メキシコ エルエストリーボ農園 コーヒー生産者インタビュー【生産処理編】

2018.08.22
SHERE

メキシコ現地駐在スタッフより、エルエストリーボ農園の生産者インタビューが届きましたので、3回にわたってご紹介いたします。(以下、メキシコスタッフ大善筆)

今にも崖から落ちそうになるほどの蛇行した山道が1時間ほど続き、ベラクルス州ソンゴリカ市からさらに上へと登った道中に淡いオレンジ色の家が見える。小さい小窓の上に「El ESTRIBO」とある。

エルエストリーボ農園 アルタミラノ一家は何世代にも渡り農園を所有し、2012年から日本との取引を開始、2014年にはCOE カップ・オブ・エクセレント という中南米を中心に開催している、その年に収穫したコーヒーの中で最高品質のものを選ぶコンテストで、メキシコ大会で1位となった。

ここに至るまでの歴史は長く、この小さな家から始まった長い歴史、こだわりのプロセス、農園主のコーヒーにかける思い、それが彼らの品質を作る糧となった。

1回目では豆のプロセス、2回目ではアルタミラノ一家の歴史、3回目では農園主のコーヒーに対する思いを紹介する。

コーヒーにもストレスがかかる。だから手間をかけた仕事をする

ライター大善(以下、D):今年の収穫はどうでしたか?

サムエル・アルタミラノ氏(以下、S):今年は例年よりも収穫が早く、通常は12月末に始まるところ、天候の影響もあり、10月には始まってしまいました。収穫されたコーヒーチェリーは、次の種子の受精に向け、「チャペオ」(スペイン語で雑草取り)という農園掃除をします。6〜7人で2週間で収穫、チャペオ、肥料、種まきをして一旦ワンシーズンとしての仕事は終わりです。残りの加工販売は僕たちが担当します。

D:エルエストリーボ農園でどのようにコーヒーができていくのか、簡単に教えてもらえませんか?

S:収穫後すぐにタンクに入れて、チェリーを比重選別して余分なゴミを取り除きます。そしてパルピングの過程に移ります。パルピングマシンは中古で購入したため、1695年製なんです。全手動で、モーターとパルピングの円盤をゴムバンドで結んで、ゴムバンドを勢いよく引っ張ることで機械を一気に温めていきます。これで外皮を取り除いていきます。

その次に発酵の工程に移り、パルピングマシンからそのまま発酵槽に流していきます。知られているように、ウォッシュドプロセスの発酵の過程では大量の綺麗な水と適切な温度管理が非常に重要となります。基本的には少し暖かくして、一定時間浸しておかなくてはなりません。ミューシレージや浮遊物があると、コーヒーの風味に影響を及ぼしてしまうので、これらを除去するために鉄柵を通して、乾燥エリアへと移動させていきます。

乾燥は外に放置する自然乾燥と機械乾燥の2つを取り扱っています。自然乾燥だと、天候にもよりますが、毎日5〜9時間程曝します。

天候が良い日が20日以上続く見込みがなければ、機械乾燥です。機械乾燥だと40時間乾燥。無理やり熱を加えることになるため、あまりコーヒー豆にストレスを与えないように、最初は24時間乾燥機にかけて、夜には止めて、翌日に残りを仕上げていく。コーヒーも休みが必要ですからね。その後不良品除去の選別を実施して、ウォッシュドプロセスの完了です。

コーヒー農園は、僕たちの家であり倉庫であり工房である

S:選別作業が終われば、倉庫で出荷を待ちます。僕たちの家は倉庫であり、工房であり、家のリビングでもあるのです。

(サンプリング用の量り器。輸出を始めた際に購入。)

D:ここの工房兼家から、どんなコーヒーが生み出されるのか、エルエストリーボ農園とコーヒーの特徴ってなんだと思いますか?

S:農園の特徴は管理状態と高度だと思います。僕たちは農園の管理状態にすごくこだわっていて、理論的に自然由来の有機肥料と良好な植物の状態、手入れの行き届いた農園管理こそが、良質なコーヒーに繋がると考えています。そのためカビや虫が発生しないように害虫駆除したり、手間は惜しみません。

また高度は最高で、一番低くて1250m、一番上は、良質なコーヒーを作る上でも良い条件である1500mに位置しています。結構僕たちの土地って恵まれていて、山からの豊富な水、火山質の土壌、石灰質とコーヒー作りにとって肥沃な土地です。

風味に関しては、 オレンジ、レモンのようなシトラス系が基本。他にもはちみつやバターのように甘くて香ばしい要素もあります。

(エルエストリーボ農園インタビュー2回目に続く)

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THE COFFEESHOP

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