【ハンドドリップ】ハイブリッド抽出とは?透過と浸漬のいいとこ取り|美味しいコーヒーの淹れ方講座 No.5

2025.05.02
SHERE

多くの方がチャレンジしやすく、身近な〈ハンドドリップ〉。しかし抽出とはなかなか奥が深いもの…

ということで、より抽出理論を深掘りするハンドドリップ講座を用意してみました。

原理や抽出理論を知識として持っておくと、レシピのアレンジや修正・作成が可能になります。

今回は第5弾!近年WBrCでも注目を集める〈ハイブリッド(Hybrid)抽出〉がテーマです。

こちらの内容は、THE COFFEESHOP公式YouTubeでも公開しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。

ハンドドリップのハイブリッドメソッド(Hybrid Method)とは?

コーヒーの抽出技術を競うWBrCにて近年注目されている〈ハイブリッド(Hybrid)抽出〉。

簡単に仕組みをお伝えすると、コーヒーの2大抽出方法である『浸漬式と透過式』を組み合わせた抽出方法です。

言葉にするとシンプルですが、実践する時は浸漬式と透過式の切り替えが重要なポイントになります。

そこで今回は、ハイブリッド抽出の原理やポイントを抑えつつ、ご自宅でも簡易的に再現していただけるようなレシピをご紹介していきます!

こちらの内容は、前回までの動画(特に浸漬式と透過式について)をご覧いただくと、よりわかりやすくなりますので、合わせてご覧ください!

ハイブリッド抽出|開発の狙いは?

これまで様々な抽出レシピやコーヒー器具が開発されてきましたが、抽出方法を組み合わせるということは簡単ではありませんでした。

しかしHARIO 浸漬式ドリッパー Switchが発売されたことにより、抽出方法の組み合わせが容易になります。

ハイブリッド抽出の大きな目的は、浸漬式と透過式のいいとこ取りをして、より美味しいコーヒー成分をピンポイントで取り出すことです。

前回までのハンドドリップ講座で、コーヒー成分は時間経過によって取り出しやすい味わいが違うこと、浸漬式と透過式の原理・それぞれの味の特徴をお伝えしてきました。

▼抽出前半は酸味やフレーバーの成分が溶け出しやすく、後半になるにつれて苦味や雑味成分が溶け出す

▼浸漬式は成分の取り出しが控えめで、ネガティブな味わいを抑えることができ、透過式は成分を効率的に取り出すことが可能

ざっくりすると上記の2点。

ハイブリッド抽出は、美味しいコーヒー成分が溶け出しやすい抽出前半はより抽出が促進される『透過式』、えぐみなどネガティブなコーヒー成分が溶け出す抽出後半は『浸漬式』にすることで、通常ドリップよりも簡単にピンポイントで狙った味わいを抽出できる抽出方法とされています。

日本人として初めてWBrCチャンピオンに輝いた、粕谷 哲氏が第一人者として広く普及し、ご自身のYouTubeチャンネルでも解説されています。

湯温の設定から細かく解説されていますので、ご興味ありましたらぜひご覧ください。

今回は、あくまでもハイブリッド抽出の原理を理解していただくため、できるだけご自宅でも再現しやすいように、簡易的なレシピにしてご紹介します。

THE COFFEESHOP バリスタが教える おすすめ簡易レシピ

それでは実際に抽出レシピをご紹介します!

ハイブリッド抽出には、HARIO 浸漬式ドリッパー Switchが必須になりますのでご注意ください!

ご自宅で再現できる|ハイブリッド抽出レシピ

用意するもの

・HARIO 浸漬式ドリッパー Switch

・円錐型ペーパーフィルター

・サーバー

・電気ケトル(※ない場合は温度計で湯温を計測しながら対応しても可)

・コーヒー豆:15g(中挽き)

・お湯:240g(90℃)

抽出レシピ

①ドリッパーにペーパーフィルターをセットし湯通し

②スイッチが下がり、透過式になっていることを確認したら粉を計り入れる

0'00"〜0'10" +40g

0'40"〜0'50" +40g(合計80g)

1'10"になったらスイッチを上げ、浸漬式に切り替える

1'15"〜1'25" +160g(合計240g) 

2'00” 再びスイッチを下げ透過式に切り替える

3'00"までを目安にお湯が落ち切ったら完成

上記のレシピは抽出前半の2投でコーヒー成分をしっかり抽出し、後半の浸漬部分で控えめに成分を抽出する、2段階構成になっています。

ちなみに、粕谷さんが公開されている動画では、3投目に注ぐお湯は70℃。

湯温を下げると、浸漬時間により成分の溶け出しを抑える効果があるため、よりクリーンで鮮やかな味わいに調整可能です。

ケトルが2台ない場合でも、2投目までにお湯に水を足すなどの調整方法で温度調整をすると、より本格的に再現しやすいと思います。

ハイブリッド抽出はおいしさをピンポイントで抽出できる|レシピの調整方法も解説

実際に上記のレシピで抽出してみると、浸漬式と透過式の中間のような、甘さ・酸味・口当たりのいずれも強化された味わいになりました。

コーヒー豆の個性や、ご自身の好きな味を取り出しやすのはハイブリッド抽出ならではだと思います。

今回のレシピは、1投目と2投目を40gずつ90℃に設定しましたが、湯量・湯温・蒸らし時間を変更するとまた違った味わいに仕上がります。

また、3投目の湯温をぐっと下げることで味わいに変化をつけることも可能です。

透過式だけ、浸漬式だけだと狙った味わいを取り出すのには、レシピ修正の慣れや注ぎの技術が必要ですが、ハイブリッド抽出は投入回数や各分量を変更していくとで、レシピ作成や応用ができます。

「スイッチ ハイブリット」などで検索すると、既存のレシピが沢山でてきます。

程よい難しさで、お家コーヒーをさらに楽しんでいただけると思いますので、ぜひ試してみてください!

まとめ|動画はTHE COFFEESHOP OFFICIAL YouTube Channelで!

今回はコーヒーの抽出方法〈ハイブリッド(Hybrid)抽出〉をご紹介しました。

一見複雑な手順ではありますが、抽出に慣れてきたり、原理の理解が深まるとご自身でも調整しやすく、手軽にクオリティーが高いコーヒーを楽しむことができます。

ぜひ一度お試しください!

今回の内容は、THE COFFEESHOP OFFICIAL YouTube Channelでも公開しています。

また、抽出をリアルタイムで見れる”Brew Timer”や、最新コーヒー器具の紹介、定期便でお届けしたコーヒー豆の内容をライブ配信でご紹介など、続々更新中なので、ぜひチャンネル登録などよろしくお願いいたします!

WRITER

Mayuka Jimbo

THE COFFEESHOPバリスタ・ストアサブマネージャー。

富ヶ谷のロースタリーROAST WORKSにてドリンクを提供。フードペアリング担当。レシピの改善や、抽出技術の向上に日々取り組んでいる。

毎週日曜8:45〜はInstagramとYouTubeで15分間のライブ配信中!

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