秋は “ほっこり系コーヒー” でホッと一息。優しい味わいで上質な休日を過ごしませんか?

2025.10.14
SHERE

夏の暑さが落ち着き始める秋は、ニュークロップの入港も盛んになり、コーヒー業界が活気づく時期のひとつです。

朝晩の気温も少しずつ下がってくるので、ホットコーヒーが恋しくなる季節でもあります。

この時期にお客様からよく聞くワードが、「ほっこり」や「マイルド」。

爽やかで軽やかなタイプよりも、落ち着きのある、ゆったり楽しめるコーヒーを求める声が多い印象です。

そこで今回は、「ほっこり系コーヒーの豆の選び方」をテーマに、焙煎度・生産国・味わいの傾向を踏まえながら、秋らしい一杯を探していきましょう。

スペシャルティコーヒーで表現する”ほっこり”とは?

そもそも“ほっこり”とは日本語独特の表現で、「心が安らぐ」「ぬくもりを感じる」「やさしい気持ちになる」といった状態を表す言葉です。

SCAのカップコメントで近い表現方法を見つけるなら、下記の3つが思い浮かびます。

・Sweet:特に「brown sugar」「honey」「caramel」などのやわらかい甘さ

・Nutty:ローストナッツやアーモンドのような香ばしさ

・Chocolatey:ココアやミルクチョコレートのイメージ

また、味覚としての甘さや香りの部分だけではなく、マウスフィールも大きく影響しそうです。

・Round:角がなく、やさしく包み込むような口当たり

・Smooth:飲みやすく、ストレスのない質感

・Creamy:柔らかさ、温かみを感じる質感

上記のような評価項目を踏まえると、スペシャルティコーヒーで“ほっこり”を表したい場合、下記のような条件のコーヒーが当てはまると思います。

・酸味が強すぎず、口に含んだときに丸みを感じる

・チョコレートやキャラメルのような甘さが余韻に残る

・ミルクと合わせても負けないボディ感がある

つまり、爽やかで軽い酸味を楽しむコーヒーではなく「甘さと丸み、落ち着きのある香ばしさ」が中心になった一杯が“ほっこり”を生み出す鍵といえます。

焙煎度合いで考える この秋おすすめのコーヒー

上記のスペシャルティコーヒーにおける”ほっこり”を踏まえた上で、項目ごとに当てはまるコーヒーを探していきたいと思います。

まずは焙煎度合い。

いくつかのマガジンでご紹介の通り、コーヒーの味を大きく左右する要素のひとつが焙煎度合いです。

浅煎り、中煎り、深煎り…それぞれで印象ががらりと変わりますが、秋に「ほっこり」を感じたいならどの焙煎度合いが合うのでしょうか?

「浅煎り」は夏っぽいフルーツ感が魅力

フルーツのような酸味や爽やかな香りが特徴的。

口当たりも軽く、さらっとしているタイプが多いので夏のアイスコーヒーや、紅茶のように飲みたいときにはぴったりですが、秋の“ほっこり”というニュアンスにはややシャープすぎることがあります。

「中煎り」は香ばしさとほどよい苦味が特徴

浅煎りに比べ酸味に丸みがあるものが多くなります。

焙煎によるナッツやキャラメルのような甘さも感じ、バランスがよくブラックでもミルクでも楽しめる万能タイプです。

もう少し焙煎の進んだ中煎り後半になると、よりチョコレートやローストナッツのような香ばしさと甘さが引き立ち、苦味も心地よく感じられます。

「深煎り」はビターで重厚感のある味わい

中煎りで感じられたチョコレートやキャラメルが、よりビターで重厚感のある味わいに近寄ります。

甘さや後味、口当たりの印象で異なりますが、上記2つの焙煎度合いよりは”しっかりしたコーヒー”というイメージが強まる傾向が多いです。

この傾向を踏まえると、秋に“ほっこり”を感じたいなら中煎り後半〜深煎りのコーヒーが一番向いているといえます。

生産国で考える 秋に合うコーヒー|中南米産がおすすめ

焙煎度と同じくらい、豆の生産国による味の違いもコーヒー選びでは大切です。

産地ごとのテロワールはもちろん、栽培される品種によっても味わいのベースが変わります。

秋にぴったりの“ほっこり系”を探すなら、ぜひ中南米産のコーヒーに注目してみてください。

おすすめ生産国 ①Brazil(ブラジル)

