ホットコーヒーとアイスコーヒーで味に違いが生じるのか?”同じ豆なのに美味しくない”の正体とは
THE COFFEESHOP によく寄せられる質問に、『アイスコーヒーにおすすめの豆はありますか?』というものがあります。
回答としては、『スペシャルティコーヒーの豆は、すべてアイスコーヒーにしても美味しく楽しめますよ。』というものです。
しかし、実はホットで淹れた場合とアイスで淹れた場合で、美味しさの特徴に違いが出ることも事実。
そこで今回は、同じ豆を使ってホットコーヒーとアイスコーヒーを作った場合、それぞれどんな味になるのか、どんな特徴が強く出るのかについて見ていこうと思います。
“いつもの豆でアイスコーヒーを淹れたら不味かった”の正体
最初にお伝えした通り、スペシャルティコーヒーの豆は、基本的に(かなり特徴的な焙煎をしていない限り)ホットでもアイスでも、美味しく飲むことができます。
しかし、この時期お店に寄せられる質問には『アイスコーヒーにおすすめの豆は?』という問いが多い。この背景には、いつもの豆をアイスコーヒーにしてみたら、不味かった。ということがあるのではないでしょうか。
この原因、一つは淹れ方というのもあるかと思います。しかし、そもそもホットで飲む場合とアイスで飲む場合とでは、味の感じ方が異なることも事実です。不味かったというよりも、好みの味じゃなかった。こんな表現の方があっているのかもしれません。
温度で変わるコーヒーの味
以前の検証でお伝えしましたが、コーヒーは、飲む温度によって感じられる味が変化します。
検証記事からの抜粋になりますが、例えば以下のような感じです。
▼ブラジル/ファゼンダ カシャンブ
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64.0℃:
カシューナッツ、ミルクチョコ、カカオニブのようなフレーバー。
ホワイトグレープのような爽やかな酸味と、かすかにブルーベリーの風味。
51.5℃:
シトラス、グレープフルーツピールのようなすっきりとした風味。
ヘーゼルナッツのような甘みのあるナッツ感がある。
43.8℃:
ミルクチョコ、きび糖のような風味。
質感はスムース、穀物のような甘さが残る。
ホットコーヒーとアイスコーヒーの場合、上記検証結果よりも極端に温度差があるため、感じられるフレーバーや味の違いがもっとハッキリしてきます。ホットで美味しかった豆が、アイスにしたら『好みじゃなかった』というのは、これが大きな要因となります。
実験:アイスコーヒー用の豆でホットコーヒーを淹れてみる
では、ここからは実験。実際に同じ豆で、ホットコーヒーとアイスコーヒーを抽出し、味やフレーバーにどんな違いがあるのか、確かめてみました。
使用豆:
ICED COFFEE MIX 2020
抽出方法:
どちらもハンドドリップ(メタルフィルター)で抽出
比較ポイント:
同じコーヒーでも、アイスとホットでどう印象が変わるのか
結果は以下の通り。より強く感じられた味・フレーバーから順に記載します。
▼ホットコーヒー
ダークチョコレート
ビターキャラメル
ロングアフターテイスト
シトリック
ホットコーヒーの場合、スイートネス(甘さ)とアフターテイストが伸びる印象でした。上記を見ていただいてわかる通り、甘さに関係するコメントが多いですよね。また、ホットから冷めてくると、アシディティ(酸味)も感じやすくなってきます。
液体表面から立ち上ってくるアロマは、アイスにはほとんど感じられないもの。ホットコーヒーならではの魅力と言えます。
(ただし、今回実験で使用した豆は、アイスコーヒー用に焙煎・ブレンドした豆なので、ホットで淹れたときは個性をあまり感じませんでした。ありきたりな味になってしまいました。)
▼アイスコーヒー
ブライトアシディティ
オレンジ
チェリー
マスカット
チョコレート
対してアイスコーヒーは、アシディティ(酸味)を全面に感じやすい印象でした。シトラスやチェリー系の酸味が強く、ホットと比べアフターテイストは短くすっきりしたものに。
特に2020年のアイスコーヒーミックスは、前年までと比べて明るい酸をテーマに加えているため、そこが明確に現れたといった感じでしょうか。
(アイスで淹れたときの方がブライトな酸味のある個性的なコーヒーになっている。もちろん、それを狙って設計してますが。)
アイスで感じやすい味を把握して好みの豆を探そう
同じ豆でも、ホットとアイスで感じられる味には大きな違いがあること、お分かりいただけたでしょうか。まとめると、以下のようになります。
ホットコーヒーで感じやすいのは:
フレーバー、スイートネス(甘さ)、アフターテイスト
アイスコーヒーで感じやすいのは:
アシディティ(酸味)
これは、今回検証したアイスコーヒーミックスだけに限らず、コーヒー豆全般にも言えること。抽出方法や抽出レシピによって多少の差はありますが、共通して同じ傾向になりやすいです。
ホットの時には感じなかった酸味も、アイスにしたら現れるかも。ホットの時に感じられたダイレクトな甘さは、アイスにしたら和らぐかも。
いつもの豆でアイスコーヒーを作る際には、こんな予想を立てながら楽しんでみるのも、アリなのではないでしょうか。
また、アイスにした際に感じられる酸味が苦手という方は、比較的まろやかな味になる水出しコーヒーにするというのも、良い方法だと思います。
同じ豆でも変わる味。コーヒーの味探求、ぜひ楽しんでくださいね!
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THE COFFEESHOP
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