スペシャルティコーヒーと呼ばれるための2つの条件とは?
THE COFFEESHOP PRESENTS ” スペシャルティコーヒー女子応援プロジェクト! ” 第三回目の本日は、『スペシャルティコーヒー』ってなに?というお話。
《スペシャルティコーヒー女子応援プロジェクトとは》
まったくのコーヒー初心者から、スペシャルティコーヒーの美味しさ、楽しさ、奥深さを知り、やがて独り立ち(大げさ)していくまでを追ったドキュメンタリー。THE COFFEESHOP のロースター萩原が指導を担当。全力でサポートさせていただきました。
*この記事は、Youtubeチャンネルにて公開した動画『スペシャルティコーヒーって?<スペシャルティコーヒー女子応援プロジェクト!初心者編>』の内容を文字起こし、記事用に一部脚色したものです。
スペシャルティコーヒー女子応援プロジェクト
▼萩原
こんにちは。THE COFFEESHOPの萩原です。
今回もスペシャルティコーヒー女子企画ということで、西本あすかさんと一緒に勉強していきたいと思います。
▽西本
よろしくお願いします!
▼萩原
早速ですが、スペシャルティコーヒーと呼ばれるための定義は、大きく分けて2つあります。
1つは品質が高いこと。そしてもう1つは、トレーサビリティが取れることです。
▽西本
トレーサビリティ???
▼萩原
トレーサビリティです。後ほど説明しますね。
で、その2つの条件を満たしているコーヒーというのは、コーヒー全体の生産量のうち、上位5%以下程度という風に言われています。
▽西本
少ないですね!
▼萩原
段々と増えてきているんですけど、大体これぐらいの量しかないという風に言われています。
ちなみに、スペシャルティコーヒーの下のグレードを、プレミアムコーヒーとかブランドコーヒーとかって言ったりするんですけど、ここにはブルーマウンテンとか、キリマンジャロとかが分類されています。
▽西本
ブルーマウンテン!キリマンジャロ!聞いたことありますね。
コーヒーのグレードは、カッピングによる採点で決まる
▼萩原
ブルーマウンテンやキリマンジャロは、昔ながらの喫茶店とかで飲まれているコーヒーなので、馴染みがありますよね。
スペシャルティコーヒーは、それよりもグレードが高いものなんですが、じゃあ必要条件や定義ってどんなものなんだという、お話をしていきますね。
まずは品質が高いということについて。その基準のためにやっているのが、このカッピングと呼ばれる技法を用いてのテイスティングです。
Qグレーダーという国際資格があるんですけど、その資格を持っている人がコーヒーに点数をつけていきます。それで100点満点中80点以上になるのがスペシャルティコーヒーの基準になります。
80点以上というのが、どのくらい凄いことなのか、いまいちイメージしにくいと思うんですが、それだけで上位10%くらいに絞られるといったところでしょうか。
▽西本
結構厳しいんですね!
フレーバーホイールによる香りや味の表現ワード
▼萩原
そのカッピングの採点には、色々な評価項目があるんですが、普通のコーヒーと大きく違うところは、酸味と風味です。
これは、フレーバーホイールって言われる図なんですが、コーヒーに出てくるフレーバーをグループ分けして図にしたものです。
▽西本
こんなにあるんですか!
コーヒーは苦いっていうイメージしかなかったです。すごいですね。
▼萩原
一般的にコーヒーの匂いっていうのは、焙煎したことによって生まれる香ばしさだったりとか、あとはキャラメル感であったりとか、そういうイメージが強いと思います。
ですがご覧のとおり、スペシャルティコーヒーに出てくる香りには、フルーツだったり、お花だったり、スパイスだったり、いろんなほかの食べ物に例えられるような香りだったり、味で表現されるんです。
▽西本
凄く繊細なんですね。コーヒーのフレーバーって。
▼萩原
そうですね。すごく繊細に表現されるものです。
スペシャルティコーヒーの世界では、よりこの風味がユニークで、他にはない独自のものであればあるほど、評価は高いという風にされていますね。
コーヒーのグレードを決めるもう一つに要素「トレーサビリティ」とは
▼萩原
続きまして、スペシャルティコーヒーの必要条件その2。トレーサビリティが取れること。
▽西本
トレーサビリティ…?
なんか凄そうなカタカナが出てきましたね。
▼萩原
トレーサビリティというのは、追跡可能性のことです。
農作物だったり製品だったりが、どこで作られて、誰が作って、どういう道を辿って、私たちの手元に届いたのか。その記録がトレーサビリティです。
▽西本
そのモノの背景ってことですか?
▼萩原
そうですね。コーヒーのストーリーに透明性があり、どこの何物かがわかること。ここにたどり着くまでの足取りがわかることを、トレーサビリティが取れるという言い方をします。
一杯のコーヒーになるまで
▼萩原
これは農作物としてのコーヒーが、一杯のコーヒーになるまでの大まかな流れを表した図になります。
▽西本
これがコーヒーの実ですか?
