スペシャルティコーヒーの酸味について考える 講義編

2016.04.22
SHERE

スペシャルティコーヒーのフレーバー表現を深堀りするシリーズ企画です。

今回は、スペシャルティコーヒーの表現における『酸味』に迫ってみたいと思います。

スペシャルティコーヒーの風味を表現するのに用いられるフレーバー。これがわかるとコーヒーはもっと楽しく奥深くなります。

『フレーバーホイール』とは

フレーバーホイールは、スペシャルティコーヒーの味や風味の表現方法をまとめたものです。

SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)が作ったものの他に、コーヒー豆の流通を行っているブランドやコーヒーショップが作ったものもあります。

コーヒーの表現をするためには、欠かせない重要な基準となるものです。

SCAAフレーバーホイールの酸味表現

フレーバーホイール中の『酸味』表現について、今回も ROAST WORKS のロースター・成澤とともにお届けします。

– スペシャルティコーヒーの酸味の表現にはどんなものがありますか?

「酸味の表現でよくでてくるのが次の3種類。Maric Acid(リンゴ酸)、Citric Acid(クエン酸)、Tartaric Acid(酒石酸)で表現します。リンゴ酸は青リンゴの酸味、クエン酸は柑橘系の酸味、酒石酸はぶどうの酸味です。」

– それぞれの酸味を感じ分けるにしても、イメージしにくいですね。わかりやすいのはレモンの酸味であるクエン酸ですけど、リンゴとかブドウの酸味ってあまりイメージつかないですね。

「日本のフルーツは甘いですからね。リンゴ酸はアメリカ産の青くて若い味の青リンゴでイメージしやすく、酒石酸は赤ワインの様な渋みも感じる酸味です。」

via : SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)

改めてSCAAのフレーバーホイールを見てみましょう。酸味表現は<SOUR>というところになります。

「スペシャルティコーヒーの定義に、〜爽やかな明るい酸味特性があり〜、とあります。つまりスペシャルティグレードのコーヒーとは、味わいの中に酸があることが前提となります。」

– ところで、SCAAのフレーバーホイールには、Tartaric Acid(酒石酸)は書いてないのですね。他の二つはあるのに。

「いい指摘ですね。実はリンゴ酸とクエン酸は、コーヒー中の成分として実際に含まれていますが、酒石酸はコーヒーの成分としては含まれていないのです。ですからSCAAでは、実際に含まれている酸成分のみを記載しているのかもしれません。」

フレーバーと酸味は別軸で考える

アメリカでスペシャルティコーヒーを扱う COUNTER CULTURE COFFEE のフレーバーホイールもしっかりとつくられています。

via : Counter Culture Coffee

– こちらでは、酸味という表現はフレーバーホイールには入れてないんですね。酸味とフレーバーは別軸で考えているということですか?

「THE COFFEESHOP でもフレーバーと酸の表現はわけて考えています。例えば、柑橘系の酸味があり、赤リンゴの様なフレーバーもある。という様に別軸で表現することで、よりイメージしやすくしています。」

– 柑橘系の酸味があり、赤リンゴの様なフレーバー、、、って、口にはレモン入れて、鼻には赤リンゴあててるみたいなことですかね?なんかすごく頭良くなりそうですね。笑

それにしても、SCAAにしてもCOUNTER CULTURE COFFEEにしても、フルーツだけでもこんなにあるとなると、どんどん深堀りできそうなこのシリーズ。

これからどんどん面白くなりそうです。

まとめ

スペシャルティコーヒーの定義としてある『爽やかな明るい酸味特性』。

その表現においては、各ショップの焙煎士やバリスタが各々培った判断基準でコメントしています。

THE COFFEESHOP でも、スタッフのカッピングコメントをもとにコメントしていますが、やはり一歩進んでいるのはアメリカのスペシャルティコーヒーカルチャーです。

このシリーズ企画では、日本人でもピンとくる様な表現を探るべく、今後も深堀りを進めていきたいと思います。

次回は、3つの酸味表現(Malic、Citric、Tartaric)を、それぞれ食品添加物サンプルと実物のフルーツを用いてレポートしていきます。

お楽しみに!!

WRITER

THE COFFEESHOP

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