エアロプレス レシピ考察|フィルターとコーヒーの風味

2016.10.26
SHERE

ROAST WORKS の店舗メニューにもあるエアロプレス(AERO PRESS)。その抽出レシピについて、今回はフィルターの違いによるコーヒーの風味の違いについて見ていこうと思います。

エアロプレス(AERO PRESS)とは

エアロプレスは、エアロビー社(AEROBIE)が開発したコーヒーの抽出器具です。注射器のような見た目で、コーヒーの抽出器具というより、理科の実験器具のようなイメージです。

エアロプレスの特徴は、ハンドドリップやフレンチプレスとは全く異なる『圧で押しだす』という抽出方法をとることにあります。パッケージ外箱の説明書きには「エスプレッソのような」とありますが、実際のところはそこまで濃厚なコーヒーではなく、ハンドドリップやフレンチプレスに近いコーヒーが出来上がります。

エアロプレスのフィルターについて

さて、今回はそのエアロプレスのフィルターについて触れてみようと思います。

今回検証するエアロプレスのフィルターは、2種類。

エアロビー社純正のペーパーフィルターと、Able Brewing 社製のメタルフィルターの2種類です。

ペーパーフィルター

エアロビー社の純正品は、薄い紙素材のフィルターです。特に細工が施されているわけでもなく、ハンドドリップ用のペーパーフィルターを丸くカットしたような材質です。

メタルフィルター

こちらがAble Brewing 社製のメタルフィルターです(お店で実際に使い込んでいるものなので少しの傷はご愛嬌)。素材はステンレス製。ペーパーフィルターと違って、洗って何度も繰り返し使用することができます。

メタルフィルターにも実は種類があって、上の写真はスタンダード、それよりももっと目が細かいファインというものがあります。ファインは取り扱いが少々難しいため、今回は割愛させていただき、また別の機会で触れて見たいと思います。

フィルターの違いによるコーヒーの違い

ペーパーフィルターで淹れた場合と、メタルフィルターで淹れた場合で、出来上がるコーヒーにはどのような違いが出るのでしょうか。同じコーヒー豆、同じレシピにて、その差を検証してみました。

使用したコーヒー豆

今回使用したのは『ケニア – キアマバラ』です。

キアマバラ・ファクトリーは、ケニアの優良産地ニエリ地区の標高1,600mに位置しています。 1980年代初めに設立され、近隣生産者のコーヒーチェリーを生産処理しているファクトリーです。キアマバラ・ファクトリーでは生産者に農業指導支援などを行い、長期間に渡る目標として、生産者が適切な農業実践をすることによる生産量の増加を掲げています。また、コーヒーチェリーを納める生産者との信頼関係、透明性を築くことで持続可能なコーヒーの生産ができると考え、取り組んでいます。

カシスやブラッドオレンジ、グレープの風味。ジューシーな質感で、明るく複雑なアシディティ(酸味)。

ブラウンシュガーのような甘みがあり、後味も長く続きます。

コーヒー抽出レシピ

エアロプレスでの抽出方法はこちらの記事をご参照ください。

大まかな流れとしては、以下のとおり。

コーヒー豆 15グラム

お湯 220グラム

1分間浸漬にて抽出

その後30秒かけてプレス

出来上がったコーヒーの見た目の違い

同じコーヒー豆、同じ挽き目、同じレシピにて、フィルターだけを変えて抽出してみました。

上の写真は、ペーパーフィルターで抽出したコーヒーと、メタルフィルターで抽出したコーヒーの液体表面です。特に際立った違いは見られませんでしたが、オイル量はステンレスフィルターの方が少し多めに見えます。

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出来上がったコーヒーの風味の違い

見た目はそんなに変わらなかったものの、コーヒーの風味には違いをハッキリと感じることができました。

ペーパーフィルター

ブラッドオレンジ、カシスのような風味。

質感はジューシーで、後味はスッキリしている。

コーヒーを色で例えると、オレンジや赤のイメージ。

メタルフィルター

カシスやグレープのような風味。

質感はシロップのようで、後味には甘さが残る。

コーヒーを色で例えると、赤紫のイメージ。

まとめ

同じコーヒー豆、同じ挽き目、同じレシピにて、フィルターだけを変えて抽出した場合、見た目こそあまり変わりませんでしたが、味や風味にはハッキリとした違いを感じることができました。

味や風味に違いが出る理由ですが、一概にフィルターの材質による目の細かさ由来とは言えないのが、エアロプレスの面白いところです。実際に同じレシピで30秒かけてプッシュしようとした場合、メタルフィルターの方が強い力が必要になりました。

つまり、目の細かさで言えばペーパーフィルターの方が細かいのですが、濾過面が無数に満遍なくあるため、『圧』はかかりにくく、逆に目が粗いメタルフィルターは、材質が厚く穴の数にも限りがあることから『圧』がかかりやすいのではないか、という事です。

圧力がどのように抽出に影響するかはわかりませんが、今回の検証では、このような違いから出来上がるコーヒーに違いが出たのではと考察します。

ペーパーフィルターとメタルフィルター。使い勝手だけでなく、出来上がるコーヒーの味の違いにも着目して選んで見てくださいね。

次回は、エアロプレス続編。同じコーヒー豆、同じレシピ、同じフィルターにて、豆の挽き目を変えて実験してみたいと思います。

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THE COFFEESHOP

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