HARIO 浸漬式ドリッパー スイッチ 使用レビュー&おすすめレシピ
浸漬式とは?
焙煎したコーヒー豆を細かく粉砕し、その成分をお湯に溶かし出すことを『抽出』と言いますが、
この抽出には大きく分けて、『透過式』と『浸漬式』の2パターンがあります。
『透過式』はその名の通り、コーヒー粉の層にお湯を透過させるさせながら成分を取り出す方法。
代表的なものにはハンドドリップが挙げられます。抽出の際に多少の技術が必要となる代わりに、抽出時間・速度のコントロールで味に変化がつけられるのが特徴です。
対して『浸漬式』は、コーヒー粉とお湯とを一定時間漬け込むことによって成分を取り出す方法。フレンチプレスがその筆頭ですね。抽出に特に技術は必要なく、時間や湯量などをしっかり計ることで、誰でも安定した抽出を行うことができます。
HARIO 浸漬式ドリッパーの特徴
それでは、HARIO 浸漬式ドリッパーを見ていきましょう。
本体上部はガラス製。V60と同じ形状で、特徴であるスパイラルリブもついています。
本体下部はシリコン製で、ホルダーの役目を果たす部分。中にはステンレスの球が入っていて、スイッチ部分を上げることでステンレス球がドリッパー底面の穴を塞ぎ、お湯の流れを塞きとめるようになっています。
スイッチ部分を下げると、ステンレス球が穴から外れ、お湯が下に抜ける、という仕組み。意外とシンプルな作りですね。
本体にはペーパーフィルターが付属で付いてきますが、HARIO V60 02サイズのものとほぼ同じ形状。
ただ、市販の02フィルターと比べて表面のクレープ加工が強いように見えます。
クレープ加工とは、ペーパーフィルター表面の凹凸のこと。クレープ加工が強いと粉の目詰まりを防ぎ、お湯が抜けるスピードが早くなります。安定した抽出ができるのが魅力の浸漬式ドリッパーでは、その方が毎回同じタイムでお湯を落としきることができので、より適していると言えますね。
付属のフィルターを使い切ったら、HARIO V60のフィルターではなく、同じ形状でよりクレープ加工の強い『CAFEC 中深煎り用円すいコーヒーフィルター2〜4杯用』を買うのもいいかもしれません。
HARIO 浸漬式ドリッパーでコーヒーを抽出してみる
まずは説明書に記載のレシピからテスト。
テストレシピ
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豆量:20g 中細挽き
湯量:240ml (湯温記載なしのため、95℃でテスト)
抽出時間:2分程度浸漬してからお湯を抜く
まず、ドリッパーをサーバーにのせ、付属のペーパーフィルターをセット。
スイッチを上げた状態でお湯を注ぎ、ペーパーのリンスとドリッパー部分の温めをします。
お湯がホールドされるので、ドリッパー部分がしっかりと保温できるのは嬉しいですね。
ある程度温まったらスイッチを下げてお湯を抜き、再度スイッチを上げて粉をセット。
タイマーをスタートすると同時に、95℃のお湯を240ml投入。そのままタイマーが2分になるまで待ちます。
説明書には「お好みで攪拌するとよりコクのあるコーヒーが抽出できます」とありますが、まずは攪拌せずに試してみます。
2分経ったらスイッチを下げ、コーヒー液をサーバーに落とします。
落ちきりタイムは約2分50秒でした。
出来上がったコーヒーはやや過抽出気味…。
粉とお湯の比率が1:12ということで、かなり粉を多く使っている印象なので、ここを調整してレシピを探ります。
THE COFFEESHOP的おすすめレシピ
調整後レシピ
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豆量:18g 中挽き
湯量:250ml 95℃
抽出時間:2分浸漬してからお湯を抜く
落ちきりタイム:2分30秒~45秒程度
粉とお湯の比率を1:14に調整したレシピです。
THE COFFEESHOPで発売している中煎り前後の焙煎度合いでは、この比率がベストでした。
また、このレシピでは攪拌も必要ないので、よりシンプル・簡単に抽出することができます。
焙煎度合いや味の好みでも変わりますので、比率を変えながら良いポイントを探すのも楽しそうです。
アイスコーヒー用レシピ
こちらは急冷式アイスコーヒー用のレシピ。サーバーなどに氷を入れておき、そこに向かってSwitchからコーヒーを落として急冷します。
基本的な手順は同じ、豆量と湯量を調整するだけで、美味しいアイスコーヒーが淹れられます。豆の焙煎度合いや味のお好みで、豆量を増減するのもOK。
アイスコーヒー用レシピ
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豆量:23g 中挽き
湯量:200ml 96℃
氷:150g
抽出時間:2分浸漬してからお湯を抜く
落ちきりタイム:2分30秒~45秒程度
HARIO 浸漬式ドリッパー スイッチの良いところ
安定して美味しい
正直、かなり美味しく抽出ができてびっくりしました。浸漬式らしく、コーヒー豆のもつポテンシャルがバランスよく引き出せていて、これ一台あればかなり満足度の高い抽出ができそうです。
微粉が入らない
浸漬式の抽出器具の代表といえばフレンチプレスですが、どうしても起きてしまうのが微粉の混入。気になる人には大問題な微粉ですが、このドリッパーならフレンチプレスと同じくらい簡単な抽出ながら微粉の混入はほぼ100%防げます。
1台2役
スイッチの上げ下げでお湯の透過をコントロールできる仕組みですが、スイッチを下げて底穴を開けたまま抽出すれば、通常のV60としても使えます。
家庭に1台あれば、透過式と浸漬式の2通りの抽出ができるので、気分によって使い分けができますね。
さらに言えば、抽出の最中に底穴の開閉をすることで、かなり複雑な抽出レシピを組み立てることもできます。例えば、蒸らしの時だけお湯が落ちないようにホールドし、2投目から解放する、といった感じ。さらに攪拌も加えると、レシピ開発の幅がとても広がり、スーパーマニアックな抽出レシピを作ることもできるかも。
HARIO 浸漬式ドリッパー スイッチの気になるところ
スイッチ部分の造りに不安
実物を見るとよくわかるのですが、スイッチ部分のギミックはかなりシンプルで、スイッチを上下することでアームが動いてステンレス球を押し上げる、というもの。
このアーム部分がプラスチックでできているのですが、いかにも折れそうで心許ない造り…。
分解して洗浄できますが、油断すると折ってしまいそうで不安を感じます。
せめてここもステンレスか硬いゴムで作ってくれればよかったのですが…。
フタがない
同じ浸漬式ドリッパーとしてより古参のCleverドリッパーには付属のフタがついていて、4分漬け込みをしても抽出中の温度が下がらないようになっていますが、HARIOスイッチにはフタがありません。
そのため、4分漬け込みのレシピではなく2分~3分での抽出が推奨されます。
Cleverやフレンチプレスのように4分以上かけて抽出するのに比べて、抽出時間を短くせざるを得ないので、粉量を多くしたり、途中で攪拌を加えたりする必要がでてきます。
まとめ
今回の浸漬式ドリッパー スイッチ、コーヒー関係者からの前評判が良かったため、使うのを楽しみにしていましたが、期待以上に良いツールだと思いました。
コーヒー豆のポテンシャルをしっかりと引き出す抽出が安定して行え、さらには抽出メソッドの更に深淵なる世界にも連れて行ってくれそうな可能性を感じました。
初心者から上級者まで楽しめるドリッパーだと思います!
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