攪拌ドリップで浅煎りのコーヒー豆はもっと美味しく淹れられるのか
SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)主催のジャパンブリュワーズカップでも毎年いろいろなレシピが登場しているように、コーヒーの抽出レシピの可能性は無限大です。
今回の記事では、前回検証した『攪拌ドリップ』という方法を用いて、浅煎りのコーヒー豆をもっと美味しく抽出すべく、実践してみたいと思います。
攪拌ドリップの特徴をおさらい
攪拌ドリップとは、読んでそのまま、抽出中に攪拌の工程を加えるハンドドリップのレシピです。
前回の検証記事で、その特徴を確認しましたが、結果は以下の通りでした。
・マウスフィールにとろみが出る
・甘さが強く感じやすくなる
・フレーバーはやや弱め
ただし、通常のハンドドリップ用の挽き目では過抽出になってしまったため、フレンチプレス用の粗い挽き目にして抽出を行った結果でした。
浅煎りに向く理由
定説では、攪拌ドリップは浅煎りの豆に向いているとのことですが、実際はどうなのでしょうか。
現在 THE COFFEESHOP で取り扱っている豆の中で、もっとも浅く焼いている豆で実際に抽出してみましたが、その結果をお伝えする前に、簡単に仮説を述べておきたいと思います。
攪拌ドリップが浅煎りに向く理由は『豆の硬さ』にあると考えます。
攪拌は蒸らしのタイミングで行いますが、そもそも蒸らしの際、深煎りの豆と浅煎りの豆とで、動きが違うことをご存知でしょうか。
深煎りの豆はガスの発生が多く、湯を注いだ時の膨らみが大きくなります。その際、合わせて対流もおきているため、よりガスが抜けるスピードを加速しています。
攪拌せずとも自ら攪拌されているとでも言いましょうか。混ぜる必要なく混ざってくれているのです。
片や、浅煎りの場合はというと、湯を注いでもあまりガスが発生せず、深煎り豆ほどは大きく膨らみません。これは、単純に豆の硬さによるもので、豆の微細孔からガスが抜け出にくいことが原因です。
つまり、浅煎りの硬い豆ほど、人為的に攪拌を加えてあげることで、本来のポテンシャルを発揮してくれる可能性があるというわけです。
コロンビア サン ヴィセンテ を淹れてみた
では、実際に硬い浅煎り豆で抽出を試してみましょう。
今回使用したのは、コロンビア サン ヴィセンテ です。
標高1,900mの産地で栽培されたウォッシュトコーヒーで、グリーンアップル系の爽やかさを引き出すために、浅煎りにしています。
産地の標高が高く、もともとの生豆が硬いことも特徴とあって、攪拌レシピには最適なのではないか?という期待を持って、いざ抽出。
挽き目は前回の教訓を活かして、フレンチプレス挽きで行いました。
結果、前回同様に
・マウスフィールにとろみが出る
・甘さが強く感じやすくなる
・フレーバーはやや弱め
という特徴がそのまま再現され、通常のハンドドリップで淹れた場合とはまったく異なる印象のコーヒーになりました。
フレーバーはやや劣ってしまうものの、その分甘さが際立つので、こちらの方がお好きな方も多いのではないでしょうか。
フレンチプレスで淹れたコーヒーは微粉が多くて苦手!でも豆の美味しさは丸ごと味わいたい!という方はぜひ試してみる価値があると思います。
まとめ
今回の攪拌レシピ然り、コーヒーの抽出レシピは奥が深く、まだまだ色々試してみる必要がありますね。サン ヴィセンテ も、実はもっと美味しく淹れる方法があるのではと思います。
同じ豆でも、その時の気分やペアリングするものによって、レシピを使い分けることができたら、スペシャルティコーヒーを楽しむ幅は格段にアップします。
THE COFFEESHOP では、日々究極のコーヒーを求め、これからも奮闘(迷走?)して参ります。
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