フルーティーで美味しいコーヒーをブレンドで作る楽しさ(だいたい予想通りにはならない)
2019.08.22
スペシャルティコーヒーの味やフレーバーを表すカップコメント。前回の記事では、複合要素である『フルーティーなコーヒーってどんなコーヒー?』というテーマで、ロースター・萩原に解説してもらいました。
今回は続編ということで、実際のどれくらい複合的なものなのか、異なる個性の豆をブレンドすることで見えてくる奥深さ、お伝えしていこうと思います。
目次
前回のおさらい
さて、まずは前回のおさらい。フルーティーなコーヒーとはなんぞやという話から。前回の記事からザクっとまとめますと、以下の通りです。
- フレーバーホイールにフルーティーという項目がある
- フルーツの種類によって細分化されている
- 複数のフルーツを感じるコーヒーもある
- フレーバーだけじゃなく酸味にもフルーツ要素がある
- 淹れ方でも感じ方は変わる
- 飲むときの温度でも変わる
つまるところ、一言でフルーティーと言っても、それが意味するものは複数の要素を併せ持ったものであり、非常に奥深く複雑なものであるということです。
前回の記事、まだご覧になっていない方は、こちらからご覧ください。
→ https://www.thecoffeeshop.jp/ct_cupping/fruity-coffee/
ブレンドは思い通りになるのか(予想)
では本題。今回は机上の理論から飛び出して、実際にコーヒーをブレンドしてみることで、その複雑な面白さを、より感じてみたいと思います。
ブレンドに使ったコーヒー豆は、以下の通りです。
ケニア キアンヤンギ:
マンダリンオレンジ、グレープ、アップルのフレーバー。黒糖の甘さ。シトラス系の酸味。ボディ感強め。
ルワンダ チョコ:
アプリコット、アップルのフレーバー。ハニー系の甘さ。ストーンフルーツ系の酸味。質感はシロッピー。
この2つを1:1で混ぜると、、、予想ではこんな感じになるのではないかと。
『マンダリンオレンジ、グレープ、アップル、アプリコットのフレーバー。ハニーと黒糖の甘さ。シトラスとストーンフルーツの酸味。シロッピーでありながらも、ボディ感は強い。』
単純に足し算ですね。
果たしてこの通りになるのか、実際にやってみます。
↑ 心なしか、ロースター・萩原がニヤけているのは、そうならないという合図なのか、、、。
ブレンドは思い通りにはならない(結果)
果たして、ブレンドコーヒーの評価やいかに。萩原のコメント(オレンジ字)でどうぞ。
『今回のブレンドは、あくまで試験的に作ったものなので、美味しいかどうかは一旦置いておいて。カップコメントとしては、ラズベリーのフレーバーに、シトラス系の酸味(特にオレンジの酸味が目立つ)、質感は重厚でリッチなものに仕上がりました。』
え?ラズベリーってどこにいましたっけ?という感じですが、
萩原いわく、『グレープとシトラスのフレーバーが混ざり合うとベリー系のフレーバーに変わる』とのこと。
なにそれ、奥深い。
『甘さでいうと、口に運んだ際はケニアの黒糖系の甘さが目立ちますが、後味にはルワンダのハニーっぽさが残ります。フレーバーも冷めてくるとまた表情が変わって、グリーンアップルが感じられるように。そこからさらに冷めてくると、グレープ感が出てきますね。』
温度が変わっていくと、感じられるフルーツ感も変化する。というのは、ブレンドしたコーヒーにおいても同様にみられるものでした。
『我々スペシャルティコーヒーに関わる職人たちは、これらをなんとなく予想して、ブレンドを作り上げていくのですが、思い通りにいくこともあれば、そうでないこともある。複雑で奥深い楽しさが魅力なんですよね。』
まとめ
ということで、フルーティーなコーヒーってなんだ?というテーマで、2回にわたってお送りいたしました。理論やうんちくだけでなく、こうして実際に検証してみると、毎回新しい発見があって面白いですよね!
THE COFFEESHOPでは、こんな検証してほしい!とか、新しく発売されたこの器具のレビューがみてみたい!など、読者の方からのリクエスト、随時募集しております。
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