世界最大のコーヒー生産国で、ナッツやチョコレートのような風味を持つ、苦味と甘さのバランスが良い豆が多く生産されています。

品種は ブルボン、カトゥアイ、カトゥーラ が中心で、精製処理も ナチュラル や フリーウォッシュド など伝統的な手法を取る農園が多いのが特徴。

酸味が穏やかで親しみやすく、秋に「落ち着いて飲みたい」ときにぴったりの豆です。

  • ロースター萩原が訪問したブラジルの農園:Fazenda Um

  • コーヒーチェリーを山のように積み上げ、約1ヶ月乾燥させるVulcano(ボルケーノ)という伝統的な方法

おすすめ生産国 ②Guatemala(グアテマラ)

酸味に丸みがあり、甘さと香りのバランスがいいコーヒー豆が多い生産国の一つ。

日本の約1/3程度の国土ですが、多くの農園が標高の高い土地でコーヒーを育てています。

(グアテマラの標高は平均で海抜1,000〜3,700m、ブラジルの平均は0〜1,200m前後程度)

標高が高いと朝晩の寒暖差が激しくコーヒーチェリーがゆっくし成熟していくため、糖分や香り成分が凝縮されやすいそうです。

また、ゆっくり成熟すると豆の密度も上がる傾向にあるため、焙煎で熱が均一に伝わりやすくボディ感や甘さが表現しやすくもなります。

ブラウンシュガーのような甘さや、マリック(りんご酸)のような柔らかい酸味を感じるバランスが心地いいコーヒーが多いです。

  • Guatemala / Finca El Zapote農園(標高約1,000m)

  • ドライミルでの選別作業

おすすめ生産国 ③El Salvador(エルサルバドル)

THE COFFEESHOPが大好きな生産国。

代表品種のパカマラは大粒ながら繊細な甘さを感じることが特徴です。

グアテマラ同様標高が高いエリアが多く、コーヒー栽培に適している環境と言えます。

前述したパカマラが多く栽培されていることもあり、グアテマラよりも芳醇な香りが特徴のコーヒー豆が多いです。

ナチュラル精製もグアテマラに比べ多いため、香り自体に甘さを感じることもあります。

華やかな香りがありながら、チョコレートのようなしっかりした甘さも表現しやすく、どこか洋酒のような雰囲気を感じることができます。

  • El Salvador / Cafe Norのドライミル(標高約1,350m)

  • 欠点豆は最終的に目視でチェック

THE COFFEESHOPで買える|この秋おすすめの”ほっこり”コーヒー3選

ここまでご紹介してきた通り、

・中煎り後半〜深煎りのコーヒー

・中南米(特にブラジル・グアテマラ・エルサルバドル)産のコーヒー

上記の2つが美味しいほっこりを見つける鍵になるとお分かりいただけたと思います。

もちろんお店ごとに引き出したい味わいも変わってくるため、全てのロースターでこの条件が当てはまらないかもしれません。

それでも”ほっこり”という日本独自の感覚で、コーヒーを探してみる楽しみが増えればいいなと思っています。

THE COFFEESHOPのラインナップでおすすめのコーヒー豆は以下の通りなので、ぜひお試しください!

①Brazil / Fazenda Um Yellow Bourbon(中煎り後半)

ブラジルらしい落ち着きとジューシーさが両立した素晴らしいロットです。

カカオニブやアーモンド、ベイクドアップル、アメリカンチェリーのような風味。

滑らかな質感で、ミルクチョコレートのような甘さがあります。

②Mix Origin / Dark Mix(深煎り)

しっかりとしたボディ感を引き出す深煎りのブレンドで、滑らかな質感。

ダークチョコレートやビターキャラメルを感じさせる、中南米のコーヒー豆を使用したオリジナルミックスです。

③【10月限定】October Mix 2025(中煎り〜深煎りのブレンド)

くるみやマンダリンオレンジ、りんごジャム、ブラウンシュガーのようなほっこりした風味。 スムースな質感で、後味にミルクチョコレートのような甘い余韻が長く続きます。

WRITER

Mayuka Jimbo

THE COFFEESHOPのMAGAZINEコンテンツ、オンライン担当。

スペシャルティコーヒーの知識だけでなく、レシピの改善や、抽出技術の向上にも日々取り組んでいる。

PICK UP ITEM

関連記事