スペシャルティコーヒーとは:コーヒーチェリーの構造と生産処理の関係〜

2015.10.12


まずは前回のおさらい

前回記事:vol.2:美味しいコーヒーの秘訣は収穫にあった

1.コーヒーの収穫作業は、大変な重労働
2.収穫は何度かに分けてを行う
3.完熟チェリーだけを集めることが、農園の将来を考える上でみてとても大事
4.農園によっては、収穫にかかるリスクやコストを考えることが必要

大事なこととしてこの4つを挙げました。
「完熟チェリーだけを集めると美味しいコーヒーが作られやすい」ということが分かってくると、真っ赤なコーヒーチェリーが集められている写真を見るだけで「美味しそう…」とつぶやき始めるので要注意ですよ!

このように苦労して集めたコーヒーチェリーから、コーヒー豆を取り出す工程に….

は、まだ少し早いのです!!生産処理に踏み込んで行く前に、コーヒーの品質を高めるために必要なことをいくつかクリアしておく必要があります。

そのうちのひとつが、「完熟チェリーだけを集める」ということなのは、これまでお話したとおりです。それはすなわち、「未熟なチェリーを混ぜない」ということ。

そして、「熟しすぎたコーヒーを混ぜない」ということです。コーヒーを生産処理の工程に進める前に、可能な限りそのリスクを取り除いておく必要があるのです。

ピッカーたちがいかに完熟チェリーだけを集めたとしても、人の目と手では、どうしても限界があります(もちろん機械でも同じことです)。そのため、美味しいコーヒーを作っている農園では、集めてきたチェリーにもう一手間かけて、完熟チェリーだけを残すようにしているところが多いですね。

▶「選別」

前回の記事で触れたような、収穫のときに完熟チェリーだけを集めることも選別の一環ですが、収穫したチェリーも同様です。未熟なものが混じっていないか、いくつかの段階を踏んで選別して、「完熟チェリーだけで作られたコーヒー」を目指すことが、美味しいスペシャルティコーヒーを作るのに必要なことです。

チェリーを集める短期の労働者を「ピッカー」というのですが、生産地で見られる光景のひとつに、ピッカーたちが自分たちで集めたチェリーを、自分たちで選別する、というものがあります。

pickerGreengraff / Coffee Pickers Kenya

真ん中のザルの中に、未熟な緑色のチェリー、熟しすぎてしまった黒いチェリーを集めていますね。こうして、生産処理の前に完熟チェリーだけを選別することで、作られるコーヒーの品質アップにつながります。こうして、選別した完熟チェリーだけがスペシャルティコーヒーとして生産処理に回されていきます。

▶コーヒーチェリーの構造

まずはコーヒーチェリーがどういう作りになっているのか、それを見ておきましょう!
コーヒー豆の構造Coffee Cherry / Binder Of Daemons

中に見える白い種のようなものは、「パーチメント」と呼ばれるコーヒー生豆を覆っている殻です。この中に生豆が入っていて、パーチメントは「ムシラージ(ミュシレージ)」と呼ばれるヌメリに覆われています。コーヒーの「生産処理」とは、コーヒーチェリーから果皮・果肉を取り除いて、パーチメントの中にある生豆を取り出す方法のことです。

▶生産処理の方法

コーヒーチェリーから生豆を取り出す「生産処理」の方法は、今のところ
大きく分けて3つの方法があります。

1.コーヒーチェリーをそのまま乾かす
2.コーヒーチェリーから果肉を取り除いて、乾かす
3.コーヒーチェリーから果肉を取り除き、しばらく水につけて洗い、乾か

この3つです。
1.は「ナチュラル
2.は「パルプトナチュラル
3.は「フリィウォッシュト」もしくは「ウォッシュト

と呼ばれます。スペシャルティコーヒーを買われる方には、なんとなく聞き覚えのある言葉かもしれません。次回以降は、この3種類の方法について詳しく解説していこうと思っていますので、どうぞお楽しみに!

▶まとめ

それでは今回のまとめです。

1.美味しいコーヒーを作るためには、「選別」が欠かせない
2.コーヒー生豆を取り出す方法を、「生産処理」という
3.生産処理には、色々なやり方がある

次回予定:Part4:生産処理(中編)です!上の3つをそれまで忘れないでくださいね!


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