【徹底解説】焙煎コンペティション優勝 『Costa Rica/ Santa Teresa 2000 Cedral #5』の焙煎について。Next Up Roasting Championship 2024 振り返り記録。

今回はNext Up Roasting Championship 2024にて、THE COFFEESHOPのロースター:萩原が優勝した 〈Costa Rica/ Santa Teresa 2000 Cedral #5〉の焙煎について、ポイントなどをまとめています。
こちらの内容は、THE COFFEESHOPのYouTubeチャンネルでも動画を公開していますので、ぜひ合わせてご確認ください!
コーヒー焙煎の目的|ポテンシャルを引き出す上で大事にしていること
コーヒーを楽しむために重要な『焙煎』。
コーヒーは生豆に火を通し熱による成分変化を起こすことで、初めて飲むことができるようになります。
火を通すという文字だけ見ると、誰がどうやっても同じような仕上がりになりそうに思えますが、同じロースターが同じ生豆を同じ焙煎機で焙煎しても、いつも同じような味わいにすることは難しく、気温や湿度による生豆への影響を見極めながら対応していく必要があります。
特に日本には四季があり、季節による気温や湿度などの変動が大きく、焙煎中の火力調整以外にも、外的要因から起こる影響を考え、その時その時にコーヒー豆に対して適切なアプローチをかける必要があることも難しい点です。
今回は浅煎りの〈Costa Rica/ Santa Teresa 2000 Cedral #5〉の焙煎についてお話しますが、ぜひ下記のマガジンも合わせて確認していただけると嬉しいです!
浅煎りでキラキラした印象を引き出す
萩原:では早速解説していきます。
THE COFFEESHOPで使用している焙煎機は、ドイツ製のPROBATで12kg釜ですが、浅煎りを焙煎する時は、釜の容量に対して生豆の量を少し少なめに投入します。
今回のコスタリカは、12kgの釜に対して、生豆を4kg投入しました。
こうすることで、浅煎りのキラキラした印象を引き出す狙いがあります。
生豆投入時の釜内の温度は175℃程度、秋が過ぎて気温が低くなった時は生豆も冷えていることが多いため、少し高めの設定になってきます。
投入してから20秒〜30秒程度は釜の熱と生豆の温度が馴染んでいないので、火力を上げても焦げることが少なく、個人的には強めの火力調整をすることが多いです。

・ボトム(生豆を投入してから温度が下がりきったポイント)は何度か決まっていますか?
萩原:特にお店として何度という設定はありません。
豆の大きさや硬さなどでも違いますし、THE COFFEESHOPの場合、毎回同じ投入量で焙煎を始めることが少ないので、基準値を設定してもあまり意味がないかなと思っています。
今回の豆や、浅煎りの豆を焙煎する時に関しては、大体95〜96℃に落ち着くことが多いです。
先ほど焙煎直後は火力を上げても大丈夫とお伝えしましたが、特に浅煎りの場合はここでしっかり火を当てて、投入時に低かった豆の表面温度を釜内の熱にならしていく印象が強いです。

浅煎りは火力の見極めが大事
萩原:常にスプーンで豆の状態を確認しながら火力の調整を行います。
よくスプーンでフレーバーなどを確認しているのか?と聞かれるのですが、個人的には熱のまとい方、豆から跳ね返ってくる熱気の印象を確認しています。
投入から2分経過してきたところでさらに火力を上げ、生豆の水分を飛ばすイメージで焙煎を進めます。
浅煎りは焙煎時間が短いため、前半からしっかり火力を上げるポイントを見極めていく必要がありますが、今回はいつもよりも豆から感じる熱が高かったので、2分20秒あたりで少し火力を下げました。
ここで誤って火を強めてしまうと、表面だけに火が入り中の水分が抜けない、いわゆる生焼けの状態になってしまうので、頻繁にスプーンで豆をすくって確認しています。
しかし、厳密に言うとスプーンですくって一時的に火が当たってない豆と、釜内で火を当てられ続けている生豆の状態は違うため、スプーンですくった時に火力調整を行うと手遅れになりがちです。
常に予想を立てながら先回りして火力の調整をする必要があります。
萩原:焙煎をやる方だと〈ROR〉という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
1分間にどれだけ温度が上昇したのか(焙煎中の1分間の熱変動)という数値になるのですが、THE COFFEESHOPでは毎回の生豆投入量にバラつきがあるので、そこまで厳密にデータをとっていません。平均的に約20℃前後で調整することが多いです。
先ほど火力を少し下げたポイントは、焙煎開始から2~3分の間で恐らくRORは22~23℃くらい、標準が20℃程度で少し早い傾向だったため、温度をなじませて表面だけに火が当たらないように調整しました。
焙煎開始から4分〜5分の間に、いわゆるイエローと言われるポイントがくるように調節し、火力をどんどん上げてより水分を飛ばしていきます。
この時点でしっかり火を当てることで、甘さの印象を形成することができるので、どんな豆でも共通して火力を上げるポイントになっています。
水抜きが完了する時間
・よくある程度までの水抜きが完了する時間を決めている方もいますが、萩原さんはどうですか?
萩原:大体このイエローの時点(焙煎開始から5〜6分程度)である程度水分が抜けているイメージです。
厳密にいうと、焙煎終了まで水分は飛び続けているので、水抜き完了とは言い切れませんが、この時点で味の土台は完成している印象があります。
個人的に焙煎開始から5分30秒程度でメイラード反応が始まるので、それまでに下ごしらえとして水分を抜いておきたいな、というのはありますね。
メイラード反応が始まるゴールド時点から1ハゼが起こる間の時間設定で、出来上がったコーヒーが甘さメインなのか、酸味メインなのかを決定することができます。
浅煎りでフレーバーと酸味をメインにした時は、1ハゼまでの時間を短くするため少し火力を上げて爽やかに仕上げますし、深煎りの場合は火力を下げて1ハゼまでに時間をかけることで、甘さの印象をグッと強める調整を行うことが多いです。
今回は浅煎りの焙煎なので、メイラード反応は短めで終了させました。
萩原:この焙煎機の場合は、約200℃くらいで1ハゼがくるので、その少し手前から火力を下げて始めます、
特にPROBATの場合は蓄熱性が高く、火力を当て過ぎてしまうと焙煎が進んでしまうので、余熱で1ハゼまで持っていくイメージです。
メイラード反応が始まってから2分程度(焙煎開始から7分40秒くらい)で1ハゼがきました。
ここから別でタイマーをスタートさせてディベロップタイムを計測します。
このコスタリカの場合は、1ハゼから1分以内、209℃で焙煎完了するイメージです。
結果、ディベロップタイム:57秒、209℃、焙煎時間:8分39秒で焙煎完了になりました。
THE COFFEESHOP OFFICIAL YouTube Channel
今回は実際の焙煎画像は挟みながら、浅煎りのコーヒー豆を焙煎するときのポイントをお話しました。焙煎の動画もあわせてご覧ください。ご感想などありましたらコメントいただけると嬉しいです!
浅煎りの焙煎がテーマだったので、こちらのマガジンを合わせて読んでいただけると、よりわかりやすく感じていただけると思います。
WRITER
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Mayuka Jimbo
THE COFFEESHOPのMAGAZINEコンテンツ、オンライン担当。
スペシャルティコーヒーの知識だけでなく、レシピの改善や、抽出技術の向上にも日々取り組んでいる。
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