ドリルドリッパー DRILL DRIPPER で美味しいコーヒーをいれる|抽出レシピ検証

2019.03.28
SHERE

コーヒー抽出ツール『ドリルドリッパー DRILL DRIPPER』。早速その特徴と実力を検証していきたいと思います。後編では、最適なレシピについて探っていきたいと思います。

ハリオV60との比較

さて、前編では特徴について触れましたが、後編では最適な抽出レシピを探り、美味しいコーヒーを淹れてみたいと思います。

まずは THE COFFEESHOP のお店でも使用しているハリオV60と比較してみました。

このコーヒー抽出レシピで比較

豆:エチオピア/シダモ・ケバド

湯:300ml 92℃

粉:20g 中挽き(ペーパーフィルター用)

レシピ詳細

蒸らし:お湯40g

40秒から50秒まで:お湯40g追加

1分00秒から1分10秒まで:お湯40g追加

1分20秒から1分30秒まで:お湯60g追加

1分40秒から1分50秒まで:お湯60g追加

2分00秒から2分10秒まで:お湯60g追加

コーヒーが落ち切る寸前にドリッパーをサーバーから外して完成

上記が通常使用しているペーパードリップのレシピです。お湯の注ぎ終わりは2分10秒で統一します。

ハリオV60での抽出

上記レシピで抽出した場合、お湯が落ち切ったタイミングは2分42秒でした。

出来上がりのコーヒーは、このドリッパーに合わせて作ったレシピなので当然といえば当然ですが、バランスよく美味しいコーヒーに仕上がりました。

特徴としては、シトラス系の酸、ブラウンシュガーの甘み。冷めるとレモンティーのような風味があります。

ドリルドリッパー アタッチメント無し での抽出はギリギリ可

続いてドリルドリッパーのアタッチメントなしで抽出した場合、お湯が落ち切ったタイミングは2分55秒でした。

出来上がりのコーヒーは、やや過抽出気味な印象でしたが、バランスは悪くないといった感じです。

ドリルドリッパー アタッチメントMおよびS での抽出はアウト

続いてドリルドリッパーにアタッチメントMまたはSをつけた場合の抽出です。お湯が落ち切ったのはMで3分10秒、Sで3分23秒と、注ぎ終わりから1分以上が経過してしまいました。

流石に時間が経ちすぎてしまったため、過抽出です。

ハリオV60レシピがドリルドリッパーに合わないのはなぜか

ハリオV60に合わせたレシピでは、うまく抽出することができませんでした。

その理由ですが、ドリルドリッパーは底穴のサイズがV60より小さく、アタッチメント無しでも透過スピードがV60より遅いということにあります。

コーヒーの粉とお湯が接している時間と、コーヒーの成分が湯に溶け出す量は明確に関係しており、接している時間が長ければ長いほど成分が抽出していきます。

しかしながら、あるタイミングを界に、美味しさに繋がる成分が減り、えぐみや渋みなど、ネガティブな要素が増えていきます。

ドリルドリッパーは、アタッチメント無しでもハリオV60より抽出時間が長いため、そこに湯量を調節するためのアタッチメントをつければ、さらに抽出時間は伸びてしまうわけで、ネガティブな要素が増えてしまいます。結果、美味しいコーヒーからどんどん遠ざかってしまうというわけですね。

ドリルドリッパーで美味しく淹れるポイントを考える

では、ドリルドリッパーで美味しく淹れるためにはどうしたらいいか。抽出スピードを早めればいけるはず!という仮説のもと、下記の通りレシピをカスタムし、再度抽出してみました。

豆を若干粗めに挽く

抽出の前半にかける湯比率を増やす

豆を粗く挽くことで、お湯がくぐり抜けるスピードが上がり、抽出にかかる時間も短くなります。豆を粗めに挽いた分、成分が溶け出しにくくなってしまうので、抽出前半にかける湯量を増やします。

以前の検証 < ドリップ時の湯量を量ることの重要性|美味しいコーヒーを淹れるためには > で、成分が多く溶け出すのは、抽出前半であることがわかっているため、そのタイミングにわざと多くの湯をかけてしまおうという作戦ですね。

あとは細かい点をチューニング。アタッチメント無し=すっきり、アタッチメントM=バランス、アタッチメントS=しっかり、という3つのキャラクターが作れるよう考え、出来上がったのが以下のレシピです。

ドリルドリッパーでのコーヒー抽出レシピ

豆:エチオピア/シダモ・ケバド

湯:220ml 92℃

粉:16g #中粗挽き(通常はメタルフィルター用)

蒸らし:お湯40g

40秒から50秒まで:お湯80g追加

1分00秒から1分10秒まで:お湯50g追加

1分20秒から1分30秒まで:お湯50g追加

コーヒーが落ち切る寸前にドリッパーをサーバーから外して完成

このレシピを用い、アタッチメント無しで抽出した場合、お湯が落ち切ったタイミングは2分10秒。すっきりとした印象で、シトリックな酸、紅茶のようなフレーバーが活きた美味しいコーヒーに仕上がりました。(TDS濃度:1.30前後)

アタッチメントMはというと、お湯が落ち切ったのは2分20秒。バランスの良い美味しいコーヒーが出来上がりました。アタッチメント無しの時と比べ、甘さの余韻がより長くなりました。(TDS濃度:1.37前後)

続いて、アタッチメントSでお湯が落ち切ったのは2分30秒。甘さとボディがよりしっかりとした印象で、ブラウンシュガーの甘さ、とろみのある質感が感じられるコーヒーに仕上がりました。(TDS濃度:1.27前後)

ロースター萩原コメント:
飲んだ時の印象として、アタッチメント無し→M→Sの順番で濃度が濃くなっていくのを感じました。ただ、実際にTDSを測ってみると、仮説ではもっともTDSが高くなるはずのSで思ったように数値が伸びなかったので、単純な濃度以外の別の要因が、味に影響している可能性もあります。

まとめ

結果、ドリルドリッパーで美味しいコーヒーを抽出するためのレシピを作ることができました。

プロのバリスタは、注ぎのスピードや強弱によって、その豆に適した抽出をすることができますが、なかなか家庭でそのレベルで抽出を行うのは難しいですよね。

ドリルドリッパーは、注ぎ方のパターンを一つだけ身につければ、あとはアタッチメントの付け替えだけで簡単に濃度調整ができるという優れものです。

ハンドドリップ初心者~中級者には、嬉しい器具ですね。ドリルドリッパーひとつで3種類のドリッパーを持っているようなものなので、上級者の方もいろいろ試してみる価値はあるかと思います。

焙煎度合いごとにアタッチメントを付け替えてみたり、同じ豆で違う表情を引き出してみたりと、おうちで淹れるコーヒーの幅が一気に広がりそうですね!

最後に、ドリルドリッパー欲しいと思った方は、相変わらずですが THE COFFEESHOP では取り扱っておりませんので、ぜひAmazonで探してみてください。

WRITER

THE COFFEESHOP

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