ホットコーヒーとアイスコーヒーで味に違いが生じるのか?”同じ豆なのに美味しくない”の正体とは

2020.09.03


THE COFFEESHOP によく寄せられる質問に、『アイスコーヒーにおすすめの豆はありますか?』というものがあります。回答としては、『スペシャルティコーヒーの豆は、すべてアイスコーヒーにしても美味しく楽しめますよ。』というものです。

しかし、実はホットで淹れた場合とアイスで淹れた場合で、美味しさの特徴に違いが出ることも事実。そこで今回は、同じ豆を使ってホットコーヒーとアイスコーヒーを作った場合、それぞれどんな味になるのか、どんな特徴が強く出るのかについて見ていこうと思います。

ホットコーヒーとアイスコーヒーで味に違いが生じるのか?同じ豆なのに美味しくないの正体とは

目次

“いつもの豆でアイスコーヒーを淹れたら不味かった”の正体

最初にお伝えした通り、スペシャルティコーヒーの豆は、基本的に(かなり特徴的な焙煎をしていない限り)ホットでもアイスでも、美味しく飲むことができます。

しかし、この時期お店に寄せられる質問には『アイスコーヒーにおすすめの豆は?』という問いが多い。この背景には、いつもの豆をアイスコーヒーにしてみたら、不味かった。ということがあるのではないでしょうか。

この原因、一つは淹れ方というのもあるかと思います。しかし、そもそもホットで飲む場合とアイスで飲む場合とでは、味の感じ方が異なることも事実です。不味かったというよりも、好みの味じゃなかった。こんな表現の方があっているのかもしれません。

温度で変わるコーヒーの味

以前こちらの検証(コーヒーの温度は何度が美味しい?飲む温度で変わるコーヒーの味検証)でお伝えしましたが、コーヒーは、飲む温度によって感じられる味が変化します。

検証記事からの抜粋になりますが、例えば以下のような感じです。

▼ブラジル/ファゼンダ カシャンブ

64.0℃:
カシューナッツ、ミルクチョコ、カカオニブのようなフレーバー。
ホワイトグレープのような爽やかな酸味と、かすかにブルーベリーの風味。

51.5℃:
シトラス、グレープフルーツピールのようなすっきりとした風味。
ヘーゼルナッツのような甘みのあるナッツ感がある。

43.8℃:
ミルクチョコ、きび糖のような風味。
質感はスムース、穀物のような甘さが残る。

ホットコーヒーとアイスコーヒーの場合、上記検証結果よりも極端に温度差があるため、感じられるフレーバーや味の違いがもっとハッキリしてきます。ホットで美味しかった豆が、アイスにしたら『好みじゃなかった』というのは、これが大きな要因となります。

実験:アイスコーヒー用の豆でホットコーヒーを淹れてみる

では、ここからは実験。実際に同じ豆で、ホットコーヒーとアイスコーヒーを抽出し、味やフレーバーにどんな違いがあるのか、確かめてみました。

使用豆:
ICED COFFEE MIX 2020

抽出方法:
どちらもハンドドリップ(メタルフィルター)で抽出

比較ポイント:
同じコーヒーでも、アイスとホットでどう印象が変わるのか

結果は以下の通り。より強く感じられた味・フレーバーから順に記載します。

ホットコーヒーとアイスコーヒーで味に違いが生じるのか?同じ豆なのに美味しくないの正体とは

▼ホットコーヒー

ダークチョコレート
ビターキャラメル
ロングアフターテイスト
シトリック

ホットコーヒーの場合、スイートネス(甘さ)とアフターテイストが伸びる印象でした。上記を見ていただいてわかる通り、甘さに関係するコメントが多いですよね。また、ホットから冷めてくると、アシディティ(酸味)も感じやすくなってきます。

ホットコーヒーとアイスコーヒーで味に違いが生じるのか?同じ豆なのに美味しくないの正体とは

液体表面から立ち上ってくるアロマは、アイスにはほとんど感じられないもの。ホットコーヒーならではの魅力と言えます。

(ただし、今回実験で使用した豆は、アイスコーヒー用に焙煎・ブレンドした豆なので、ホットで淹れたときは個性をあまり感じませんでした。ありきたりな味になってしまいました。)

ホットコーヒーとアイスコーヒーで味に違いが生じるのか?同じ豆なのに美味しくないの正体とは

▼アイスコーヒー

ブライトアシディティ
オレンジ
チェリー
マスカット
チョコレート

対してアイスコーヒーは、アシディティ(酸味)を全面に感じやすい印象でした。シトラスやチェリー系の酸味が強く、ホットと比べアフターテイストは短くすっきりしたものに。

ホットコーヒーとアイスコーヒーで味に違いが生じるのか?同じ豆なのに美味しくないの正体とは

特に2020年のアイスコーヒーミックスは、前年までと比べて明るい酸をテーマに加えているため、そこが明確に現れたといった感じでしょうか。

(アイスで淹れたときの方がブライトな酸味のある個性的なコーヒーになっている。もちろん、それを狙って設計してますが。)

アイスで感じやすい味を把握して好みの豆を探そう

ホットコーヒーとアイスコーヒーで味に違いが生じるのか?同じ豆なのに美味しくないの正体とは

同じ豆でも、ホットとアイスで感じられる味には大きな違いがあること、お分かりいただけたでしょうか。まとめると、以下のようになります。

ホットコーヒーで感じやすいのは:
フレーバー、スイートネス(甘さ)、アフターテイスト

アイスコーヒーで感じやすいのは:
アシディティ(酸味)

これは、今回検証したアイスコーヒーミックスだけに限らず、コーヒー豆全般にも言えること。抽出方法や抽出レシピによって多少の差はありますが、共通して同じ傾向になりやすいです。

ホットの時には感じなかった酸味も、アイスにしたら現れるかも。ホットの時に感じられたダイレクトな甘さは、アイスにしたら和らぐかも。

いつもの豆でアイスコーヒーを作る際には、こんな予想を立てながら楽しんでみるのも、アリなのではないでしょうか。

また、アイスにした際に感じられる酸味が苦手という方は、比較的まろやかな味になる水出しコーヒーにするというのも、良い方法だと思います。

同じ豆でも変わる味。コーヒーの味探求、ぜひ楽しんでくださいね!

ホットコーヒーとアイスコーヒーで味に違いが生じるのか?同じ豆なのに美味しくないの正体とは


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