フードペアリングは、思っている以上に難しい?|スペシャルティコーヒーサブスク〈Beans Delivery Service〉vol.305

2026.08.26
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多種多様なコーヒー豆の違いとその個性、そしてなによりそのコーヒーの美味しさに夢中になれる、そんなコーヒー体験を毎月お届けする、スペシャルティコーヒーのサブスク”Beans Delivery Service“(BDS)。

2026年8月26日発送の2種類のコーヒーについてお知らせいたします!

スペシャルティコーヒーサブスク〈Beans Delivery Service〉

BDS MAGAZINE〈vol.305〉

こんにちは!THE COFFEESHOP ロースター 萩原です。

8月も終盤、夏休みももう終わりますね。

猛烈に暑かった去年の夏に比べればまだ過ごしやすい今年。だんだん朝晩はひんやりした空気の日も増えてきましたが、まだまだ油断は禁物です。

9月に入っても暑い日は渋とく続きそうですので、アイスコーヒーを冷やして遠い秋を待ち侘びましょう。

今回号のコラムや、シングルオリジンプランで発送したコーヒー豆をご紹介します。ぜひ最後までご一読ください。

毎月ポストへお届け。スペシャルティコーヒーのサブスク〈Beans Delivery Service〉。

どのコースでも新規お申し込みの方全員に、THE COFFEESHOPオリジナルレシピブック”BREW GUIDE”プレゼント中!

COFFEE COLUMN|
フードペアリングは、思っている以上に難しい?

コーヒーのお供といえばスイーツ。「どのスイーツを合わせよう?」と考えるのはコーヒータイムの大きな楽しみですよね。ですが、実はスペシャルティコーヒーのフードペアリング、思っている以上に難しいということをご存知でしょうか?

「美味しいコーヒーとスイーツを合わせれば、もっと最高になるはず!」と思いがちですが、スペシャルティコーヒーの繊細な風味がフードに負けてしまうことは珍しくありません。

そもそもスペシャルティコーヒーの〈フレーバー〉は、舌で感じる基本味と、口内から鼻へ抜けるレトロネーザル(口中香)という嗅覚の組み合わせによって脳で知覚されています。スペシャルティ、特に浅煎りのコーヒーが持つ華やかなニュアンスの正体は、口内で気化するごく微量な揮発性アロマ成分によります。

しかし、ここにフードが加わると、2つの生理学的な“阻害”が起こってしまいます。

味蕾のマスキング

1つ目は、〈味蕾のマスキング〉です。

味を感じる舌の感覚器である味蕾(みらい)。強い甘味や塩分、スパイスが舌の味受容体に届くと、神経系はその強いシグナルを優先処理してしまいます。その結果、舌が麻痺したようになり、コーヒーの繊細な酸味や甘みが感じ取りにくくなってしまうのです。

脂質によるコーティング

2つ目が、〈脂質によるコーティング〉です。

バターや生クリームなどの油脂分は、口の中に物理的な油膜を作ります。これがコーヒーの味成分を遮断するだけでなく、繊細な芳香成分を油分の中に閉じ込めてしまいます。その結果、鼻へ抜けるはずだったレトロネーザルアロマが気化できず、香りの解像度が著しく落ちてしまいます。

フードペアリングを楽しむ方法

では、どう楽しむのが良いのでしょうか?少し意識を変えるだけで満足度がぐっと高まります。

1.まずは〈一口目〉をコーヒーだけで楽しむ

フードに手を伸ばす前に抽出したてのコーヒーを一口。温度変化とともに変わる本来のフレーバーをまっすぐ味わってみてください。

2.〈引き算〉のペアリングを選ぶ

生クリームたっぷりのケーキより、軽めの焼き菓子や無添加ドライフルーツなど、素材そのものの味わいが引き立つ軽やかなフードを選ぶと風味を邪魔しづらくなります。

3.〈口直し〉として交互に味わう

味を重ねるというより、お互いの味覚を一度リセットする感覚で交互に口へ運ぶと、それぞれの美味しさをクリアに楽しめます。

また、昔ながらの深煎りコーヒーの強い苦味やボディ感は、スイーツの甘みや油脂分と引き立て合います。浅煎りでは難しいフードペアリングでも深煎りであればグッと合わせやすく、フードと一緒に飲むときは深煎りを選ぶのも選択肢のひとつです。

