クレバーコーヒードリッパー 使用レビュー&おすすめレシピ

2020.11.19


レシピを覚えれば初心者でも簡単に美味しいコーヒーを抽出できる、浸漬式ドリッパー。
前回『HARIO浸漬式ドリッパー スイッチ』のレビュー&おすすめレシピをご紹介しましたが、今回は浸漬式ドリッパーと言えばこれ、と言えるくらい使用されている『クレバーコーヒードリッパー』をご紹介します。

浸漬式とは?

焙煎したコーヒー豆を細かく粉砕し、その成分をお湯に溶かし出すことを『抽出』と言いますが、
この抽出には大きく分けて、『透過式』と『浸漬式』の2パターンがあります。

『透過式』はその名の通り、コーヒー粉の層にお湯を透過させるさせながら成分を取り出す方法。
代表的なものにはハンドドリップが挙げられます。抽出の際に多少の技術が必要となる代わりに、抽出時間・速度のコントロールで味に変化がつけられるのが特徴です。

対して『浸漬式』は、コーヒー粉とお湯とを一定時間漬け込むことによって成分を取り出す方法。フレンチプレスがその筆頭ですね。抽出に技術は必要なく、時間や湯量などをしっかり計ることで誰でも安定した抽出を行うことができます。

クレバーコーヒードリッパー(Clever Coffee Dripper)の特徴

クレバーコーヒードリッパーは、2009年・台湾で誕生したドリッパー。発売当時、その画期的な抽出方法が話題となり、2020年現在でもプロの愛用者も多い優秀なドリッパーと言われています。

本体素材はPCTG樹脂というプラスチックの一種でできています。
ドリッパー部分は、いわゆる台形ドリッパーと同じ形状で、カリタやメリタから発売している台形用のペーパーフィルターを使用できます。

最大の特徴は本体下部についたシリコンバルブ。テーブルなど平なところに置いたときにはバルブが閉じ、ドリッパーよりも直径の小さなサーバーやマグカップに乗せると、バルブが上に持ち上げられて開くようになっています。

お湯にコーヒーの粉を漬け込む間はテーブルの上に置いておき、時間になったらサーバーの上にドリッパーを置くだけでドリップが始まる、という仕組みです。

2サイズ展開で、1〜2杯用のSサイズと、1〜3杯用のLサイズとがあります。
違うのは大きさだけなので、普段の抽出量に合わせて選びましょう。

クレバーコーヒードリッパーでコーヒーを抽出してみる

まずは説明書に記載のレシピからテスト。
本体に同梱してあった、SCAA(現在はSCA)推奨のレシピを試してみます。

豆量:10g 細挽き
湯量:180ml 96℃
抽出時間:1分30秒で8回攪拌、3分30秒でドリップ開始

まず、ドリッパーに台形ペーパーフィルターをセット。
お湯を注いでリンス後、コーヒー粉を計り入れます。

タイマースタートと同時に96℃のお湯を180ml投入。
このとき、サーバーにのせたままだとバルブが開きっぱなしになるので、必ずテーブルやスケールの上でスタートしましょう。

お湯を注ぎ終えたら付属のフタをして、1分30秒まで待ちます。

1分30秒になったらフタを外し、スプーンなどでドリッパーの底から8回攪拌を加えます。
その後、またフタをして3分30秒まで待機。

3分30秒になったら静かにドリッパーを持ち上げ、サーバーの上に置きます。
すると、シリコンバルブが押し上げられて開き、コーヒーが下へと落ちていきます。
コーヒーが落ち切ったら、最後に軽くかき混ぜて完成です。

出来上がったコーヒーは、やや過抽出気味な印象でした。
細挽きを推奨ということでしたが、お湯の抜けが悪く抽出時間が延び、雑味が出やすくなっているのかもしれません。
ということで、挽き目の調整で適正レシピを探ってみます。

THE COFFEESHOP的おすすめレシピ

豆量:10g 中挽き
湯量:180ml 96℃
抽出時間:1分30秒で8回攪拌、3分30秒でドリップ開始
落ちきりタイム:4分ごろ

先ほどのレシピに比べて、粉の挽き目をより粗く調整しました。
抽出時間4分、さらに攪拌も加えるので、抽出効率はかなり高くなります。
出来上がり量に対して使う粉の量が少なくて済むので、コスパも良好。
攪拌の回数で仕上がりが変わってくるので、好みのポイントを探すのもいいですね。

クレバーコーヒードリッパーの良いところ

安定して美味しい

さすが世界中のバリスタやロースターに支持されているだけのことはあり、安定して美味しい抽出ができました。
取り扱う豆の品質チェックにクレバーを使うロースターもいる、というのも納得です。

微粉が入らない

浸漬式の抽出器具の代表といえばフレンチプレスですが、どうしても起きてしまうのが微粉の混入。気になる人には大問題な微粉ですが、このドリッパーならフレンチプレスと同じくらい簡単な抽出ながら、微粉の混入はほぼ100%防げます。

細かい設計がちょうど良い

フタがついているので抽出時間を長くとっても温度が下がりにくい、お湯が入った状態で持ち上げる必要があるので、本体がプラ製で軽いのがありがたい、ハンドル部分が持ちやすい、など、細かい部分の気配りが優秀。

クレバーコーヒードリッパーの気になるところ

分解清掃が困難

シリコンバルブ付近のギミックは、分解して清掃するのはなかなか困難。
ドリッパーの上側からシリコンバルブを押し込めば取り外しはできますが、またそれを付けるのに一苦労する作り。毎回の分解清掃は諦めた方がいいでしょう。

割れる

何を隠そう、私萩原は以前、分解したクレバーを戻そうとして無理に力を込め、バキッという音と共に見事に壊した経験があります。。
プラスチックの中では比較的丈夫なPCTG樹脂製とは言え、落としたりすれば割れます。
(どんなドリッパーにも言えることですが…)

まとめ

”クレバー=賢い”という名前のとおり、誰でも簡単に安定した美味しいコーヒーを淹れられるツールでした。
特に、これからおうちコーヒーを始めるという初心者の方にはおすすめしたいドリッパーですね。廉価な全自動コーヒーマシンを買うよりは、はるかに美味しいコーヒーが淹れられるようになると思います。

次回、クレバーと近いコンセプトで発売中の『HARIO 浸漬式ドリッパー スイッチ』との違いについて、比較検討してみたいと思います!


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