コーヒーの温度、拘ってますか?コーヒーの味は淹れるお湯の温度で変わります!

2022.10.07


コーヒー抽出のレシピには使う豆の量や挽き目など、さまざまな数字が登場しますが「抽出に使うお湯の温度(湯温)」も、とても大事なポイントのひとつ。
今回は抽出時の湯温に着目して、温度の違いによってどのようにコーヒーの味わいに変化が起きるのか、検証してみました!

お湯の温度でコーヒーの味はどう変化するのか|湯温別に比較検証!

新たにコーヒーの抽出レシピを考えたり、自分で味の調整をするとき、抽出湯温の設定は大事なパラメータのひとつです。
温度を変えることでどんな味の変化が起きるのかを理解して、お好みのコーヒーに一歩近づきましょう!

検証方法・抽出条件

今回はできる限り抽出湯温だけに変化をつけたいので、抽出のブレが少ない【HARIO浸漬式ドリッパー スイッチ】を使用しました。

【HARIO浸漬式ドリッパー スイッチ】についてはこちらをご覧ください。
→ https://os.thecoffeeshop.jp/fs/thecoffeeshop/tool/dripper_switch

豆の種類・挽き目・粉量・湯量・抽出時間を固定した上で、湯温を変えて味の違いを確かめていきます。
使用したコーヒー豆の量、お湯の量は以下の通りです。

  • 豆:20g  中挽き
  • お湯:250ml
  • ペーパーフィルター:HARIO V60 02サイズ用フィルター

お湯の温度は96℃と86℃の2種類を用意。
また、焙煎度合いによる違いがあるかもしれないので豆も浅煎りと深煎りの2種を用意しました。
抽出レシピは以下の通りです。

  • あらかじめフィルターに湯通し、サーバーの余熱をしておく。
  • 30秒かけてお湯を250ml注ぎ、注ぎ始めてから2分間浸漬。
  • 2分後、レバーをおろして透過。お湯はすべて落としきる。

それでは早速検証結果を見ていきましょう!

浅煎りのコーヒー豆でお湯の温度を変えてみる

まずは浅煎りのコーヒー豆を使用した場合。
お湯の温度で味にどんな違いが出るのかみていきます。

検証に使用したコーヒー豆は 【Honduras/Los Pinos Typica】 。
マイヤーレモンやキャラメル、ほのかにジャスミンのような風味。
シルクのように滑らかな質感で、上白糖のような甘さが長く続きます。

熱めのお湯(96℃)で抽出した場合

熱めのお湯を使用した場合、マイヤーレモン、オレンジのような酸味とほのかにワインのようなフレーバーが感じられるコーヒーが出来上がりました。

落ちきりタイム:2分42秒
出来上がりの温度:約73℃

チョコレートやキャラメルのようなボディのある甘みがありつつ、後味はすっきりと感じられました。
全体として凝縮感のある酸味・甘味が抽出できている印象です。

ぬるめのお湯(86℃)で抽出した場合

Citric(柑橘系)な酸に加えてMalic(リンゴ酸)の印象があるため透明感があり、明るい酸味を感じるコーヒーに仕上がりました。
フレーバーも、先ほどの96℃で抽出したものより明るく爽やかで、ほのかにジャスミンの香りも感じられるものに。

落ちきりタイム:2分45秒
出来上がりの温度:約68℃

さらっとした口当たりの影響か、Tealikeともとれる軽いボディ感ですが後味はより長く続きました。
96℃で抽出したコーヒーと比べるとよりフルーティーさが増した出来上がりになっています。

深煎りのコーヒー豆でお湯の温度を変えてみる

続いて、深煎りのコーヒー豆を使用した場合。
お湯の温度で味にどんな違いが出るのかみていきます。

検証に使用したコーヒー豆は 【Brazil/Sitio da Torre Natural】 。
ダークチョコレートやくるみ、アプリコットのような風味。
スムースな質感で、後味に甘さの余韻が長く続きます。

熱めのお湯(96℃)で抽出した場合

ローストしたナッツを思わせる香ばしい風味と苦味。
ナッツや、ハイカカオチョコレートのような甘さを感じることができ、Citricな酸味心地よく続くコーヒーになりました。

落ちきりタイム:3分0秒
出来上がりの温度:約72℃

後味は短くキレのある印象でした。

ぬるめのお湯(86℃)で抽出した場合

同じナッツでもくるみのような丸みのある風味。
甘さも同じく丸みが出て、ミルクチョコレートのような甘さをしっかりと感じるコーヒーに仕上がりました。

落ちきりタイム:2分53秒
出来上がり温度:約69℃。

アプリコットのようなフルーティさと、甘さの余韻が長く続く心地よいものになりました。

コーヒーは湯温で味が変化する!