ここまで「浅煎りスペシャルティとフードを合わせるのはおすすめしない」という論調になってしまいましたが、実際のペアリングでは浅煎り×フードの素晴らしいマリアージュはもちろん存在します。僕自身、「これは発明かもしれない!」という出会いをいくつもしてきました。

ただ、幅広く複雑で繊細なスペシャルティコーヒーだからこそ、適切なペアリングはとても難易度が高いもの。だからこそ素晴らしい組み合わせを見つけることができたときには、その幸運に感謝しながら最高のマリアージュを存分に満喫しましょうね!

それでは良いコーヒーライフを!

8月12日発送のコーヒー紹介①|
Honduras / Juan Evangelista Fernandez(ホンジュラス / ファン・エバンヘリスタ・フェルナンデス)

ホンジュラスの優良生産地Santa Barbaraから届いた、素晴らしいParainema Washedをご紹介します。

このコーヒーを育ててくれたのは、今年ロースター萩原が訪問させていただいた生産者のひとり、フアン・エヴァンヘリスタ(Juan Evangelista)。彼は今年88歳、コーヒー栽培歴は50年!この地域で初めて2段式の乾燥棚を作った、レジェンド生産者です。

会いに行くとしっかりとこちらの目を見て丁寧に話をしてくれ、熱心に自分のコーヒーについて語る姿勢からはこだわりとプライドを感じる方でした。握手をしたときにとても手が大きく厚みがあったのを印象的に覚えています。

訪問させていただいたタイミングでは、彼のコーヒーを買わせていただいてはいましたが、自分で焙煎してはいない状態でした。それでもベッドに敷き詰められた乾燥中のパーチメントの美しさから、クオリティにとても期待が持てると感じていました。

今回焙煎させていただき、その期待が間違っていなかったことを実感しています。

カップを取ると実にクリーンで、ブラッドオレンジやグレープフルーツのような濃厚な柑橘のフレーバーとブラウンシュガーのような甘さを感じます。カシスのようなジューシー感も見つけられました。

また、温度帯によってブラウンスパイスやハーブのようなニュアンスも。これは品種であるParainemaの特性のひとつだと思います。どこかワイルドで力強い飲み口と、クリーンで甘く引き締まった印象が同居する、素晴らしいバランス。正直これまで飲んできたParainemaの中でもトップクラスに好みかもしれません。

フアン氏は新しいGeishaを植え始めていたり、彼の息子も自身の農園を持っていたりと、これからの生産も楽しみに感じています。インポーターのSYU・HA・RI、エクスポーターのSan Vicenteを通してこれからも繋がり続けていたい生産者です。

SYU・HA・RIから頂いたフアン氏のストーリー

完熟したコーヒーチェリーを手摘みで収穫した後、水を入れたプラスチックバレルに入れてフローター(浮く未熟豆など)を除去します。その後、果肉除去を行い、コンクリート製の発酵槽で15時間の乾式発酵を行います。

発酵後、大量の水で3回洗浄し、ビニールハウス内の乾燥台で約13日間かけて乾燥させます。乾燥中は手作業で欠点豆を取り除く選別作業も行います。

フアン・エヴァンヘリスタ(Juan Evangelista)さんの父は、より良い暮らしを求めてこの地域に移住し、現在のコミュニティの開拓者の一人となりました。気候と土壌が作物栽培に適していると感じてこの土地に定住しましたが、将来的にこの地がコーヒー栽培に最適な土地になるとは当時は知りませんでした。

フアンさんは1970年代、この地域で最も早くコーヒー栽培を始めた人の一人です。まだ道すら整備されていなかった時代に、地道な努力で農園を築き上げ、やがてコミュニティと他の町を繋ぐ道路の整備にも尽力しました。

