ロースター萩原 インド訪問記録| Balmadi農園 編
1月8日(木)〜1月15日(木)まで、ロースターの萩原がインドへ産地訪問へ!
マガジンでは訪問の記録として、農園の特徴やインドのコーヒー産業の状況などをお届けします。
今回はTHE COFFEESHOPが買い付けたこともある農園、”Balmadi農園”をご紹介。
ぜひ最後までご覧ください!
早朝に出発!|Balmadi農園までの道のり
2026年1月10日
朝6:30にホテルを出発、国立公園で自然保護区の中にあるBalmadi農園に向かいます。
まずはロングドライブになるので軽めの朝食を。
地元で人気っぽいカフェでIdli(イドゥリ)という米粉の蒸しパンのようなものを食べました。
※インドの食事情は番外編でお届けします!
車で大体2時間くらい走ると国立公園へ到着。自然保護区になってて入場料が必要です。
多くの野生動物がいる区域で、みんなでキョロキョロとあたりを見回しながら通過。遠くの方にゾウを見つけることができました。
国立公園内のレストハウスでトイレ休憩。
ゾウの置物が欲しかったけど、めちゃくちゃぼったくり価格だからやめとけとアドバイスがあったので諦めました…
国立公園を抜けると標高1,000mくらいのところに街があり、普通にお店も多く人もたくさん連なっていました。ローカルな感じで車もバイクもバンバン走る。
ここで大型バンからジープに乗り換え、街を抜けて山をガシガシ登っていきます。途中から舗装されてない山道に入り、天井にガンガン頭をぶつけてしまいました。
次第に道の両サイドには茶畑が広がり始め、コーヒー農園が近づいてるのを感じます。
Balmadi農園に到着|農園の特徴や作業風景を見学しました
①収穫の様子は想像以上にハード
ジープに乗り換えて1時間、Balmadi農園に到着!
THE COFFEESHOPでも一昨年に買い付けた農園で、オーガニック製法を採用しています。
元々生えている木に一切手をつけず、森を守りながらコーヒー栽培を行っているため、森林環境が保たれるそうです。
コーヒーチェリーの収穫作業は、近隣からピッカーさんにきていただいているそう。
なんと毎日あの痺れる道を往復通勤してるとのことでびっくりです。
作業時間は朝9:00〜15:00まで。
ここは国立公園の中に位置するため、夕方以降になると野生動物が出てきて危険なことも。
実際、ゾウと遭遇すると命の危険もあります。フンが落ちていたり、崖を降りた形跡が残っていたりします。
ピッカーさんの日給は4000円くらいだそう。
日本の感覚からすると安いと思うかもしれませんが、インドの中だとかなり高い方で、普通の農園の2倍くらいに相当します。
理由は農園が遠いことと、野生動物に襲われるリスクがあるから。
また、量よりもクオリティにフォーカスするために、収穫量で金額が決まるのではなく、1日あたりの金額を固定で決定しているそうです。
②精製はトラディショナルな方法がメイン
農園内にはチェリー・パーチメントを乾燥させるパティオ、チェリーの果皮を剥くパルパー、メカニカルドライヤーなどの設備が整っています。
ここで収穫後、パーチメントの状態まで持っていくことが多いそうです。
Balmadi農園の主な精製はナチュラル・ウォッシュドなどのトラディショナルな方法が多く、実験的にアナエロビックやハニープロセスも実践しています。
夕方前になると乾燥のために広げていたチェリーやパーチメントを一旦集めてカバーをかけます。
コンクリートパティオは主にコモディティ寄り、スペシャルティは高床式のレイズドベットで乾燥させているそうです。
コンクリートは日差しを受けて熱くなり、早く乾燥してしまうため、時間をかけて乾かした方が品質が高く、かつ長持ちもするという利点からでした。
別の開けた場所では、収穫を終えたチェリーが集められて改めてハンドソーティング。
ここでは未熟な豆と、木の枝や葉っぱなどの異物を手で取り除きます。
ピッカーさんたちに混ざってやらせていただきましたが、チェリーの表面がベタベタしていて、聞けばすでに少し発酵が始まっているそう。
そのため、収穫を終えてから精製を始めるまでの時間管理がすごく重要とのことでした。
ソーティングが終わったら計量し、その後水で表面を軽く洗います。
プラスチックタンクに水と一緒にいれ、チェリーの密度でも選別。
浮いてきた豆(フローター)は過熟だったり既に乾燥が始まっていたりするものなので取り除きます。
