【ハンドドリップ】Wasin Kusakabe氏考案のハイブリッドメソッド!コーヒー抽出レシピ|美味しいコーヒーの淹れ方 講座 No.6

2025.05.04
SHERE

多くの方がチャレンジしやすく、身近な〈ハンドドリップ〉。しかし抽出とはなかなか奥が深いもの…

ということで、より抽出理論を深掘りするハンドドリップ講座を用意してみました。

原理や抽出理論を知識として持っておくと、レシピのアレンジや修正・作成が可能になります。

今回は第6弾!WBrC2024 タイ代表:Wasin Kusakabe氏が考案した、大会出場時の抽出レシピを解説します!

こちらの内容は、THE COFFEESHOP公式YouTubeでも公開しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。

Wasin Kusakabe氏 考案|Hybridコーヒー抽出レシピ

これまでのハンドドリップ講座では、成分の溶け出す順番や、コーヒーの濃度を表すTDSと収率、味の調整方法、2大抽出方法の原理などをお伝えしてきました。

前回、浸漬式と透過式を組み合わせた『Hybrid抽出』の原理をお話ししましたが、今回は抽出の世界大会で使用されたHybrid抽出のレシピをご紹介します。

こちらの内容は、YouTubeでも公開している、【ハンドドリップ講座】を順番にご覧いただくことで、より理解が深まり応用のきく内容になっていますので、ぜひご確認ください!

では早速、WBrC2024 タイ代表:Wasin Kusakabe氏が考案した、大会出場時の抽出レシピをご紹介します。

実際の大会では水や粉の粒度をカスタムした内容ですが、今回はご自宅でも再現できるよう、レシピをやや簡易的にしています。

大会出場時のプレゼンテーションは、下記動画をご確認ください!英語字幕のみになりますが、とても参考になります。

Wasin Kusakabe氏考案|Hybrid抽出レシピ

用意するもの

・HARIO 浸漬式ドリッパー Switch 02サイズ

・SIBARIST Booster 45mm

・NANA Competition Wave Filters

・サーバー

・コーヒー豆:13g(中細挽き程度)

・お湯:220g(内140gが94℃、80gが70℃)

抽出レシピ

①ドリッパーの底にSIBARIST Booster、その上にNANA Competition Wave Filtersをセットする

②SIBARIST Boosterとフィルターの設置面が均等になるように湯通しを行う

③湯通ししたお湯は捨て、ドリッパー内に粉を計り入れる

④タイマースタートし抽出開始

0’00”~0’15” +60g(94℃)/ 浸漬式の状態で注ぐ

0’45”~1’05” +80g(94℃)/ スイッチを下げ、透過式の状態で注ぐ

1’30”~1’45” +80g(70℃)/ スイッチを上げ、浸漬式で状態でセンタープア

2’15”になったらスイッチを下ろし、透過させる

3’00”~3’30” / 抽出完了

抽出のポイントは?|徹底的に抽出のブレを防ぐハイブリッドメソッド

今回のレシピで大きな特徴は、

①浸漬式と透過式を組み合わせたハイブリッド抽出であること
②SIBARIST Boosterを使用することで、円錐型ドリッパーでも平底型フィルターを使用できる
③器具それぞれの特徴を活かし、抽出のブレを最小限に抑えている

以上の3つになります。一つず解説していきましょう!

①浸漬式と透過式を組み合わせたハイブリッド抽出であること

前々回のハンドドリップ講座でお伝えした通り、浸漬式と透過式のそれぞれのメリット活かすため、ハイブリッド抽出でレシピを組み立てています。

また、ハイブリッド抽出だからこそ叶う、投入回数の少なさ・シンプルな注ぎでレシピを作成することで、よりプレゼンテーション中にも抽出を行いやすくなり、最終的なスコアに大きな加算となりました。

②SIBARIST Boosterを使用することで、円錐型ドリッパーでも平底型フィルターを使用できる

本来、平底型ドリッパーに使用するアシストツールを円錐型ドリッパーにセットすることで、平底型のNANA Competition Wave Filtersが使用可能になります。

このNANA Competition Wave Filtersは、今回のレシピ考案者:Wasin Kusakabe氏が開発に携わっており、湯通し不要のフィルターを使用することで、3カップ同時抽出の際により安定した味わいを再現できるよう配慮されています。

また、平底型は粉の層が円錐型に比べ薄いため、狙った味わいが抽出しやすいといったことも、アシストツールを使い、平底型のフィルターを使用するメリットです。

③器具それぞれの特徴を活かし、抽出のブレを最小限に抑えている

ここまで解説してきた器具の選定は、プレゼンテーションを行いながら抽出をする大会用に、限りなく抽出ブレが起きないような組み合わせで選定されているように思います。

実際の大会では約10分の間に抽出レシピの説明、コーヒーの味わいの説明、器具の選定理由、抽出理論などを話しながら、3カップ同時に抽出し審査員へサーブを終えなければいけません。

ただ、この工程は練習や慣れはもちろんですが、スムーズなオペレーションでなければ完成しません。

そこで、器具や抽出レシピを最大限シンプルにしつつ、アシストツール・ペーパーフィルターの特性を活かした水・粒度を選定していったのではないかと、レシピを見ていて思いました。

クリーンカップの良さが際立つ|計算しつくされた抽出レシピ

ここまで抽出レシピの詳細と、選定理由の考察をお話ししました。

実際に抽出したコーヒーは、一言で表すと〈スーパークリーン〉なコーヒーに仕上がります。

全体的な味のバランスもよく、後味の長さも特徴的です。

投入回数は3回とシンプルな構成ですが、スペシャリティコーヒーも持つフレーバー・酸味・甘さを2投目までのフェーズで最大限取り出し、3投目で湯温をグッと下げ、センタープアで注ぐことで、抽出後半にでてくる雑味を防いでいます。

これぞハイブリッド式の良さがつまったコーヒー!といった印象です。

また、3投目の70℃でコーヒーの温度調整も行い、審査員への提供時に一番味を感じやすい温度帯に仕上げています。

提出したカップコメントと実際に提供したコーヒーの味わいに差がでないよう、すみずみまで計算しつくされたレシピだと感じました。

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今回ご紹介した、Wasin Kusakabe氏考案ハイブリッド抽出レシピはもちろん、抽出をリアルタイムで見れる”Brew Timer”、最新コーヒー器具の紹介、などを続々更新中です!

ぜひチャンネル登録・高評価をお願いします!

WRITER

Mayuka Jimbo

THE COFFEESHOPバリスタ・ストアサブマネージャー。

富ヶ谷のロースタリーROAST WORKSにてドリンクを提供。フードペアリング担当。レシピの改善や、抽出技術の向上に日々取り組んでいる。

毎週日曜8:45〜はInstagramとYouTubeで15分間のライブ配信中!

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