コーヒーの『嫌な酸味』、原因はハンドドリップ時の未抽出かも?2つの改善方法をお教えします。

2023.12.22
SHERE

THE COFFEESHOPの店頭で『酸っぱいコーヒーが苦手』というお声をいただくことがあります。

もちろん味の好みは人それぞれなのですが、そんな方にスペシャルティコーヒーを飲んでいただくと、嫌な味がしない!と驚いていただくことも多いです。

この『嫌な味・嫌な酸味』というのは豆のポテンシャルも関係しますが、コーヒーが未抽出になってることも多いのです。

そこで今回は、コーヒーの未抽出に関して味の特徴と改善方法をまとめてみました。

コーヒーの未抽出から起こる 3つの『嫌な味』

コーヒーのハンドドリップ時、未抽出によって引き起こる『嫌な味』には、どのようなパターンがあるのでしょうか。

3つに分けてご紹介していきます。

1,舌先にピリピリ残るような酸味

コーヒーの味が広がらず、後味にも強い酸味やピリピリした印象を持った場合は、未抽出が原因の可能性が高いです。

コーヒー本来の心地いい酸味は甘さを伴うことがほとんどですが、未抽出の場合は塩味に近い味も一緒に感じやすいという特徴があります。

評価項目でソルティーという表現もあります。

2,甘さの印象が薄く 立体感のない味

コーヒーのカッピングコメントでは、甘さの表現でブラウンシュガー・キャラメル・黒糖・チョコレートなどなど、多彩なコメントを使用します。

未抽出の場合、この甘さの印象が薄く、立体感のない味に仕上がってしまいます。

甘さが薄いというのは、カッピングコメントに記載されているコメントが、どれも水っぽい印象に感じる傾向が強いです。

コーヒーの味わいは、甘味や苦味、酸味などの要素で構成されていますが、特に未抽出で甘味がすっぽりと抜け落ちたコーヒーを飲むと、酸味を強く感じやすくなります。刺激的な酸味を感じる、という場合には、甘さが足りないことが原因であることが多いのです。

3,後味の余韻が短く 広がりのない単調な味

コーヒーの後味の余韻は、パターン2の甘さが薄いことも関係するのですが、鼻から抜けていく香りも重要です。

未抽出の場合には、本来であれば感じられる香り・フレーバー・香ばしい印象などが弱く、後味に広がりを感じにくい仕上がりになりやすいです。

『嫌な味・嫌な酸味』を出さない!プロが教える改善方法

では、未抽出を改善し、『嫌な味・嫌な酸味』を出させない方法について、2つの方法をお伝えしていきます。

改善策1,コーヒー豆の挽き目を細かくする

ハンドドリップ時の未抽出は、コーヒーの粉から十分に成分を取り出せていないということなので、より効率的に成分を取り出してあげることで、嫌な酸味を感じにくくすることができます。

挽き目を細かくする方法は、特に甘さの印象が薄く立体感のない味になってしまった場合や、後味の余韻が短く広がりのない単調な味になってしまった場合に有効です。

粉の表面積を増やすことで、粉とお湯が触れる面積が多くなり、より成分を取り出すことでふくよかな甘さや香りに立体感のあるコーヒーを抽出することができます。

改善策2,お湯の温度を86℃〜90℃程度に設定してみる

コーヒーの主な成分は水溶性なので、もちろん水でも取り出すことが可能ですが、より温度が高いお湯を使用した方が、濃く成分を抽出することができます。

短時間でコーヒーを美味しく抽出する場合には、最低でも86℃以上のお湯を使用することをおすすめします。

抽出中にケトルに蓋をしたままなのか、外して抽出するのかでも出来上がりの味が変わるので、気になった方は試してみてください。

お湯の注ぎ方によるコーヒー抽出時間のブレにも注意

上記2点のポイントを変えてみても、まだ未抽出感を感じてしまう場合、〈注ぐ時間をどのくらい確保しているのか〉を気にしてみてください。

注ぐ時間と間隔にどのくらいかけているのかは、抽出時間の合計に関係してきます。

実際に粉量・挽き目・湯量・湯温などは変えずに、注ぐ時間と間隔を変えて検証してみました。

抽出に使用したコーヒー豆は、Colombia / Astrid Medina & Rubiera Velazquez。レモンやグリーンアップル、ダージリンのような風味がある豆ですが、浅煎りで抽出効率が悪く、未抽出になりやすい特徴もあります。

検証レシピ① 注ぐ時間と間隔を10秒にした場合

0’00”~0’10” 50g

0’35”~0’45” 70g

0’55”~1’05” 80g

1’15”~1’25” 100g

抽出時間合計:約2分10秒

▼出来上がったコーヒーの特徴

酸はレモンのようなシトラスフレーバーを感じますが、甘さの印象がぼやけているため、薄い印象のコーヒーになりました。

カップコメントにあるグリーンアップルがグラッシーに感じ、後味に曇りがある仕上がりです。

検証レシピ② 注ぐ時間と間隔を15秒にした場合

0’00”~0’15” 50g

0’35”~0’50” 70g

1’05”~1’20” 80g

1’35”~1’50” 100g

抽出時間合計:約2分51秒

出来上がったコーヒーの特徴

ストーンフルーツや花の蜜のようなイメージ。酸・甘さともに柔らかさを感じるコーヒーになりました。

浅煎りの爽やかな雰囲気と甘さをバランスよく取り出せています。

慌てずしっかり味を出す

以上の結果で特に着目していただきたいのは、〈抽出時間合計〉の部分です。

10秒間隔で統一したレシピと、15秒間隔で抽出したレシピの抽出時間の差は約40秒程度。

後者のレシピの方が、粉とお湯が触れる時間が長く保てていることになります。

未抽出を防ぐためには、過抽出にならない程度に抽出時間を長く設定することもポイントです。

粉の挽き目や湯温・湯量を見直しても未抽出になりがちの方は、抽出時間にも着目してみてください!

まとめ

今回はコーヒーの未抽出に対するアプローチをご紹介しました。

せっかくご自宅でコーヒーを飲むなら、美味しく飲んでいただきたいですし、ご自身で味の調整ができるともっとコーヒーを楽しんでいただけると思います。

どれも特別な器具など必要なく、簡単にできる改善方法なので参考になれば嬉しいです。

WRITER

Mayuka Jimbo

THE COFFEESHOPバリスタ・ストアサブマネージャー。

富ヶ谷のロースタリーROAST WORKSにてドリンクを提供。フードペアリング担当。レシピの改善や、抽出技術の向上に日々取り組んでいる。

毎週日曜8:45〜はInstagramとYouTubeで15分間のライブ配信中!

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