シルキー、クリーミー、スペシャルティコーヒーの『質感』ってなに?

2019.10.18


スペシャルティコーヒーを楽しむ際、味やフレーバーに加えて一緒に感じていただきたい要素として『質感』というものがあります。コーヒーの質感とは、どんなものなのか。また、それはなにによって決められるものなのか。見ていきましょう。

コーヒー質感

目次

味?香り?コーヒーの質感とはなにものなのか?

スペシャルティコーヒーを楽しむ際には、フレーバーホイールを理解しておくと、より深く楽しむことが出来る。ということは、これまでにも何度もお伝えしてきました。

また、甘さ酸味など、味にまつわるお話も、検証を交えてお伝えしてきたかと思います。

それで今回のお話は、コーヒーの質感についてです。

そもそも質感とは何か。これは端的にいうと、コーヒーを口に入れたとき、触覚として感じるものになります。

例えば同じ液体でも、水のようにサラサラしたものもあれば、メイプルシロップのようにトロみのあるものもある。それと同じように、コーヒーにもサラサラしたものと、トロみがあるもの、滑らかなものなど、様々な表情があります。

スペシャルティコーヒーの質感の表現例:
滑らか・シロップのような・シルクのような・重みがある・軽やか など

例えばブラジル・カクェンジの場合、フレーバーとあわせてこのように表現されます。

『カシューナッツや、チョコレート、アプリコットのようなフレーバー。シルクのような質感で、三温糖のような甘さが長く続きます。』

質感を決める要素1、コーヒー豆の銘柄

では、コーヒーの質感を決める要因はなんなのか。これは、フレーバーや味とも同じ要素に分解されます。まずは、コーヒー豆の銘柄。そして、淹れ方。飲むときの温度帯。この3つが大きく関わります。

まず銘柄ですが、コーヒーは農作物であるため、栽培される土地の土壌や気候によって、出来上がる個体に差が生じます。つまり、産地によって、質感として現れる成分や成分の量が微妙に異なるわけですね。

例えば先ほどのブラジル・カクェンジは、シルクのような質感が特徴であったのに対し、インド・カラディカン バンガローは、クリーミィな質感が特徴です。

ブラジルとインドでは、当然気候も土壌も異なりますので、違った個性を持つコーヒー豆が出来上がるというわけです。

また、同じ産地から収穫された豆でも、収穫後の生産処理がナチュラルなのか、ウォッシュドなのかでも、質感に違いが生じます。

質感を決める要素2、コーヒーの抽出方法

スペシャルティコーヒーの質感に関わる要素2つ目は、抽出方法です。

ハンドドリップなのか、コーヒープレスなのか。同じハンドドリップでも、メタルフィルターを使うのか、ペーパーフィルターを使うのか。抽出に使う道具や方法によって、出来上がるコーヒーの質感には、違いが生じます。

なぜ抽出方法で質感が変わるのでしょうか。これは、カップに残る微粉の量、そしてオイルの量が関わっていると考えられます。

極端な例で言えば、ペーパーフィルターを用いたハンドドリップ抽出よりも、フレンチプレスでの抽出の方が、カップに残る微粉およびオイルの量が多くなります。(フィルターの目の粗さと、上澄み液か透過液かの違いがある。)

関連記事
→ コーヒーのオイル分を楽しむ|抽出方法による差

微粉の量が増えれば、液体に重さを感じるようになります。また、オイル分が多くなれば、トロみであったり、舌の上に長く残る感覚があります。

水とプロテインの違い。水とオリーブオイルの違い。感覚としてはそんな感じです。

質感を決める要素3、飲むときの温度

コーヒーの質感を決める第3の要素は、飲むときの温度帯です。

一般的に、液体は冷めてくると粘度が増しますので、コーヒーも同じように冷めてきたときのほうが粘度が高くなり、より質感の差がわかりやすくなります。特にクリーミィなものや、シロッピーなものは、より液体の重さ、粘度を感じることが出来るようになります。

冷めてくると、甘さや甘み系フレーバーを感じやすくなるというのは、実は温度による質感の変化が関連しているのかもしれませんね。

また、冷めてくると一口で飲める量も増えるため、結果、舌の上にコーヒーが止まる時間が長くなります。それが質感を違って感させる要因、というのもありそうです。

カップでも変わる質感の感じ方

前回、カップ形状の違いで、フレーバーや味、質感の感じ方が変わるという検証を行いましたが、質感については『一口の量』が関係しているようにも思えました。

まだ読んでいない方はこちら
→ コーヒーテイスティングカップとは|カップの形状で変わるコーヒーの風味

ちなみに、今回追加検証ということで、ハンドドリップとフレンチプレスで同じ銘柄のコーヒーを淹れ、質感を感じやすいカップでテスト。違いを確認してみました。

結果、質感重視で楽しめるフレンチプレスの方は、質感重視のカップとの相性の良さが際立っておりました。カップ形状によって、質感の感じ方も大きく変わっていました。

反対に、ハンドドリップの方では、カップ形状による質感の差は感じにくいという結果に。質感以外のフレーバーや味の違いが上回ってしまい、純粋に質感だけの比較が難しいという印象でした。

まとめ

以上、今回はスペシャルティコーヒーの質感について、お伝えしてきました。フレーバーや味、アフターテイストなどとともに、スペシャルティコーヒーを楽しむためのキーワードとして、ぜひ覚えておいてくださいね!

とは言え、言葉だけで質感を感じていただくのはなかなか難しい。そこでぜひ、ご自身で感じていただけたらなと思います。淹れ方を変えてみるのがもっともわかりやすいかなと。

ご自分で淹れられる方は、同じ豆を用いてペーパードリップとフレンチプレスの2種類で淹れてみて、飲み比べてみてください。お店で試される方は、抽出方法を選べるお店で、ぜひ飲み比べてみてくださいね!

コーヒーの質感

↑ 左:フランチプレス、右:ペーパードリップ。淹れ方で微粉の量が変わるので、液色も変わる。


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