【ハンドドリップ】浸漬式と透過式、それぞれのメリット・デメリット|美味しいコーヒーの淹れ方 講座 No.4

2025.02.19
SHERE

多くの方がチャレンジしやすく、身近な〈ハンドドリップ〉。しかし抽出とはなかなか奥が深いもの…

ということで、より抽出理論を深掘りするハンドドリップ講座を用意してみました。

原理や抽出理論を知識として持っておくと、レシピのアレンジや修正・作成が可能になります。

今回は第4弾!コーヒーの代表的な抽出方法〈浸漬式と透過式〉がテーマです。

こちらの内容は、THE COFFEESHOP公式YouTubeでも公開しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。

浸漬式と透過式|コーヒーの2大抽出方法

ハンドドリップ講座第4回目。

前回までは時間経過によるコーヒー成分の溶け出しや、TDSと収率(濃度)など、主に抽出原理についてお話ししました。

今回は、抽出の2大方法である、〈浸漬式と透過式〉についてです。

前回までの動画をご覧いただくと、よりわかりやすく応用もできると思いますので、ぜひ合わせてご覧ください!

透過式とは

透過式とは、粉にお湯を通過させることで成分を取り出す方法です。

代表的な抽出方法はハンドドリップが挙げられます。

一般的に、抽出中において粉とお湯に動きがある方が、より多くの成分が溶け出すとされていて、透過式は常にお湯に動きがあるため、成分の溶け出しには有利な抽出方式です。

浸漬式とは

浸漬式はお湯に粉を漬けること(主に浸透圧)で成分を取り出す方法です。

代表的な抽出器具はフレンチプレスが挙げられます。

浸漬式はお湯を注ぎ待つだけのシンプルな抽出レシピが多く、抽出中のお湯の動きは少ないため、成分を取り出す力が弱い方式です。

では次項で実際にそれぞれの方式で抽出したコーヒーを飲み比べてみましょう!

今回は抽出方式による味の違いになるので、レシピの詳細は割愛します。

コーヒー豆はいずれも浅煎りの豆を使用しました。

透過式で抽出|メリット・デメリットとは

では、まずは透過式で抽出する場合のコーヒーの特徴についてお伝えします。

透過式で出来上がったコーヒーの味わい

酸味やフレーバーにボリュームがあり、味全体が明るい印象のコーヒーに仕上がる傾向があります。

口当たりや甘さもしっかり感じるため、アフターテイストの余韻も長いコーヒーが多いです。

透過式のメリット

①短時間で抽出できる

→冒頭で記載の通り、抽出中のお湯の動きが活発な透過式は、短時間でコーヒー成分の抽出が行えます。

ハンドドリップ講座第1弾で取り上げた、『時間経過ごとの味の違い』であった通り、抽出時間が長くなればなるほど、えぐみや渋みの成分が溶け出しやすいです。

そのため、短時間でコーヒーの美味しい成分を効率よく取り出せることは、大きなメリットとなります。

②抽出レシピのアレンジが豊富

→ハンドドリップは複数回お湯を分けて注いでいきますが、どこでどのくらいの湯量を投入するか、サークルプアかセンタープアか、蒸らしの時間はどのくらいとるのかなど、ご自身で調整できるポイントがたくさんあります。

好みの味を抽出するために工夫を凝らすこともできるので、抽出作業を楽しく感じることはメリットの一つと言えそうです。

透過式のデメリット

①安定性にかける

→メリットでご紹介したアレンジの幅があることが、デメリットになる場合もあります。

手順が複雑だったり、抽出環境が異なると、出来上がったコーヒーの味わいに差が生まれてしまうことが多いです。

ハンドドリップを常に安定して抽出するためには、技術はもちろんですが、理論を理解した上でレシピの修正ができるよう、知識の引き出しも大事になってきます。

浸漬式で抽出|メリット・デメリットとは

続いて、浸漬式でコーヒーを抽出する場合について。

出来上がったコーヒーの味わい

全体的にすっきりした味わいのコーヒーになる傾向があります。

立体感はありますが、透過式に比べると口当たりは軽く、味の広がりの強弱は弱めです。

コーヒー豆によっては紅茶のようにサラッとした味わいになることもあります。

浸漬式のメリット

①抽出のブレが少なく味が安定する

→フレンチプレスのようにお湯を漬け込むだけなので、注ぎのブレによる味の変化は少ないです。

コーヒー豆とお湯の分量、挽き目が適正であれば、失敗なく抽出できます。

②抽出中ほったらかしにできる

→お湯を注いで待つだけの器具が多いため、透過式のようにつきっきりで抽出する必要がありません。

抽出の工程よりは、手軽さや安定した味わいを重視する方には大きなメリットだと思います。

③一度に大量抽出がしやすい

→容量の大きいものを使用すれば、一回の抽出で大量のコーヒーも抽出できます。

味のブレが少ない浸漬式だからこそ、分量を変えても味が変化しにくく、透過式に比べ出来上がり量の調整がしやすいです。

浸漬式のデメリット

①コスパがやや悪い

→浸漬式は主に浸透圧のみを利用して抽出するため、お湯の動きが少なく、ゆっくり成分が溶け出します。

そのため、透過式に比べ粉量を多くする必要があり、1杯あたりのコスパはあまりよくありません。

②抽出時間が長いと感じる場合もある

→ほったらかしにできることがメリットとお伝えしましたが、透過式は2分前後で終了する抽出が、浸漬式では4分程度かかることが多いです。

もちろんレシピにもよりますが、抽出時間を短くしようと粒度の調整をすると、口当たりに大きな影響がでるのであまりおすすめできません。

まとめ|動画はTHE COFFEESHOP OFFICIAL YouTube Channelで!

今回はコーヒーの2大抽出方法〈浸漬式と透過式〉をご紹介しました。

どちらかに優劣をつけるのではなく、抽出方法ごとの原理や、それに伴う味の違いの傾向を知っておくことで、豆の個性に合わせた抽出方法を選択することができます。

みなさんの利用シーンや、好みに合わせて、浸漬式と透過式を使い分けてみてください!

今回の内容は、THE COFFEESHOP OFFICIAL YouTube Channelでも公開しています。

また、抽出をリアルタイムで見れる”Brew Timer”や、最新コーヒー器具の紹介、定期便でお届けしたコーヒー豆の内容をライブ配信でご紹介など、続々更新中なので、ぜひチャンネル登録などよろしくお願いいたします!

WRITER

Mayuka Jimbo

THE COFFEESHOPバリスタ・ストアサブマネージャー。

富ヶ谷のロースタリーROAST WORKSにてドリンクを提供。フードペアリング担当。レシピの改善や、抽出技術の向上に日々取り組んでいる。

毎週日曜8:45〜はInstagramとYouTubeで15分間のライブ配信中!

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