タンク内を何度もかき混ぜながら丁寧に取っていき、取り除いたフローターはコモディティコーヒーとして出荷されるそうです。
この日に収穫した豆はアナエロビックプロセスで精製されました。
エコタクトという生豆を入れたりする丈夫なプラスチックの袋に入れて、空気を抜いて密閉。
先ほどのプラスチックタンクに、何袋か重ねて入れることで圧力も加え、1日ごとに上下を入れ替えながら5日間発酵させます。
直接プラスチックタンクに入れないの?と聞いてみましたが、『ここは夜の気温が低すぎてタンク着入れだと発酵が進まないので今のやり方になった』とのこと。
試行錯誤しながらより品質を上げる工夫が見えた場面でした。
③Balmadi農園の人たち
写真1枚目の彼が農園の品質管理を行っているAlagesan氏。
この場所で生まれ育って70年、栽培収穫から発酵精製まで全てを管理してる最高責任者です。
農園の人たちは、というかインドの人たちはみんなすごくキュートで、日本人にすごく興味があるようでした。
めっちゃ見てくるので笑いかけるとニコッて笑い返してくれるし、カメラを向けるとポーズをとってくれる。
手を振ると必ず振り返す、チャーミングな人たちでした。
農園内のゲストハウスでランチをご馳走に。
ミールス(南インドの定食)を作っていてくれました。
この3日間くらいお肉を食べていなくて、野菜と米しか食べてないのに味のレパートリーが幅広くて全然飽きないし満足感がすごい。3回おかわり。
通訳で帯同してくれたギータさん。
日本に10年住んでいたらしく、日本語はネイティブレベル。
インドは色んな民族がいて、国内でも言語がたくさんありますが、ギータさんは全部で7言語も喋られるそう。
そしてスーパー博識。インドの歴史や哲学、宗教、文化など、なにを聞いても詳しく教えてくれました。
その温かく優しい人柄もあり、今回のツアーの充実感は彼女抜きにはあり得なかったと思います。
この旅最高の出会いのひとつです。
ゴットマザー感溢れるギータさんと萩原
Balmadi農園で感じたこと
Balmadi農園は自然保護区の中にあり、アクセスも悪い中で自然を守りながら伝統的なコーヒー生産を行っています。
それは消費国であるわたしたちからすればエキゾチックな魅力に溢れたストーリーとして語られがちですが、実際に生産に携わっている現地の人たちの目線からすると、そうならざるを得ない事情もあったりします。
国立公園の中はインド政府の持ち物であり、いわば彼らはそこを借りるような形で生活しています。
インド政府の姿勢としては自然環境や野生動物保護が第一目的としてあるようで、そこに住んでいる人と言えども環境に手をつけることができないのだと言います。
たとえば、ジープに乗り込んで進んだ荒れた道のりも、整備したくてもしてはいけない決まりになっているのだとか。
つまり、彼らはある意味不便な生活を強いられているわけです。
消費国から視察に行った身からすると興味深く目に映る伝統的な暮らしの背景には、複雑な事情が絡んでいました。
こうした話はインドだけに限ったことではなく、きっと世界中にあるのだと思います。
いちロースターとして何ができるわけでもないのですが、ただコーヒーを買い付けるだけではなく、そうした背景を知っておくことはとても大切だと感じました。
次回のマガジンは、Sandalkad農園訪問編をお届けします
今回のマガジンはここまで!
次回はインド南西部にある、Sandalkad農園の内容を紹介します。
同じインドであっても、農園によって取り組み方や考え方はそれぞれ。
また違う個性をお届けできると思います。
ぜひお楽しみに!
WRITER
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Daito Hagiwara
THE COFFEESHOPロースター
THE COFFEESHOPにて取り扱うすべてのコーヒー豆の仕入れと焙煎・クオリティコントロールを担当。日々焙煎の研究とコーヒー豆の品質チェックを行う。2024年 Next up Roasting Championship優勝。2025年 焙煎競技会 ROAR OF THE ROAST 2025 優勝
毎週日曜日18:30〜Instagram、YouTube、Xスペースでライブ配信中!
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