冷めたコーヒーを温め直す 不味くならない再加熱方法とは?

2021.10.22
SHERE

日々THE COFFEESHOPにはお客様から様々なご質問が寄せられていますが、なかでも気になったご質問や、検証してみないとお応えできないような内容については、『とりあえずやってみよう!』を信条にしています。

今回は、そんなお客様から寄せられたご質問の中より、

「冷めてしまったコーヒーを美味しく再加熱するにはどうすればいいの?」

というテーマについて、検証してみました。

IHか、電子レンジか、湯煎か。コーヒー再加熱検証

抽出後、時間が経過し、冷めてしまったコーヒーを複数の方法で再加熱。美味しく温め直す方法を探っていきます。

それでは早速、検証していきましょう。検証方法は以下の通りです。

コーヒー再加熱の検証

抽出方法:

V60 ペーパードリップ

コーヒー豆:

Mix Origin/ Dark Mix(深煎り)

再加熱の条件

抽出後、1時間が経過したコーヒー100ml(約32℃)を、ドリップ直後のコーヒーの温度73℃まで再加熱する。

再加熱の方法は、以下3パターンで検証していきます。

1.コーヒーを小鍋に移し、IHヒーターで加熱する。

2.マグカップのまま電子レンジ(500W)にかける。

3.サーバーに移し、湯煎で加熱する。

検証結果 もっとも美味しさを損ねないのは?

コーヒーの再加熱、検証結果は以下の通り。

①IHヒーターで温め直した場合(中火程度で加熱、沸騰はさせない)

IHヒーターでのコーヒー再加熱は、約1分で適温となりました。

結果、温まったコーヒーは、煮詰まったような印象で、舌が痺れる様な鋭い酸味も出ていました。

後味の印象が非常に悪く、今回の検証の中でもっともネガティブな味わいに。

②電子レンジで再加熱(500W)

電子レンジでのコーヒー再加熱は、約1分30秒で適温となりました。

IHヒーター使用時と比べると、比較的コーヒーの味を崩すことなく再加熱ができました。

ただし、やはり煮詰めすぎたような印象はあり。

苦くて濃いコーヒーになってしまい、淹れたての美味しさとは程遠い状態です。

③サーバーに移し、湯煎で再加熱

湯煎の場合、先の2つよりも時間を要し、コーヒーが適温になるまでには、約7分30秒掛かりました。

結果、今回検証の3パターンの中では、最も美味しく再加熱することができました。

若干の雑味、ネガティブな苦味は出てしまったものの、なんとか「美味しい」と思えるレベル感かと思います。

冷めたコーヒーを美味しく温め直す方法

加熱方法の違いで、コーヒーを温め直した時の美味しさには、かなりの違いが生じました。

今回の検証では、③の湯煎を用いた場合が、最も元のコーヒーの味を損ねずに温め直すことができる、という結果になりました。

今回の3パターンの検証では、温め直しにかかる時間の長さと美味しさとが、比例関係になっていたように感じます。

加熱時間が短い場合が最もネガティブであり、長いほど味が損なわれませんでした。

これは、コーヒーに限らずですが、一般的に温度が高い時には、激しく物質の成分変化が起こるということに関係があるかと思います。

加熱時間が短い方法だと極端に熱くなる部分(=温めムラ、一部過熱状態)が出来てしまい、ネガティブな成分変化が起こってしまったのではないでしょうか。

また、3パターン共通の結果として、煮詰まってしまったような味になった、ということがありますが、これは水分の揮発によるものと思います。

今回の結果のみで判断するのであれば、サーバーにラップをかけて、揮発を伏せいだ状態で湯煎、という方法が良いかもしれませんね。

番外編:水出しアイスコーヒーを再加熱

先ほどまでの検証では、一度ホットコーヒーで淹れてから冷めたものを温め直しましたが、最初からアイスコーヒーで作った水出しを再加熱した場合はどうなるのでしょうか。

気になったので、こちらも検証してみました!

水出しアイスコーヒーを再加熱した結果

再加熱の方法は先ほどまでと同じ3通り。加熱温度の目安も同様に73℃に設定します。

なお、温める前の液体の温度は、冷蔵庫から出してすぐ、約11℃のものを使用します。

①IHヒーターで再加熱(中火程度で加熱)

約2分で適温に。

コールドブリュー特有の丸みが悪い印象にり、なぜか納豆のような香りが…。

凄く不味いわけではないが、美味しいとも言えない。

②電子レンジで再加熱(500W)

約2分で適温に。

①よりもさらに納豆のような印象が強い。

今回行った全検証の中で、最も美味しくなかった。

口に含んだ時に甘さや香りが感じにくく、コーヒー風味のお湯のような飲み口。

③サーバーに移し、湯煎で再加熱

約9分30秒で適温に。

ペーパードリップでの検証と同じく、この方法が最も美味しく飲むことができた。

滑らかな質感と甘さは残る。

ただ、元々が水出しでの抽出のため、スペシャルティコーヒーらしい爽やかな酸味やフレーバーはあまり感じられず、お湯でドリップした時に比べると、暗くフラットな印象。

水出しの再加熱はネガティブな印象に

全体の印象としては、ペーパードリップの再加熱と似た結果になりました。

ただ、なぜ元のコーヒーの味わいにはない、納豆のようなネガティブな香りが出てきたのかは不明です。(もしかして発酵してる?)

また、湯煎した時の仕上がりも、飲めなくはないものの、スペシャルティコーヒーとしては物足りない仕上がりに。

そもそもの水出し抽出では、フレーバーや酸味の成分はあまり抽出されないので、温かいコーヒーとして飲むならばお湯を使って抽出した方が良いと思います。

コーヒーの再加熱はおすすめしません!

いくら美味しいスペシャルティコーヒーだったとしても、抽出して冷めてから再加熱を行うと、かなり風味が劣化してしまうことがわかりました。

やはり、その都度飲みたい時に、飲みたい量だけ抽出するのが一番。

もしくは、ある程度の時間をかけて飲みたい時には、保温できるポットやタンブラーなどに入れて、冷めないようにしていただくことをおすすめします。

それでもどうしても再加熱の必要があるときには、ゆっくり時間をかけて湯煎して温め直しましょう。

コーヒーについて知りたいこと、こんな検証してほしい!これについてプロの意見を聞きたい!など、お気軽にメッセージください。

WRITER

THE COFFEESHOP

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