軟水硬水【コーヒーに合うのはどっち?】おすすめの水とその理由とは

2023.01.20
SHERE

コーヒーを淹れる時、必ず必要になる『水』。

コーヒーの品種・産地も様々ありますが、水の種類もたくさんありますよね。

抽出技術を競う大会などでは、水選びからはじめる競技者や、成分を調整してカスタムウォーターを作成する人もいてかなり慎重に選定されています。

そこで今回は軟水と硬水を例にあげて、コーヒーの味わいにどれだけ水が影響するのか、検証と解説をしていきます。

軟水と硬水の違いとは?

水の種類を軟水・硬水で区別する際の判断基準は、〈マグネシウムイオンとカルシウムイオン(ミネラルのこと)の含有量〉です。

詳しい計算方法は今回省略しますが、一般的に含有量が120より低いと軟水、それ以上だと硬水と分類されます。

ちなみに日本の水道水は基本的に軟水で、ヨーロッパでは硬水が主流です。

今回は、以下4種類の市販品を用いて検証を行います。

白神山地の水(超軟水)

生産国:日本

硬度:0.2

pH:6.6

南アルプスの天然水(軟水)

生産国:日本

硬度:30

pH:約7

エヴィアン(硬水)

生産国:フランス

硬度:340

pH:7.2

コントレックス(超硬水)

生産国:フランス

硬度:1468

pH:7.4

コーヒー飲み比べ検証|美味しく淹れられる水はどれだ?

今回の検証方法は、カッピングを用いて行います。

抽出で行うと、私たちプロの手で淹れたものでも、わずかに味のブレが生じるためです。

そして、今回使用したコーヒー豆はこちら。

Nicaragua(ニカラグア)/ El Bosque NA(エル・ボスケ・ナチュラルアナエロビック)

ゴールドラムや、プルーン、巨峰など香りが豊かなコーヒー。チョコレートのような風味と甘さが長く続くコーヒー豆です。

検証結果1,白神山地の水(超軟水)

クラスト:

香りに甘さがある印象。

普段行っているカッピングと同じような香りを感じました。

ブレイク:

若干香りの弱さを感じるものの、ほぼいつも通りでした。

味わい:

普段の味よりも薄く感じる結果に。

フレーバーや酸の印象が弱いため、少し苦めの水のような味わいでした。

検証結果2,南アルプスの天然水(軟水)

クラスト:

白神山地の水と同様の印象に。

ブレイク:

普段のカッピングの時の香りに一番近かったです。

馴染みがあるからか、甘さの印象を感じました。

味わい:

超軟水のものよりも、酸味・フレーバーの印象が強く、甘さとバランスがとれた味わいに。

「いつも通りの味」といった結果になりました。

検証結果3、エヴィアン(硬水)

クラスト:

お湯を注いだ時、軟水よりも粉が膨らみ、やや鉄分を含んだような香りを感じました。

ブレイク:

クラスト時に感じた硬い印象は薄くなり、軟水とほぼ変わらない結果となりました。

味わい:

質感に重みを感じる出来上がりに。

よく言えば丸みのある質感といえますが、フレーバーに曇りがあるため、ポジティブな表現は難しい。

スペシャリティーコーヒーの良さを活かしきれないといった所でしょうか。

検証結果4、コントレックス(超硬水)

クラスト:

粉が一番膨らみ、ややハーブのような青っぽい香りを感じました。

硬水というイメージがあるからかもしれませんが、少し金属的な香りの印象でもありました。

ブレイク:

クラスト時のハーブや金属的な香りが強くなり、普段の香りとは一番差が出る結果に。

味わい:

今回の4種類の中では最も重たく、暗い味わいになりました。

不味いとは言いませんが、フレーバーや酸味、甘さの印象が引き出せておらず、コーヒー豆の良い部分は取り出せていないと言わざるをえません。

またアフターの伸びも悪く、口の中で味わいが広がっていかないため、豆の種類を変えても最大限に美味しいコーヒーを抽出するのは難しそうです。

総評

水の硬度が低いもの(軟水)を使ったものほど、出来上がるコーヒーの濃度が薄く、硬度が高いもの(硬水)ほど濃度が濃くなる結果となりました。

硬水の方が成分を多く取り出している、いわゆる過抽出の味わいになりやすいことがわかりました。

20分程度経って冷めた時の味も確認しましたが、おおよそ上記の結果と変わらない印象でした。

ちなみにミネラル分を多く含む硬水の方が、成分が溶け出しにくい(浸透圧の関係で)イメージです。

しかしなぜ全くの逆の結果になったのでしょうか。

この後、詳細お伝えしていきます。

スペシャルティだからこそ拘りたい 硬水軟水から生じるコーヒーの味の違い

上記の検証の結果、硬水の方がより濃度が高い印象のコーヒーが出来上がりました。

ではなぜ、軟水と硬水でここまで味の違いが生まれたのか…

大きな原因は〈ミネラルの含有量(マグネシウムイオン・カルシウムイオン)〉と考えられます。

マグネシウムイオンやカルシウムイオンは、コーヒーの香味成分と結合することで、変容や反応を起こしやすくなります。

そのため、コーヒー成分の取り出しの妨げになったり、逆に苦味や渋みの成分を多く取り出してしまったりなど、様々な影響が考えられ、必然的にミネラルを多く含んだ硬水の方が、抽出される味に変化が生まれてきます。

コントレックスのような超硬水で抽出したコーヒーに、トゲトゲしさや、ネガティヴな印象が多かったことも、ミネラルが大きく関わっていると考えて問題なさそうです。

逆に超軟水を使ったコーヒーに味や香りの物足りなさを感じた理由は、ミネラルの影響が極端に少なく、十分に成分を抽出できていなかったせいと考えられます。

このような結果から、コーヒーの抽出に向いている水は〈適度なミネラルが配合された水(軟水)〉ということ結論になりました。

ミネラルウォーターを使うなら、南アルプスの天然水(軟水)がおすすめ

今回は少しマニアックな内容でしたが、一番手軽に扱える水もコーヒー抽出においてはかなり重要だということが確認できたと思います。

ご自宅でここまでこだわる方は少ないかもしれませんが、もしボトルで水を購入する機会があれば、適度なミネラルを含んだ軟水がおすすめです!

記事冒頭で記載した通り、カスタムウォーターを使用した抽出も大会などでは当たり前に行われているので、次回の検証でもう少し深掘りできたらと思っています。お楽しみに!

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