今年初開催となったこの大会では、Kaapi & Cultureが取り扱うインド産スペシャルティコーヒーをテーマに焙煎技術を競いました。
競技はシンプルで、同一の課題豆をロースターが各自ローストして提出、審査会にて各々のカップを評価して、最も得票を集めたカップが勝つというルールです。
大会は予選と決勝の2ラウンド。
予選の生豆は8月に届き、審査会は10月に実施されました。
予選の課題豆は比較的通常のナチュラルに近いプロセスのもので、できるだけ焙煎による欠点を出さず、クリーンに仕上げることを意識しました。
この豆については、運良くTHE COFFEESHOPでも購入していたロットで焙煎したことがあったため、そこまで苦戦することはなくいつも通りの焙煎を心がけました。
大会審査基準
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・風味: 香り、酸味、苦味、甘味、コクのバランス
・アロマ: 焙煎豆と抽出液の香り
・クリーンネス: 雑味のなさ
・マウスフィール: 口当たり
・焙煎度: 均一性、適切な焙煎度合い
・プレゼンテーション: 説明の明瞭さ、説得力
コーヒー焙煎の目的|ポテンシャルを引き出す上で大事にしていること
コーヒーを楽しむために重要な『焙煎』。
コーヒーは生豆に火を通し熱による成分変化を起こすことで、初めて飲むことができるようになります。
火を通すという文字だけ見ると、誰がどうやっても同じような仕上がりになりそうに思えますが、同じロースターが同じ生豆を同じ焙煎機で焙煎しても、いつも同じような味わいにすることは難しく、気温や湿度による生豆への影響を見極めながら対応していく必要があります。
特に日本には四季があり、季節による気温や湿度などの変動が大きく、焙煎中の火力調整以外にも、外的要因から起こる影響を考え、その時その時にコーヒー豆に対して適切なアプローチをかける必要があることも難しい点です。
ぜひ下記のマガジンも合わせて確認していただけると嬉しいです!
大会を振り返って|ロースター萩原の工夫
苦戦した決勝課題豆の焙煎
大変だったのが決勝の課題豆。
予選とは打って変わってかなり特殊なプロセスのロットで、山椒のようなスパイシーさと、香水のような強いフレーバーが全面に感じられるコーヒーでした。
トラディショナルなプロセスのコーヒーの取り扱いが多いTHE COFFEESHOPではほとんど焼いたことがないような豆、最初はどう攻めようか悩みましたが、事前情報と生豆の状態からアプローチを考えていきました。
最も大切にしたのは、豆の組織を壊しすぎないこと、そしてバランスを整えること。
特殊なプロセスで精製されたコーヒーは、密度が低く細胞が脆くなっていることがままあります。
そのため、特に1ハゼ以降の進行スピードが早く、ボロボロと組織が壊れていくようなイメージを持っています。
ここで焙煎が進みすぎてしまうと、質感がラフになり、後味が短く焦げたような味わいになってしまいます。
実際の焙煎ではトータルの焙煎時間は8:30ほど、うちデベロップタイムは35秒ほどで煎り上げています。
また、生豆の時点でフレーバーが強く出ることは確定していたので、そこを強調するのではなく甘さを補ってバランスを整えることに専念しました。
この点は焙煎だけではなく、提出カップを作るためのソーティングでも調整しています。
具体的には、まずおおまかにクエーカーなどの欠点豆を取り除いたあと、豆の見た目から粒の大きさなどで分類し、それぞれカッピングを味を確認しました。
すると、ピーベリー(1つのチェリーに1粒だけしか生豆が入っていないもの。コロコロと丸い形状)だけを集めたカップだけ明らかに甘みがあり、質感もしっかりと芯が通った印象でした。
そこで、80%はこのピーベリーだけを集め、残り20%はよりフレーバーが出ていた形状の豆を入れて、提出する豆を作りました。
焙煎前の準備に苦心しただけあり、審査会で評価していただけたことを本当に嬉しく思います。
今回の勝因について
焙煎前のしっかりした予測と準備、そして焙煎後の意識的なソーティング。
コンペに勝つための努力はできるかぎりした上で望んだ本大会ですが、実際の焙煎は焙煎機サイズと提供された生豆量の都合上、予選も決勝も実際には1バッチしか焼けませんでした。
それでも良い結果が出せたのは、いつもの焙煎の経験から、引き出しを多く持てていたからだと思います。
THE COFFEESHOPでは定期便にて、毎月4種類のシングルオリジンをお届けしています。
それ以外にも豆の入れ替えがあるので、実際には毎週のように新しい生豆と向き合う必要があります。
また、これも業務フローの都合上、焙煎機への生豆投入量が毎回違います。
焙煎を仕事にされている方ならば分かっていただけるかと思うのですが、投入量が毎回違うと、焙煎のコントロールはとても難しくなります。
それだけに、THE COFFEESHOPでの焙煎では常に生豆の状態を確認しながら、細かく火力を調整して進めていっています。
業務としてはなかなかハードな部分ですが、それが自分の中の蓄えとなって、初めての豆を焼く時にも臆することなく取り組めたのだと思います。
いつも通りの焙煎をして、最高の結果を得られたことが本当に嬉しいです!
来年初めには優勝の特典として、インドへの産地ツアーにご招待いただける予定。人生で一度は行ってみたかったインド、今からドキドキです!
産地ツアーへは誰でも参加できるとのことで、現在参加者も募集中のようです。興味がある方はぜひ一緒にインドへ行きましょう!
それでは、またインドツアーのレポートもどうぞお楽しみに!
WRITER
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Daito Hagiwara
THE COFFEESHOPロースター
THE COFFEESHOPにて取り扱うすべてのコーヒー豆の仕入れと焙煎・クオリティコントロールを担当。日々焙煎の研究とコーヒー豆の品質チェックを行う。2024年 Next up Roasting Championship優勝。2025年 焙煎競技会 ROAR OF THE ROAST 2025 優勝
毎週日曜日18:30〜Instagram、YouTube、Xスペースでライブ配信中!
PICK UP ITEM
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Ethiopia / Gersi Natural Dark Roast(エチオピア / ゲルシ・ナチュラル・ダークロースト)※11/19焙煎
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El Salvador / Ovidio Flores Pacamara Natural(エルサルバドル / オビディオ・フローレス・パカマラ・ナチュラル)
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Guatemala / Esperanza Pacamara(グアテマラ / エスペランサ・パカマラ)
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