2018.05.03抽出

コーヒーの蒸らし時間は味にどう影響するのか|ハンドドリップ編

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『豆の質が味の質の大半を決める』と言われるスペシャルティコーヒーですが、抽出技術の違いによってもコーヒーの味に違いは生じます。

特にハンドドリップは、個人差が生じやすい淹れ方であり、注ぐ湯の量と時間の配分で、出来上がりのコーヒーの個性も変化します。

今回の検証では、ハンドドリップの最初の動作である『蒸らし』の時間について、その重要性について学んで行きましょう。

コーヒーの蒸らし時間

目次

ハンドドリップのレシピをおさらい

THE COFFEESHOP では、スペシャルティコーヒーの抽出レシピを器具ごとに分けて設定しています。

ハンドドリップの場合、基本レシピは【豆20g:湯300g】で、2分30秒〜3分00秒で抽出が完了する流れになります。

ハンドドリップ(ペーパーフィルター)の基本レシピ詳細はこちら
How to Brew ペーパードリップ|コーヒー淹れ方ガイド

蒸らしとはなんのためにあるのか

コーヒー抽出における『蒸らし』工程は、豆と湯を馴染ませるための大事な作業です。

コーヒー豆の表面は、目に見えない小さな穴がたくさん空いており、初めから一気に湯を注いでしまうとその穴から空気が抜けず、十分な抽出ができなくなってしまいます。

そのため、先に少量の湯で馴染ませ、豆表面の小さな穴にもしっかりと湯が行きわたるようにする作業が『蒸らし』という工程です。

蒸らし時間検証|実験方法

コーヒーの蒸らし時間と味

では、実験に入っていきたいと思います。

今回の実験内容は実にシンプル。

前述の標準レシピの蒸らし時間40秒に対し、短くした場合と、長くした場合でコーヒーを淹れ、その味と風味を確かめるというものです。

実験内容

今回の実験は、つまるところなぜ THE COFFEESHOP のレシピでは蒸らしを40秒にしているのかを確かめるものです。

40秒まで待たなくても湯との馴染みは十分なのではないか?

40秒以上馴染ませていればある程度オーバーしても問題ないのではないか?

という2つの疑問に対し、実際にやって確かめてみようという実験になります。

< 実験方法 >

  • 蒸らし時間40秒の標準レシピをAとする
  • 蒸らし時間20秒のレシピをBとする
  • 蒸らし時間60秒のレシピをCとする
  • レシピBとCの蒸らし後の抽出時間はそれぞれAに合わせるように調整
  • 抽出が終わる時間は3つとも同じ2分45秒(165秒)に合わせる
  • 出来上がったコーヒーの味をチェックする

コーヒー抽出蒸らし時間の検証

↑ グラフ横軸は時間(秒)。Aが標準レシピ。BとCは蒸らし時間を変え、抽出完了時間はAに揃えた。

蒸らし時間を変えた結果:コーヒーの味チェック

蒸らし時間を20秒、40秒(標準)、60秒と振って抽出した結果、出来上がったコーヒーは以下のようになりました。(豆は エチオピア コンガ ウォッシュト を使用)

上記は単純な “ボリューム” ですので、以下コメントにて追記していきます。

40秒蒸らし(標準レシピ):
フルーティで華やかなフレーバー、甘さを伴う酸味、長く続く後味など、しっかりバランスが取れている。冷めても美味しい。

20秒蒸らし(標準より短い):
フレーバーや甘さが出切っておらず、スッキリしすぎている。その分、酸味だけが際立って感じる。冷めてくると渋みも強く感じる。

60秒蒸らし(標準より長い):
雑味と渋みが強く出てしまい、その分甘さが感じにくい。冷めてくると苦味を強く感じ、雑味と混ざってさらに重く感じる。

考察|なぜ蒸らし時間の差でここまで味が変化するのか

上記結果の要因ですが、豆と湯の馴染み具合の差に加え、抽出前半で出てくる成分と、抽出後半で出てくる成分が異なることも、コーヒーの味に違いが出た要因なのではないかと考察しました。

味や風味は主に前半で抽出されていますが、そこで止めてしまうと、バランスが悪いコーヒーになってしまいます。そこに後半で抽出されるわずかな風味や渋みといった要素が加わることで、バランスが取れているのです。(ドリップ時の湯量を量ることの重要性|美味しいコーヒーを淹れるためには より)

20秒蒸らしの場合、味や風味などのポジティブな成分が出やすい抽出前半に多くの湯を注いでいるため、後半のバランスを取るための要素が少なくなってしまい、

60秒蒸らしの場合は、前半の成分が出るタイミングで湯量が不足し、後半のバランサーが多すぎたことで逆にバランスが取れなくなってしまったという結果です。

まとめ

今回の検証では、蒸らし時間のみにフォーカスし、標準レシピから20秒ずつ前後させてその出来上がりをチェックしました。

結果は上述の通りで、やはり短くても長くてもバランスが取れず、美味しいスペシャルティーコーヒーとは言い難い仕上がりになってしまいました。

ぜひご参考に、蒸らし時間はしっかり計って、美味しいコーヒーを淹れてくださいね!

次回は『蒸らしの湯量』についても掘り下げてみようと思います!

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