Monthly Beans Magazine｜2024年8月号 [vol.119]

この原稿を書いている7月18日、東京は梅雨明けが宣言され、いよいよ夏本番がやってきます。

気象庁によると今年の夏は特に猛暑が予想されるそうで、観測史上最も暑かった昨年に匹敵する“災害級の暑さ”となる可能性が高いのだとか。いまから気が滅入ってしまいそうです。

夏のコーヒー屋にとって何がツラいかというと、なんといっても焙煎作業。

焙煎機内の温度は200℃を超えますし、ROAST WORKSにあるPROBATという機種は蓄熱性が高いという特徴もあり、そばに立っているだけで体感温度は計り知れません。

お店の中全体で温度が上がってしまうので、エアコンとサーキュレーターをフル稼働して、なんとか凌ぎながら日々の焙煎業務にあたっています。

この夏場の焙煎作業、単にロースターが暑い思いをするというだけでなく、実は焼き上がる豆の品質にもかなり影響します。

そもそも焙煎という作業は、生豆に熱エネルギーを与えることで水分を抜き、成分変化を促して美味しいコーヒー豆に仕上げる工程。

この『生豆に熱エネルギーを与える』、そして『水分を抜く』という部分において、その日の湿度（空気の重さ）や気温、天候の違いは、かなりの影響を与えます。

例えば湿度について。日本の夏は高温多湿で雨が多く、冬に比べて絶対湿度（空気中に含まれる水蒸気の総量）が高い日が多くなります。

水蒸気を多く含んだ空気は、乾燥した空気に比べて、暖まりにくく冷めにくい、という特徴があります。

そのため、とくに焙煎の中盤くらいのフェーズで温度上昇しづらかったり、逆に終盤にかけてエネルギーが高まり、急に温度が上がってしまったりする場合があるんです。

また、すでに水分を多く含んでいる空気には、生豆から水分が抜けていきづらい特性もありますし、焙煎前の生豆の時点で水分を吸ってしまい、元の水分活性値が高くなってしまっていることも。

水分活性値が高い豆は、豆の内部まで火が通るのが早い、という特徴もあるので、『豆の内側だけすごく火が入っていて、外側は焼きが甘い』という変わった仕上がりになってしまう危険性もあります。

夏場の焙煎においては、これらの影響を考えながら火力や風量（排気量）の調整をして、いつもと変わらない品質を目指して取り組んでいるんです。

THE COFFEESHOPの豆はもちろんですが、他のショップから購入されたコーヒー豆が、いつもと変わらず美味しい！と感じてくれた方は、そうしたロースターの陰ながらの仕事を思い出していただけると嬉しいです！

ホットコーヒーを濃いめに抽出して、氷を溶かし込むことで濃度を調整しながら冷やすという、急冷式のアイスコーヒー。

THE COFFEESHOPのマガジンやYouTubeでも何度もご紹介してきた夏の定番コーヒーのひとつですが、氷を入れるタイミングによって仕上がりが変わってくることがわかってきました。

基本の淹れ方は、あらかじめサーバーに氷を入れておく『先入れ』。

コーヒーの風味がギュッと詰まったような、キレ感のあるアイスコーヒーになります。

対して、先にコーヒーだけ濃いめに抽出し、後からサーバーに氷を加える『後入れ』だと、より透明感のあるクリアな印象に。

同じコーヒー豆やお湯の注ぎ方でも、氷を入れるタイミングを変えるだけで味変を楽しめます。

あなたはどっちがお好みか、ぜひ一度お試しください！

平底ドリッパーとペーパーフィルターの間に挟むだけで味わいを明確に変える、革命的なドリップアシストツール！

kalita waveやOREA、Aprilなど、近年数多くリリースされている幅広い平底型のドリッパーと組み合わせて使用できます。

おかげさまで大好評につき、現在ONLINE STOREは完売中ですが、次回は9月入荷予定。

YouTubeでの紹介動画をみて、入荷を楽しみにお待ちください！

ハンドドリップ掘り下げ講座【シリーズ第１弾】

ハンドドリップの時間経過によって、フェーズごとにどんな成分が取り出されているのか？

味が出ていく順番を30秒ごとに区切って40gずつ注いで検証します。

次回2024年9月号は9月1日発行を予定しております。お楽しみに！

それではみなさま、良いコーヒーライフを！

mbmは店頭やオンラインストアで商品をご購入の際に無料でお入れしております。ぜひゲットしてくださいね！