彼は常に自分のコーヒー農園に誇りを持ち、その収入によって家を建て、家族を支えてきました。

7年前、フアンさんは農園の一部をパライネマ(Parainema)という新しい品種に更新しました。これは、近所の農家がこの品種でホンジュラスCOE(カップ・オブ・エクセレンス)を受賞したことがきっかけでした。

2年後、パライネマ種の収穫が始まり、エクスポーターであるSan Vicenteのベンジャミン・パス(Benjamin Paz)氏の指導を受けてスペシャルティコーヒーとしてのプロセスを学びました。それ以来、すべてのロットをスペシャルティコーヒーとして販売できるようになりました。

現在では、彼の息子たちも個別にパライネマ種を育てており、家族全体で高品質なコーヒー栽培に取り組んでいます。

フアンさんは、サンタ・バルバラ地域で最も経験豊富で尊敬されるコーヒー生産者の一人です。高齢になってもなお現役で活躍し続ける姿は、多くの人々から敬意を集めています。

FLAVOR COMMENT

浅煎り。

ブラッドオレンジやブラウンシュガー、濃い紅茶、プラム、ブラウンスパイスのような風味。スムースな質感で、チョコレートやジューシーな甘さが長く続きます。

BEANS DATA

【生産者】Juan Evangelista Fernandez(ファン・エバンヘリスタ・フェルナンデス)

【農園】La Maravilla(ラ・マラヴィジャ)

【地域】Las Flores, Santa Barbara (サンタバルバラ、ラス・フローレス)

【標高】1,500m

【品種】Parainema(パライネマ)

【生産処理】Washed(ウォッシュド)

【エクスポーター】San Vicente(サン・ヴィセンテ)

8月12日発送のコーヒー紹介②|
Peru / Yonal Fernandez Bourbon(ペルー / ヨナル・フェルナンデス・ブルボン)

いまスペシャルティコーヒー業界内で特に熱い視線が向けられている生産国のひとつがペルーです。国内の有名ロースターやインポーターが次々に取り扱い量を増やしはじめた背景には、ペルーがもつ生産国としての高いポテンシャルがあります。

南米大陸の西側に位置するペルーは、南北に伸びた国土の中央をアンデス山脈が縦に縦断します。それにより高い標高と切り立った地形によるマイクロクライメイトが生まれ、かつ小作農が多いという事情からも優れたマイクロロットの伸び代があると考えられています。

今回ご紹介するYonal Fernandezは、そんなペルーの小規模生産者のなかでも比較的日本で知名度のある方。ロースター萩原も、別のロースターが取り扱っていたものを見て存在は存じておりました。今回THE COFFEESHOPで取り扱わせていただくのは初めてになります。

彼が手掛けるBourbonはクリーンで甘く、爽やかな柑橘とほのかなトロピカル感、ときにハーブやグリーン系のフローラルを感じる、洗練された印象。

特に個人的に気に入っているのは温度が高いときに感じやすいラクティック(乳酸系)なアシディティ。口のなかに甘さとともに広がるイメージで、なんとも言えない心地よさです。

豆の見た目からしてコロコロと丸みがあって可愛らしく、実にBourbonらしいアピアランス。いろいろな産地のBourbonを見てきましたが、特に見た目からして遺伝的に濃いのかな?と思わせてくれます。

初めて焙煎させていただいたYonal Fernandezのコーヒー、個人的にとても好きなタイプのデイリーコーヒーで、これからも継続して買わせてもらいたい生産者のひとりになりました。ペルーはまだ訪問したこともないので、いつか訪れてみたい生産国筆頭です。

インポーターからいただいたYonal Fernandezのストーリー

ヨナル・フェルナンデスが自らの道を切り拓く決意をした背景には、両親であるフェリスとヴィオレッタの存在がありました。

幼い頃から両親に教え込まれたのは、大地を慈しみ、農業に情熱を注ぐ尊さ。その教えを胸に、自分の未来を築こうと心に決めた彼は、2017年、人生で最も重要な一歩を踏み出します。

