2019.09.19コーヒー豆

コーヒーの苦味とは|焙煎によって苦さはどう変わるのか

Pocket

コーヒーを楽しむにあたり、大切なキーワードである『苦味』。前回の記事では、一口に苦味と言ってもその種類は大きく2つ、細かくすれば無数の成分から成り立っているということを、お伝えしました。今回は続編ということで、焙煎つまり豆を焼くことで生まれる苦味にフォーカスしてお伝えしていきます。

焙煎によるコーヒーの苦味の違い

目次

コーヒーの苦味は大きく2種類

まずは前回のおさらいです。コーヒーの苦味は大きく2つあります。1つ目は、生豆に元々含まれている苦味。そして、もう一つは焙煎によって生じる苦味です。

前者はもともと生豆に含まれる成分である、カフェインやクロロゲン酸類。これらが由来となり、複雑な苦味として、感じられます。

そして、今回フォーカスする後者。これは焼くことで生じる苦味。つまり焦げによる苦味です。

前回の記事、まだご覧になっていない方は、こちらからご覧ください。
→ コーヒーの苦味について考える|元来の苦さ・焙煎による苦さ・カフェインとの関係など

焙煎によって生じるコーヒーの苦味を追ってみる

今回は、実際に焼き方を変えた同一銘柄のコーヒー豆を用意。焼き加減による苦味の違いを確認してみました。

検証方法

豆サンプル:
ケニア/ングルエリ

焙煎方法:
焙煎度違い4種をカッピングし、それぞれの苦味の出方を比較しました。焙煎は同じアプローチで進行、煎り止めの温度のみ変えています。
焙煎には富士珈機ディスカバリーを使用。煎り止めの温度帯は、それぞれ①205℃、②210℃、③215℃、④220℃。

(通常 THE COFFEESHOP で商品として焙煎する場合は、207~8℃で煎り止め。)

コーヒー苦味検証焙煎

検証結果① 中煎り前半~中煎り程度

まずは、205℃で煎り止め(中煎り前半~中煎り程度)のサンプル①。

苦味のボリュームは少なく、酸味やフレーバーの印象の方がかなり強い結果となりました。ただ、今回のサンプルのケニアは、豆由来の苦味が割と多く感じられる豆です。なので、この焙煎度合いでもほのかな苦味を感じました。

ロースター萩原コメント:
ピンクグレープフルーツのような苦味を、おもに後味に感じますね。苦味以外にシトリックな酸や甘味が強く感じられたため、それらが複合的にグレープフルーツのように感じさせたのかも知れません。

検証結果② 中煎り後半~中深煎り

続いてサンプル②。210℃で煎り止め(中煎り後半~中深煎り)の結果です。

①よりも酸味が収まり、苦味のボリュームは増えたように感じる結果となりました。ただし、様々なフルーツを感じた①に比べ、やや単調な甘みと苦味に。

ロースター萩原コメント:
苦味は同じく後味方向に寄りますが、カカオニブのような印象でした。苦味と同時に、甘味のボリュームも増え、今回のサンプル中もっとも甘いカップになりましたね。コモディティコーヒーのような苦味ではなく、甘味と混じり合うことでいわゆる「コク」のようなものに感じられたのは、良かったかと思います。

検証結果③ 中深煎り後半~深煎り前半

続いてサンプル③。215℃で煎り止め(中深煎り後半~深煎り前半)です。

ここまで焼くと、酸味はさらに収まり、苦味のボリュームが分かりやすく増えました。飲んだあとに、口の中に苦味が残るようになり、あとから水が飲みたいと思うようになってきます。

甘味もありますが、②よりもさらに単調な苦味で、ユニークさに欠けるものに。

ロースター萩原コメント:
苦味はビターキャラメル、焦がし砂糖(カラメル)のような印象です。冷めると苦味がシャープになり、温かいときよりも、やや強く感じました。見方によっては、キレのある苦味とも言えるかもしれませんね。

検証結果④ 深煎り、2ハゼ付近

ラストはサンプル④。220℃で煎り止め(深煎り、2ハゼ付近)。今回のサンプル中、もっとも焙煎度合いを強くしたものです。

結果、酸味が少なく苦味が強いものになりました。そしてもっともフラットで、特徴の少ない印象に。

ロースター萩原コメント:
甘味も強いがカラメル化による甘さで、豆が本来持っているユニークなものではありません。苦味はより全面に出てきていて、シャープで尖っている印象。いわゆる焦げ感が強いですね。一般的なコモディティコーヒーのような苦味のイメージに近く、後味にも強い苦味が舌の上に残ります。

考察|焙煎することで起きる苦味の変化とは

当初の予想通り、焙煎度が深くなるにつれて酸味が収まり苦味が強くなりました。

①~②にかけては、苦味単体というより、酸味や甘味と混じり合った全体の印象としてとらえることができました。奥行きのある風味として、その中に苦味もあるといった感じです。

前回の記事でもお伝えした部分ですが、これは生豆が本来持っているクロロゲン酸ラクトン類由来の風味と考えられます。

③以降、焙煎を進めたところからは、フレーバーや酸味が弱まり、単調になりました。さらに、苦味がより前に目立って感じられるようになりました。

これは焙煎の進行により、クロロゲン酸ラクトン類が減少し、代わりにビニルカテコールオリゴマーや褐色色素群(いわゆる焦げ)が増加したため、苦味成分の種類が減り、全体量が増えたことが原因であると、推察します。

まとめ

以上、コーヒーの苦味についての探求、第二回目でした。スペシャルティコーヒーの世界ではあまり苦味にフォーカスした検証をすることが少ないので、今回の検証は興味深くもありましたが、非常に難しいものでもありましたね。

中煎り前後で感じられる生豆由来の奥深い苦味は、スペシャルティコーヒーならではの個性の一つとして捉え、楽しんで良いものと思います。

THE COFFEESHOP でもそうですが、今回のサンプル④のような焙煎は、一般的にはスペシャルティコーヒーに対しては行わないことがほとんどです。

④まで行くと、もちろんスペシャルティグレードの豆らしい酸味や苦味も感じるものの、苦味に関していうと、プレミアムグレード以下の豆と大差ないように感じられました。

ただ、一般的に流通している、いわゆるコーヒーの苦味、といった印象なので、これが好きな人も多くいるでしょうし、コーヒーの美味しさの一側面ではあるかと思います。


前回の記事、まだご覧になっていない方は、こちらからご覧ください。
→ コーヒーの苦味について考える|元来の苦さ・焙煎による苦さ・カフェインとの関係など

BEANS NAVIバナー記事下

THE COFFEESHOPインスタグラム

Pocket

SERVICE