焙煎直後のコーヒー豆って、実は美味しくない?!スペシャルティコーヒー豆知識

2015.09.10


焙煎直後のコーヒー豆って、実はあんまり美味しくないってご存知でしたか?このことについて、今日は少し掘り下げてお話してみようと思います。

最近は流通の進歩がすごいことになっていて、朝に収穫した野菜や、朝に水揚げされた 魚がその日のうちにスーパーなどの小売店に並ぶのがほとんど当たり前になっています。 それもあってか「新鮮=美味しい」ということがまるで神話のようにして多くの人たち の間に浸透しているような気がしています。

しかし、こと焙煎したコーヒー豆に関しては、だいたい焙煎後2〜3日から美味しくなってきます。より正確にいうなら「美味しく淹れやすくなってくる」が近いかもしれません。 それではどうしてそうなるのか、今回はそのお話をしていきます。

コーヒーを淹れるときに起こっていること

コーヒー豆
Coffee Beans / Pen Waggener

焙煎したコーヒー豆は、例えていうなら炭のような、小さな穴がたくさん開いている「 多孔質状」の構造をしています。つまり小さな部屋がたくさんあるような感じを 思い浮かべていただけるといいと思います。

その部屋の中には、二酸化炭素を中心とした気体の成分(以降「ガス」)が たくさん詰まっています。特に焙煎直後は部屋の中にそれでパンパンになって いるような状態です。このガスには、コーヒーのいい香りの成分ももちろん 含まれています。

焙煎から間もないコーヒー焙煎豆を使ってコーヒーを淹れると、お湯を注いだ 瞬間に大きく膨らみますが、これはこのガスが一気に外に出てくるために起こる 現象です。それは確かに新鮮な証拠ではあるのですが、実はこれによってコーヒー の抽出状態(お湯によって効率よくコーヒーの成分を取り出せる状態)があまり 良くない状態になってしまうんです。

焙煎当日のコーヒーは『落ち着いていない』味

要はコーヒー豆の部屋の中にお湯を入れていってコーヒーの成分を溶かし 出したいのに、一気に大量に外に出てくるガスがそれを邪魔する、というとわかり やすいでしょうか。

これはどんな淹れ方でもそうで、圧力をかけるエスプレッソやSteampunkと いったものはよりその影響が大きくなってきますし、カッピングですら焙煎直後は正確にフレーバーを感じることは困難になるほどです。ひとことでいうと「落ち着いてない」感じの味になりがちですね。

やむを得ず焙煎当日のコーヒー豆をSteampunkで淹れるときは、先にコーヒーを挽いてからマシンを始動させていることがありますが、これは実はある程度ガスを飛ばして良い抽出状態を作るためにやっていることなんです。

コーヒーカッピング

焙煎2〜3日後からコーヒーが美味しくなってくるわけ

ここまで読んで頂ければもうお分かりかもしれませんが、焙煎から少し時間が 経つことによってガスがほどよく抜けてきだすことで、良い抽出状態を作り やすくなって、コーヒーの味がよくわかるようになる、というわけなのです。

それでも、できるだけ新鮮な豆をお届けしています!

現在THE COFFEESHOP ROAST WORKSは通常、週に3回ほど焙煎を行っています。 おかげさまで忙しくさせて頂いているのもありますが、やはり新しいもの(焙煎 から時間があまり経っていないもの)をお客様にお届けしたほうが、結果として お客様のもとでコーヒーが美味しい期間が長くなるので、できるだけ焙煎日の近 いものをお渡しするようにするためです。この考え方は、店頭でもオンラインストアでも変わらないのでご安心ください。

保存状態や季節、焙煎度合いによって変わってきますが、中煎りのコーヒーを 豆のままで保存されるのであれば焙煎日から10日程度はほぼ美味しい状態を保ちますし、深煎りで豆のままであればむしろ5日目くらいからが美味しくなってくる んじゃないかな?というのがなんとなく実感しているところです。

まとめ

コーヒーはとにかく新鮮なものが良いと思われていた方にとっては、衝撃的なお話だったかもしれません。コーヒーの美味しさにまつわる話はいくつもあって混乱するかもしれませんが、神経質になりすぎず、気軽にスペシャルティコーヒーをお楽しみください。もちろん、美味しさを追求することも楽しみ方の一つですので、自分のスタイルにあった楽しみ方をおすすめします。

スペシャルティコーヒーってなに?という方はまずこちら
→ スペシャルティコーヒー入門まとめ

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