それは、自らの農園を手にすることでした。農園を手に入れたその日から、ヨナルはその土地に自らの夢と情熱を注ぎ込み続けています。種をまき、収穫を迎え、設備を整える。そのすべてに彼の献身的なこだわりと、手仕事の温もりが宿っています。

現在、ヨナルは最愛のパートナー、イメルダ・ヴィラロボスと共に歩んでいます。彼女は彼の最大の理解者であり、支えです。二人は、リアム、ジャン・ポル、カイルという3 人の子供たちに囲まれ、愛と希望に満ちた家庭を築いています。

子供たちは、ヨナルが両親から受け継いだ「勤勉な精神」と「家族の絆」を肌で感じながら、健やかに育っています。

収穫はすべて手作業で行い、真っ赤に熟した「完熟豆」だけを厳選して摘み取ります。収穫したチェリーを水に浮かべ、未熟な豆や欠点豆を徹底的に取り除き果肉を取り除いた後、水に浸した状態で48時間じっくりと発酵。長めの発酵時間を設けることで、豆の奥底にある複雑な風味と甘みを最大限に引き出します。

発酵を終えた豆は、澄んだ水で3回繰り返し洗浄。汚れや雑味を洗い流し、驚くほどクリーンな後味の土台を作ります。予備乾燥を経た後、風通しの良いアフリカンベッドへ20日間という長い月日をかけ、日光と風の力でゆっくりと、均一に乾燥させます。

FLAVOR COMMENT

浅煎り。

ラクティック、オレンジ、レモンピール、アプリコット、ハーバル、ほのかにトロピカルな風味。滑らかな質感で、冷めるにつれてキャラメルやハニーのような甘さが増してきます。

BEANS DATA

【生産者】Yonal Fernandez(ヨナル・フェルナンデス)

【農園】La Mandarina(ラ・マンダリーナ)

【地域】Colasay,Jaen(ハエン、コラサイ)

【標高】1,810~1,890m

【品種】Bourbon(ブルボン)

【生産処理】Washed(ウォッシュド)

定期便でお届けのコーヒーの内容をライブ配信でご紹介!

InstagramとYouTubeのライブ配信・Xスペースで、定期便でお送りしているシングルオリジンのコーヒー豆についてご紹介しています。

配信はアーカイブでもご覧いただけます。ぜひチェックしてくださいね。

次回お届け予定のコーヒー|BDSシングルオリジンプラン

Costa Rica / La Candellila Honey

Brazil / Barreiro Catucai 62 PN

BEANS DELIVERY SERVICE 次回発送→ 9月9日(水)予定

毎月ポストにコーヒー豆をお届け!THE COFFEESHOPのスペシャルティコーヒーのサブスク(定期便)。世界各国の高品質の美味しいスペシャルティコーヒーをお届けします。

THE COFFEESHOPが直接買い付けた日本初上陸のコーヒー豆など、よりマニアックな内容を楽しむことができますよ。

夏の定期便は水出しアイスコーヒーに変更がおすすめ!お届けタイプ変更キャンペーン

早くも暖かい日が増え、アイスコーヒーが飲みたい季節になってきました。

とっても便利な定期便ですが、夏になると熱いお湯を使ってアイスコーヒーを淹れるのは面倒…という方も少なくないのではないでしょうか?

夏季限定で、現在ご利用中のコースのコーヒー豆を〈水出しアイスコーヒーバッグ〉でお届けするキャンペーンを9月23日(水)まで開催中です!

1回のみお試しで変えてみるというのも可能ですので、お申し込みフォームよりお気軽にお問い合わせください。

過去のBDSお届けリスト

WRITER

Daito Hagiwara

THE COFFEESHOPロースター

THE COFFEESHOPにて取り扱うすべてのコーヒー豆の仕入れと焙煎・クオリティコントロールを担当。日々焙煎の研究とコーヒー豆の品質チェックを行う。2024年 Next up Roasting Championship優勝。2025年 焙煎競技会 ROAR OF THE ROAST 2025 優勝

毎週木曜日20:00〜Instagram、YouTube、Xスペースでライブ配信中!

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