▼萩原
コーヒーの実ですね。基本的に赤く熟すことが多いです。
品種によって黄色だったり、ピンクだったりすることもあるんですけど、赤く熟すサクランボみたいな実がなるのが、コーヒーの木ですね。
農園で栽培されて、収穫され、それから生産処理という工程に進みます。これは、コーヒーの果実から種を取り出す工程ですね。
ここも色々なやり方があって、その方法によって、また味わいが大きく変わってきたりします。
そのあと乾燥させて、生産国から消費国へ輸出されます。コンテナで船に積まれて、それが日本に着いて、僕らのような焙煎業者の手元にやってくる。
そしてロースティング、焙煎という工程に進みます。
▽西本
あー!そこにある機械が?
▼萩原
そうです。ここにある焙煎機、こういう機械を使って熱が加えられて、コーヒーが飲めるような状態になっていきます。
その焙煎されたコーヒー豆が、いろんなやり方で液体になる。そして液体になったものがカップに注がれて、コーヒーとしてみなさんが楽しむと。
これが一連の流れです。
▽西本
コーヒーの成長日記みたいですね。この一杯にありがたみが感じられます。遠くから来たんだこの一杯って思いますね。
FROM SEED TO CUP という合言葉
▼萩原
一般的に、収穫されてから手元でコーヒーになるのに、早くて3,4ヶ月くらいはかかるかなと思います。長いものだと1年以上かかるものもあったりします。
で、この収穫から生産処理、輸送っていう流れで、誰がどのように関わったかがわかる。種子からカップまでの道筋で、全て透明性があるようにすることをFROM SEED TO CUPという合言葉をつけて呼んでいます。
食品の安全安心みたいな意味合いもありますが、大切なのは生産者の顔が見えるということですね。
誰が作ったのかはっきりするっていうのが凄く大切なことです。この人は良いコーヒー作るよね!っていうことを、顔で覚えていたいんですよね。
というのも、コーヒーの値段、農家さんからコーヒーを買取する値段っていうのは、基本的に先物取引です。市場価格で決まります。
ちょっと難しい話になるんですけど、コーヒーの品質の良し悪しではなくて、世界の需要と供給の量によって値段が変動するんですね。なので、需要が高くて共有が少なければ値段は高くなるし、その逆であれば値段がどんどん安くなっていきます。
▽西本
そうなんだ。今年美味しいからって言って高いわけじゃないんですね。
コーヒーの価格は『先物市場』で決まる
▼萩原
度々、コーヒーの価格っていうのは大暴落を起こしているんですね。世界一の生産国はブラジルなんですが、ブラジルで例えばいっぱい採れすぎると、コーヒー全体の値段は下がってしまうことになるんです。
そうなると、コーヒーを作るコストが利益を上回ってしまう。売っても儲からない、赤字になってしまう。そんな状況が、度々世界で起こっています。
それが続くとどうなるかというと、コーヒーを作っても儲からないから、コーヒーを作るのをやめる人が増えてきますよね。
▽西本
そうですよね。赤字ではやる意味ない。やる気がでませんよね。
▼萩原
そうなると、コーヒーっていう文化そのものが途切れてしまうことになります。それを食い止めるべく起こったのが、スペシャルティコーヒーの前身となる、グルメコーヒーという流れです。
作った人と出来るだけ直接取引をする。そうすることで、美味しいものを作った人には、それだけ高いお金を払うっていう仕組みをつくろうと。こういった動きが、アメリカで起こったんです。そこから発展していったのが、スペシャルティコーヒーなんです。
▽西本
この人が作ったコーヒーは美味しいから、今年も買おう!とか、2倍の値段で買おう!とか。そういうことですね。
それなら作ってる人もプライドを持てると思いますし、いいサイクルが起きそうですね!
▼萩原
そう、その通りなんです。美味しいものを作ったら、その分だけ高い値段で買ってもらえるので、生産者のモチベーションも上がるし、僕たちも美味しいコーヒーを飲めて嬉しいしっていう流れが、スペシャルティコーヒーが担う大事なところなんですよね。
西本さん、最初のインタビューの時に、背景が見えるファッションが好きだっていう話をしていましたよね。スペシャルティコーヒーにも、こんな感じで背景があって、共感できることが多かったのではないでしょうか。
▽西本
そうですね!グッとコーヒーにも親近感が湧きました!
次回はカッピングをやってみよう!
▼萩原
スペシャルティコーヒーはよくわからないものっていうイメージがあったと思うんですけど、実はすごく透明性があって、社会貢献にもなる。そういったものであること、お分かりいただけたかと思います。
▽西本
ただ単に美味しいだけじゃない。品質も凄く良くて、それをすることで社会的意義もあって、とっても面白いものなんですね。
勉強っていう感覚がなくって、ずっと聞きいってしまいました。こんなに真面目に勉強したのは、何年ぶりだろう。笑
▼萩原
スペシャルティコーヒーの定義がわかってもらったところで、次回は実際にカッピングを、一緒にやっていきたいなと思います。
本来は味の点数を付けて評価するものなんですけど、ただ単にコーヒーを飲み比べるっていう意味でも面白いと思うので、気楽にやってみましょう。
次回更新予定
【スペシャルティコーヒー女子応援プロジェクト vol.4 カッピングをやってみよう!】
お楽しみに!
ぜひチャンネル登録お願い致します。
WRITER
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THE COFFEESHOP
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