ブリュワーに聞く『プロが考えるコーヒー抽出』美味しいコーヒーを淹れることとは

2018.11.01


先日ローストマスターチームチャレンジで見事日本一に輝いた一方で、THE COFFEESHOP には悔しさに涙する男も一名。コーヒー抽出の日本一を決める大会『ジャパンブリュワーズカップ2018』に出場も、残念ながら表彰に上がることができなかったブリュワー高橋。また来年もチャレンジすると意気込む高橋に、コーヒー抽出という工程について聞いてみました。

目次

  • コーヒーの『美味しさ』の意味を知ったのはプロとしてお店に立ってから
  • コーヒー抽出という工程は、いかにマイナスを作らないかが大切
  • ご自宅で簡単に美味しいコーヒーを淹れるなら、まず道具を揃えよう
  • まとめ|日々チャレンジ

コーヒーの『美味しさ』の意味を知ったのはプロとしてお店に立ってから

現役大学生でもありながら、THE COFFEESHOP ではブリュワーとして働く高橋。スペシャルティコーヒーの美味しさに触れ、もっとスペシャルティコーヒーを広めていきたい!という強い思いでお店に立っていますが、コーヒーの『美味しさ』の意味を理解できたのは、お店での研修を受けてからだったそうです。

ブリュワー高橋:

スペシャルティコーヒーを初めて飲んだ時、素直に『めちゃくちゃ美味しい!』と思いました。いままで飲んでたのは何だったのか?くらい。大袈裟ですけど、ホント違う飲み物なんだなと思いました。

それから、なんとなく都内の有名店を飲み比べ歩いたりしながら、興味を深めていきましたが、ある時ふと『美味しいってどういう意味だろ?』と思うようになったんです。スペシャルティコーヒー業界で働こうと思ったのは、それからです。

Q:

なるほど。『なんで美味しいのか?』については、ネットで調べれば出てきますからね。こちらのマガジンでも過去幾度となく触れている話題ですし。でも、『美味しさとは?』という質問には答えがない。禅問答のような質問ですよね。働き始めて、その質問の答えはわかったんですか?

ブリュワー高橋:

まだ経験が浅いので、わかったとは言い切れませんが、プロとしてお客様にお出ししていい『美味しさ』は、判断できるようになったと思います。THE COFFEESHOP に店舗スタッフとして加えていただいて、最初にガッツリ研修があるんですが、そこでの学習とそこからの経験とで、『美味しい』と『美味しくない』の境界線がわかるようになりました。

コーヒー抽出という工程は、いかにマイナスを作らないかが大切

『豆の特徴を際立たせることがブリュワーの腕だが、それ以前にいかにマイナスポイントを作らないかがもっとも重要。』

ブリュワー高橋:

入社してすぐに焙煎の萩原さんに教えてもらったフレーズです。先ほどの美味しさの定義の話題ともリンクしますが、コーヒーの抽出という工程は、From Seed to Cup (種からカップまで)というスペシャルティコーヒーの理念の中で、もっとも下流にあり、お店でコーヒーを楽しむお客様と直結する部分です。

ここで重要なことは、焙煎まで維持した品質を、いかに落とすことなく、カップに届けることができるかです。スペシャルティコーヒーは、収穫・生産処理の段階でどのくらい優秀な豆なのかが決まっています。その点数を下げることなく変化させるのが焙煎。そして、その焙煎に合った抽出方法で味を引き出すのが抽出という工程になります。

合わせて読みたい
→ コーヒー焙煎という仕事|ローストマスターズチームチャレンジ後記

Q:

マイナスを作らず、なおかつ特徴を引き出すことができればベストなんですね。例えば、最近取り扱った豆ではどんな事例がありましたか?

ブリュワー高橋:

ちょうど先日ジャパンブリュワーズカップがあったばかりなのですが、そのとき扱った豆は コロンビア-サンヴィセンテ でした。特徴としては、オレンジ、アメリカンチェリー、ピーチのようなフレーバーと、ブラウンシュガーのような甘さ、とろみのある質感があります。

これをエアロプレスで淹れると、フレーバーが際立ちスッキリと爽やかなコーヒーに仕上がりますが、甘さや質感はやや感じにくくなります。ではハンドドリップではどうかというと、今度は甘さが際立ち、フルーティーなフレーバーと明るい酸味が感じにくくなります。

高橋が示した2つの抽出方法は、どちらもマイナスを作らず、特徴を際立たせるというものです。大会では、その特徴すべてを出し切りたい!という思いを実現するために、いろいろな器具を使って検証を繰り返し、一つのレシピを作り上げるわけですが、お店やご自宅で淹れるときは、毎回そこまで突き詰めるのは物理的に無理です。

比較的自由度が低い抽出という工程でも、突き詰めるとキリがないほど奥深いものです。THE COFFEESHOP では、『美味しさの一定範囲』に入れることを最低条件に、その中でブリュワーたちが納得のいく仕事に励んでいます。

また『美味しさの一定範囲』を狭めていくために、日々、抽出技術のみならずカッピングスキルの向上も行っています。

ご自宅で簡単に美味しいコーヒーを淹れるなら、まず道具を揃えよう

自宅でも美味しいコーヒーは飲めるのか?というご質問は、お店にいただく良くある質問ランキングトップ3に入ります。答えとしては、道具とレシピさえあればご自宅でも簡単に美味しいコーヒーを淹れていただくことが可能です。

Q:

ご自宅で淹れたてもコーヒーを楽しみたいという方に、おすすめの道具はありますか?

ブリュワー高橋:

お店と同じ美味しさを目指すのであれば、焙煎豆でご購入いただき、豆を挽くところから楽しんでいただければと思います。そのためにはまず道具一式を揃えましょう。

ハンドドリップに必要な道具はコチラ
→ How to Brew ハンドドリップ

豆を粉砕するミルは、手動式でも十分ですが、飲む頻度や量が多い場合には電動がおすすめです。抽出の道具ですが、初心者の方はハンドドリップかエアロプレスがおすすめですね。ハンドドリップは操作によるブレが出やすいのですが、数回練習するだけで上手にできるようになります。

エアロプレスは、ハンドドリップに比べて器具自体がやや高価ですが、こちらも操作は簡単です。ハンドドリップよりも短時間で抽出できるため、サクッと淹れたい方には良いかもしれません。また、フルーティーなコーヒーがお好みの場合は、特徴が出しやすいためおすすめです。

エアロプレス抽出に必要な道具はコチラ
→ How to Brew エアロプレス

まとめ|日々チャレンジ

2018年のJBrC(ジャパンブリュワーズカップ)は表彰ならずでしたが、来年こそと意気込む高橋。また来年のチャレンジに期待しましょう!

ブリュワー高橋:

今回は残念な結果でしたが、出場してみてわかったことや経験できたことはたくさんあります。次回はそれも活かして勝ちたいです。コーヒーって、仕事じゃなくても一生関わっていくものだと思っているので、そこで結果を出すということは、これからの自分にとっても大きな自信になると思います。

というわけで、THE COFFEESHOP のスタッフは、これからも日々努力してまいります!応援よろしくお願いいたします!

合わせて読みたい|コーヒードリップを徹底ガイド!
→ ハンドドリップ式コーヒー おいしい淹れ方|道具・豆量・温度・コツを徹底解説


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