検証の結果の通り、お湯の温度の違いによって、コーヒーの味わいは変化。
それぞれ特徴が異なるものになりました。

簡単にまとめてみると…

浅煎りで使用した豆は、

高い温度のお湯を使用:チョコレートやキャラメルのような甘さ

ぬるい温度のお湯を使用:爽やかなフルーツの酸味・香り

温度別に味の軸になる部分の印象が異なる印象。
お湯の温度を調整することで、よりお好みのフレーバーや甘さを引き出せることができるのでアレンジのしがいがありそうです。

深煎りの豆は、

高い温度のお湯を使用:濃度感のあるしっかりとした口当たりがありましたが苦味として若干ネガティブな成分を感じる

ぬるい温度のお湯を使用:口当たりは軽くなるものの甘さと苦味のバランスがとれたコーヒーに

カップとして整っている(適正な抽出)のは86℃のように思えます。
ただお好みに合わせて96℃〜86℃の間を探ってみるのも面白いかもしれません。

コーヒーの味(甘み・酸味・苦味など)に温度が関係する訳とは?

では、なぜ抽出時に使うお湯の温度を変えることで、コーヒーの味に変化が生まれたのでしょうか?
それには【成分の溶け出しやすさの違い】が大きく関わってくると考えられます。

成分の溶け出しやすさの違い

焙煎されたコーヒーには酸味や苦味を示す様々な成分が含まれています。
それらがどのくらいお湯に溶け出しているかによって、コーヒーの味が作られます。

また、成分ごとに水への溶け出しやすさが異なっており、主に酸味成分は水に溶けやすく、苦味成分は溶け出しにくいとされています。

水は温度が高いほど成分を溶かし出す力が強いので、それぞれの温度帯での抽出は以下のようになっていると考えられます。

高温(96℃)での抽出:
酸味成分も苦味成分もたくさん抽出されている。
→ 鋭い(Citricな)酸味や苦味を感じる。

低温(86℃)での抽出:
溶け出しやすい酸味成分はある程度出ているが、苦味成分はあまり出ていない。
→ 酸味に丸みを感じ、苦味を感じにくい。

成分量の差による密度の違い

2つのコーヒーを飲み比べた時に感じた酸味の質や苦味の違いは、それぞれの成分の溶け出しやすさによって生まれていると考えられます。

また、成分の種類を抜きにして総量だけで見た場合、当然高温の方がより多くの成分を取り出しています。
言い換えると、高温の方がより重たい・密度の高い液体になるので、口の中に長く留まらずに抜けていくような感覚をもち、後味にキレに繋がっているというわけです。

苦味や雑味の量による相対的な『甘さ』の違い

ちなみに、甘さに関していうと、コーヒーの液体の中には、直接的に甘さを示す成分はほとんど含まれていません。
私たちがコーヒーに甘さを感じるのは、糖類などの成分を知覚しているのではなく、酸味や質感、香りなどの複雑なバランスによって、ある意味「甘い」と勘違いしているようなものです。

成分の割合による甘さの変化を語るのは難しいのですが、ひとつ言えるのは「甘い」と感じるためには『苦味や雑味が少ないこと』がポイントとなります。
苦味や雑味は高温ほど出てきやすいので、低温の方がフルーティな甘さを感じたのは、この理由が当てはまるかもしれません。

こちらも合わせてお楽しみください。
→ コーヒーの『甘さ』を考える|THE COFFEESHOP での表現方法

温度をコントロールして美味しいコーヒーを

以上、抽出時のお湯の温度の違いによるコーヒーの味変化について、検証・考察してきました。

難しい話は一旦置いておいて、しっかりした酸味やボディ、コーヒーらしい苦味を楽しみたい時は高温のお湯を使用するのが良いでしょう。
フルーティな甘さや柔らかい口当たりのコーヒーを飲みたい時には、低温のお湯を使ってみてください。

同じコーヒー豆でも味わいの変化を簡単につけられるので、ご自身のお好みや気分に合わせて、おうちでのコーヒー時間をより楽しんでみてくださいね!

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