2019/2020ニュークロップ買い付け!中米ホンジュラス探訪記【vol.5 買付カッピング】

2020.11.09


2020年の始めに訪れた中米ホンジュラスへのニュークロップ買い付けトリップ。vol.5では、今回のトリップのメインイベント、買付カッピングの様子をお届けします!

買い付けカッピング

いくつか農園を回ってきた今回のトリップですが、最終的に買い付けを決定する基準になるのは、やはりカッピングでのクオリティチェック。コーディネーター・ロニーのオフィスにあるカッピングルームで、丸1日かけて約70サンプル以上をカッピングしました。

サンプル焙煎をしてくれたのはヘススガレアさん。
彼は、ホンジュラス中西部・セルグァッパにある農園を所有する生産者。ロニーの所で焙煎やカッピングなどの技術や、コーヒーの品質に関する知識を学び、自分の持つ農園へ還元しています。
この日カップした70以上のサンプルは、彼一人で一晩かけて焙煎したとのこと。すごい体力と集中力、脱帽です。


サンプル焙煎用の生豆が並びます

1セッション12種ぐらいのサンプルが並びます。その中から買い付けるコーヒー豆を探していきます。ホンジュラス各地から様々なロットが集まりました。

ドライ

挽いた粉の状態での香りをチェックします。トップクオリティのロットは、この時点でもはっきりと違いが現れます。

クラスト

挽いた粉にお湯を注ぎ、1分ほど経った時点で表面から立ち上る香りをチェックします。ドライのときよりも甘さを伴った香りがしてきます。

ブレイク

お湯を注いでから4分後、スプーンでカップの表面を割る様にかき混ぜながら再び香りをチェック。閉じ込められたアロマが一気に広がります。

ブレイクのあとはカップ表面のアクを取り除き、そこから30分以上時間をかけてカップクオリティを確認していきます。

一つのセッションが終了するごとに、それぞれの参加者のカップコメントとスコアを発表していきます。 複数人の意見を合わせることで、より客観的な評価をすることができるんですね。

次から次へとカッピングは続きます。

vol.4に登場したチョアカパ・ドライミルのアントニオ君も、技術の習得のためにカッピング会に参加。スペシャルティコーヒーのクオリティチェックは基本的にすべてカッピングによって行われるため、カッピング技術の習得は生産者自身が自分たちのコーヒーの良し悪しを判断するために、非常に重要なことです。

カップごとにスコアをつけていきます。フレーバーやアシディティ、スウィートネスなど項目ごとに点数をつけていき、トータル100点満点でスコアをつけていきます。スペシャルティコーヒーとして流通するためには、最低でも80点以上のスコアが必要とされています。


ロニーのスコアシート


世界のKeita Matsumotoのスコアシート

3セッション目で登場したロス・ピノス農園のハニープロセスには、92点という高得点がつきました(写真左下。カップコメントは写真右上)。
参加した4人のカッパー全員が90点以上をつけたこの素晴らしいロット、THE COFFEESHOPで買い付けています!

今回買い付けしてきたロット

・El Roblar / Catuai / Honey
・El Roble / Catuai / Natural
・CUCURUCHO / Yellow Catuai / Washed
・CUCURUCHO / Yellow Catuai / Anaerobico
・Los Pinos / Typica / Honey
・Montecillos / Bourbon / Washed
・Los Injertos #2 / Catuai / Washed
・Tepanguare / Bourbon / Washed
・Las Moras / Catuai /Washed
・La Sabana / Bourbon / Washed
・Patriarca / IH90 / Washed
・Chichicastal / Bourbon / Washed
・La Cira / Parainema / Washed
・Liquidambal / Bourbon / Washed
・Integral Cipres / Catuai / Washed
・Clasic Marcala #1 / Catuai,IH90 / Lavado

今回のトリップで訪れた農園はもちろん、過去にTHE COFFEESHOPで取り扱ったことのある名農園のロット、特殊な生産処理を行ったロットなど、バラエティ豊かな顔ぶれ。これらのコーヒーは、コーヒー豆サブスクリプションBEANS DELIVERY SERVICEをはじめ、ONLINE STOREや店頭で随時ご紹介予定です!
買い付け決定したのはこちらの全16種類でしたが、この日カッピングした70以上のサンプルは、どれも本当に素晴らしいクオリティでした。

こんなに小さな国ホンジュラスで、ここまで安定した高い品質のスペシャルティコーヒーを生産できるようになった背景には、中米のスペシャルティコーヒー発展の礎となったスターカッパープログラムというものがあります。

スターカッパープログラムとは?

2000年代前半にスタートした、生産国の発展・開発プログラム。

ロニーのように生産国で品質管理を行う役職を”カッパー”と呼びます。パナマ・グアテマラ・エルサルバドル・ホンジュラス・コスタリカ・ニカラグアの6カ国から10人ずつカッパーを選出し、彼らが生産国を回って技術指導やマーケットなどに関する授業を実施。彼らの授業を受けた現地のカッパーたちが、今度は地元の生産者へ指導を行う立場となって産地全体の品質を底上げしていこう、というプロジェクトです。

スターカッパープログラムによって生産者のリテラシーが向上し、スペシャルティコーヒー産業発展の礎が築かれました。プログラムは2004年に終了しますが、その翌年に作られる品質評価資格・Qグレーダーの基となり、現在までその流れは続いています。

From Seed To Cup

今回のトリップを通じて、ホンジュラスを始めとするすべてのコーヒー生産国が、日々コーヒー豆の品質向上を目指し、みんなで協力し努力を重ね栽培に取り組むことで、毎年素晴らしいコーヒーが生産されているのだと改めて実感しました。

そして、生産者だけでなく、そのコーヒー豆を日本への橋渡しをしてくれるロニーのような存在、コーヒー生産者と強いパイプを持ち、流ちょうなスペイン語でホンジュラス人と戯れる松元さんを始めとするワタル株式会社の皆さんも、生産者と同じ熱意を持ち、スペシャルティコーヒーに取り組んでいると感じました。

そんな地球の裏側で栽培された貴重なコーヒー豆を焙煎し、エンドユーザー(お客様)へお渡しするのは、私たちTHE COFFEESHOPを含む自家焙煎コーヒーショップです。私たちも彼らに負けない熱意で、コーヒー豆のポテンシャルを最大限に引き出す焙煎を目指し、日々真剣に取り組んでいます。

スペシャルティコーヒーにおいてもっとも大切な理念のひとつに、”From Seed To Cup(種子からカップまで)”というものがあります。1杯のコーヒーが素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からコーヒーカップに注がれるまでの全ての段階において一貫した品質管理が必要である、という意味です。

この全5篇の特集を通じて、みなさまにもこの”From Seed To Cup”の理念を感じていただけたなら幸いです。

THE COFFEESHOPでは、これからもコーヒーをより深く楽しんでいただけるよう、様々な検証や産地のレポート(なかなか産地には行けなさそうですが…)などのコンテンツを積極的に配信していこうと思います。今後の更新も、ぜひご期待ください!

ホンジュラスシリーズ第一弾、発売中!

今回買い付けしてきたロットのうち、その第一弾【Honduras / El Roblar Honey】をONLINE STOREにて発売中!ハニープロセスらしいリッチで奥行きのある甘さが楽しめるコーヒーです。ぜひお試しくださいませ!
お買い求めはこちら→Honduras / El Roblar Honey


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