Monthly Beans Magazine｜2022年9月号 [vol.96]

みなさんは、コーヒーの品質に最も影響を与える要因とは、なんだと思いますか？

スペシャルティとして流通するコーヒーは、トレーサビリティ（追跡可能性）があることが必要条件となっています。つまり、どんな場所で・どんな人が・どんな風に生産にあたったかが、透明性を持ってわかるということです。それらの情報は主にコーヒー豆とセットになって記載されていて、農園の名前や場所、標高、品種、精製方法という名目で記されていますよね。

さて、品質の高いスペシャルティコーヒーを作るためには、様々な条件があるとされています。標高が高く昼夜の寒暖差がある方がいいとか、土壌は火山性がいいとか、みなさんも耳にしたことがあると思います。スペシャルティコーヒーにとってトレーサビリティが大切であることの大事な理由のひとつには、これらの栽培要因を細かく分析して、より品質の高いコーヒーを生産するためのデータの蓄積でもあるのです。

そんな中、エチオピアのある研究者グループによって、コーヒーの品質に最も影響を与える要因が何なのかというリサーチ報告がありました。この調査では、エチオピア南西部・カファゾーンの３つの異なる栽培地域からサンプルを集め、気温・降雨パターン・標高・相対湿度・土壌組成・日光・シェードツリーの有無といった要因ごとに分析を実施。

その結果、最も品質に影響を与えるのは、①適切に完熟したベリーのみを収穫すること、②特定の水分値の範囲内で管理されること、となったのだとか。これはつまり、品質の高いコーヒーを作るためには、生産者による収穫・精製の精度の高さが最も重要ということです。これは個人的には驚きと発見のある内容でした。

スペシャルティコーヒーの世界では、その土地ごとのテロワールがはっきりと現れていることが良しとされます。このことは、裏を返すと“選ばれし限られた場所”でしか美味しいコーヒーは作れない、という発想になりかねません。もちろん、コーヒーの生産に適した地理的・気候的条件は確実にあります。ただ、今回のレポートによって示されたのは、地理的条件だけでは美味しいコーヒーを作ることはできず、その背景には生産者たちの努力や工夫が間違いなく存在している、ということの裏付けに他なりません。今回のレポートは、あくまでエチオピア・カファゾーンの特定のエリアでの結果ですので、すべてのコーヒーにとって適用されるわけではありませんが、一つの大きな指針になることは確かだと思います。

美味しいコーヒーの背景には生産者の方々の努力があるということはもちろん分かっていましたが、改めて研究結果として現れてくるとグッとくるものがありますね。これからも感謝を敬意を忘れずに、共にコーヒー産業を続けていきたいと思います。

TIMEMORE C3 発売！

業界では「コスパ最強」との呼び声も高いTIMEMOREから、新モデル【C3】の取り扱いをスタートしました。

『S2C（Spike to Cut = 突き刺して切る）』というコンセプトで設計された高硬度の刃は、特に細挽きのクオリティが格段に向上している印象。 エアロプレスやマキネッタなどを使ってエスプレッソ風抽出を行いたい方に特にオススメの1本です！

次回2022年10月号は10月1日発行を予定しております。お楽しみに！

それではみなさま、良いコーヒーライフを！

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