コーヒーテイスティングカップとは|カップの形状で変わるコーヒーの風味

2019.10.04
SHERE

スペシャルティコーヒーを表現するものとして、FROM SEED TO CUP (種からカップまで)という言葉を用います。

これは読んでそのまま、栽培からカップに注ぐ(つまり抽出)まで、すべての基準がスペシャルティでなければならないというもの。

今回は、さらにその先を行く『カップ』の検証です。スペシャルティコーヒーにふさわしいカップとは?見ていきましょう。

カップの形状で変わるコーヒーの風味

スペシャルティコーヒーと似ているものには、ワインがあります。ワインは、ブドウを原料としており、その品種や加工方法によって、出来上がりの味や風味が異なります。

ワインには、その味や風味に合わせてグラスも変えて楽しむという文化があり、そこまで含めて楽しむことができます。例えば香りを広げたいのか、閉じたいのか。またまっすぐにストレートに口へと運びたいのか、ふわっと柔らかく運びたいのか。それによってグラスの形状を使い分けるわけですね。

では、スペシャルティコーヒーではどうでしょう。

実は、コーヒーにもカップを変えて楽しむ文化がないわけではありません。しかし、今のところ、まだ一部のコーヒーフリークのみが、マニアックなものとして楽しんでいるだけにとどまります。

今後スペシャルティコーヒーの楽しみ方が多様化していく中で、どれだけ一般的なものになっていくのか。非常に楽しみな分野の一つが、カップ選びなのです。

ESPRO Coffee Tasting Cups

今回は、カナダのコーヒー器具メーカーESPROさんのコーヒーテイスティングカップを使用し、カップの形状によって、コーヒーの味や風味がどのように変わるのか、検証してみました。

↑ 写真左から、『COCOA』『SPICY』『FRUITY』『FLORAL』。

COCOA:

丸い形状で、フチは厚め。カフェオレボウルのような形状。

SPICY:

胴が丸く膨らんでおり、ネックがくびれ、フチに向かって再び広がっている形状。フチは薄め。

FRUITY:

胴が丸く膨らみ、フチに向かって閉じていく形状。フチは厚め。

FLORAL:

ストレートな胴から、フチに向かって広がっていく形状。フチは薄め。

フローラルなフレーバーとカップ|エチオピア

では早速、実際にコーヒーを注いで、味や風味の差を確認していきたいと思います。

まずはフローラルなフレーバーが特徴のエチオピアのコーヒーで試してみました。結果は以下の通りです。

エチオピア×COCOA:

質感が滑らか。下の上に乗るような感じで味わえる。

フレーバー、酸味はやや弱め。

エチオピア×SPICY:

フレーバー、酸味、質感、甘さ、どれも強すぎず弱すぎず。非常にバランスが良い。

エチオピア×FRUITY:

甘さを感じやすい。

口に運んだ際に閉じ込められた香りが一気に入ってくる。

一口の量は最も少なく、まっすぐ細く入ってくるので質感は感じにくい。

エチオピア×FLORAL:

立ち上る香りが豊か。

一口の量が多く、口全体に広がるので、複雑なフレーバーと酸味を強く感じる。

ロースター萩原コメント:

予想以上に違いがありましたね。正直びっくりです。

コンセプト通りであれば、今回使ったエチオピアにはFLORALカップが合うのでしょうけれど、個人的に好きなのは、COCOAカップでした。質感が素晴らしい。

スパイシーなフレーバーとカップ|インドネシア

続いて、クローブなどのスパイシーなフレーバーが特徴のインドネシアでも試してみました。

インドネシア×COCOA:

やはり質感がよく、フレーバーと酸味は弱め。

インドネシア×SPICY:

甘さを伴った香り、フレーバーがほどよい。

インドネシア×FRUITY:

んー、いろいろ物足りないかも?

インドネシア×FLORAL:

フレーバーが強すぎる印象。

しかし、ボディは弱い。

ロースター萩原コメント:

こちらは、SPICYカップが最も合っていると思います。SPICYカップは、良くも悪くもバランスよく感じさせてくれるので、今回のインドネシアのようにクローブ感が強いものでも、程よく抑えてくれていいですね!

反対にNG、というか強すぎてしまって合わなかったのは、FLORALカップでした。

まとめ

カップの形状によって、スペシャルティコーヒーの味や風味の感じ方は、ここまで変わるものなのか、というのが、今回の検証の正直な感想でした。

なかなか奥深い世界なのかもしれませんね。カップのカラーや模様も考えて、豆の銘柄に合わせたら、無限に楽しめるのではないだろうか?

あとは今回、萩原のコメントにもあった質感というフレーズ。今回はフレンチプレスでの抽出であったため、それとCOCOAカップの相性が良かったようにも思えます。

というわけで、次回はクリーンカップを意識したハンドドリップのコーヒーで、質感にだけフォーカスして、追加検証を行ってみようと思います。

WRITER

THE COFFEESHOP

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