コーヒーのオイル分を楽しむ|抽出方法による差

2016.10.21


スペシャルティコーヒーを楽しむのに欠かせない『オイル分』という存在。そこには様々な香味成分が含まれており、また、コーヒーの口当たりにも影響してきます。

前回の記事をまだ読んでいない方はこちら
→ コーヒーのオイル分とはなにか

今回の検証は、抽出方法やフィルターの違いによる、オイル分抽出量の差について。オイル分の量と、それぞれのコーヒーの個性を見ていきたいと思います。

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目次

  • コーヒーの抽出方法はこの4つで検証
    • ペーパーフィルターによる抽出
    • ステンレスフィルターによる抽出
    • フレンチプレスによる抽出
    • エアロプレス(ステンレスフィルター)による抽出
  • 出来上がったコーヒーを見てみよう
    • 抽出方法の差によるオイル分の量と、風味、口当たりなど
    • 抽出方法によるオイル量とコーヒーの印象
  • まとめ

コーヒーの抽出方法はこの4つで検証

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今回は4つの抽出器具を用いて検証してみることにしました。

ROAST WORKS の店舗メニューにあるものを中心に、フレンチプレス、エアロプレス(Diskステンレスフィルター)、ハンドドリップ(KONEステンレスフィルター)の3種類。それにご家庭で多く使用されているハンドドリップ(ペーパーフィルター)を合わせ、合計4種類で検証していきます。

コーヒー豆とお湯の量は、それぞれ店舗で提供しているものと同じ分量です。

ペーパーフィルターによる抽出

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使用したのはハリオ製V60ドリッパーと同じくV60ペーパーフィルターです。

ペーパーフィルターは、先にお湯で湿らせてから使用しました。

ステンレスフィルターによる抽出

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↑ 使用したのは able brewing製 KONEステンレスフィルターです。

ハンドドリップは透過式という方法に分類されます。粉に湯を通すことでコーヒー成分を抽出しています。

同じハンドドリップでも、ステンレスフィルターはペーパーよりも目が粗いため、カップに微粉が残りやすくなります。

ハンドドリップの抽出方法はこちら
→ ハンドドリップ(メタルフィルター編)

フレンチプレスによる抽出

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↑ フィルターの目は、今回の4種類のうち一番粗いです。

フレンチプレスはハンドドリップと異なり、浸漬式という抽出方法になります。その言葉通り、コーヒーの粉を湯に浸した状態で抽出していきます。

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( ↑ 抽出中、横から覗いて見てもオイル分を目視することはできません。)

フレンチプレスはもう一点、他の抽出方法と異なることがあります。それが、粉と液体の位置です。他の3種類が液体を下に落とすのに対し、フレンチプレスの場合は粉を下にプレスし、上に来た液体をカップに注ぎます。

オイル分は水よりも比重が軽く、抽出液の上の方にあります。そのため、今回の4種類の抽出方法では、フレンチプレスがもっともオイル分をカップに残しやすい淹れ方と言えます。

フレンチプレスの抽出方法はこちら
→ たった3つのポイントでフレンチプレスは美味しくなる!

エアロプレスによる抽出

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↑ able brewing製 エアロプレス用ステンレスフィルターを使用しました。

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エアロプレスは、主な抽出は浸漬式行われますが、最後に透過式の要素が少し加わります。
圧をかけて押し出すタイプの抽出器具ですが、そのことによってオイルの出方がどうかるのか、気になるところです。

出来上がったコーヒーを見てみよう

それでは出来上がったコーヒーを見ていきましょう。が、その前にこちらをご覧ください。

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これはハンドドリップにて抽出後、フィルター上に残った粉の拡大写真です。粉の上に泡が残っていますが、光に当てて見ると揺らいで見えます。つまり、これ。オイル分が残っているのです。

ハンドドリップでペーパーフィルターを用いた場合、よく「ペーパーにオイル分が吸着する」という記述がよく見られます。
もちろんその理由もあるのですが、「水よりも軽いオイル分は、抽出カス上部に残ってしまう」という理由のほうが、カップの中のオイル分に影響するそうです。

抽出方法の差によるオイル分の量と、風味、口当たりなど

今回検証に使用したのは、『ホンジュラス COE’16 #22/オレジャーナ
カップ・オブ・エクセレンス入賞豆です!

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↑ ペーパーフィルターでのハンドドリップ抽出。
ほとんどオイル分がなく、目視での確認はあまりできません。
グリーンアップルやライムのようなスッキリとしたフレーバーで、後味もスッキリしています。

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↑ ステンレスフィルターでのハンドドリップ抽出。
微粉とともにオイル分を見て確認することができます。表面を全体的に薄く覆うほどのオイル量が出ています。
レッドアップル、キャラメル、チョコレートを感じるフレーバーです。口当たりはシロップ感があり、やや重さを感じます。

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↑ フレンチプレスでの抽出。
オイル量はとても多く、表面1mmほどオイル分が覆っている状態です。
レッドアップル、チョコレートのようなフレーバーで、シロップのような質感。口当たりはとてもリッチな印象です。

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↑ エアロプレスでの抽出。
表面に微粉とオイルを目視することができます。オイル量は、ステンレスフィルターのハンドドリップよりも少ないです。
グリーンアップル、キャラメル、チョコレートを感じるフレーバー。シロップ感のある口当たりですが、あまり重くなく、すっきりした印象です。

抽出方法によるオイル量とコーヒーの印象

抽出方法によるオイル分の量を並べてみると、以下の通りになりました。

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オイル量がもっとも多かったのはフレンチプレスで、少なかったのはペーパーフィルターでした。
また、オイル量と比例して、カップ内の微粉の量も変化していました。

オイル量によってカップの印象は異なり、オイルが多いほどよりリッチ感を感じることができ、オイルが少ないほどよりスッキリ感を味わうことができました。

まとめ

抽出方法とオイルの量の関係を検証してみましたが、いかがでしたでしょうか。

コーヒーの成分はほとんどが未知のものであり、幾多の抽出成分がバランスを取り合っていることで味覚嗅覚として感じることができます。

そのため、同じコーヒー豆を用いても、抽出方法によってオイル分をコントロールすることで、かなりキャラクターが変化します。

スッキリ感がお好みでしたらオイルは少なめに。
リッチ感がお好みでしたらオイルは多めに。

当店のレシピでの検証ではこのようになりましたが、ハンドドリップやエアロプレスは様々な抽出方法があるため一概には言えません。

ご自宅でもぜひお試しください!

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