2018.05.17抽出

フレンチプレスでも『蒸らし』って必要なの?美味しいコーヒーを淹れるコツ

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比較的技術の差が反映されないフレンチプレスにおいても、抽出技術の違いによってコーヒーの味に違いは生じます。

『豆の質が味の質の大半を決める』と言われるスペシャルティコーヒーにおいてもその傾向は同じ。注ぐ湯の量や蒸らしの時間配分など、ブレる要素がある限り、個人差は生じます。

今回の検証では、コーヒー抽出の最初の動作である『蒸らし』の時間について、フレンチプレスを用いてその重要性を考察していきます。

目次

フレンチプレスのレシピをおさらい

THE COFFEESHOP では、スペシャルティコーヒーの抽出レシピを器具ごとに分けて設定しています。

フレンチプレスの場合、基本レシピは【豆20g:湯300g】で、4分00秒で抽出が完了する流れになります。

フレンチプレスの基本レシピ詳細はこちら
How to Brew フレンチプレス|コーヒー淹れ方ガイド

蒸らしとはなんのためにあるのか

コーヒー抽出における『蒸らし』工程は、豆と湯を馴染ませるための大事な作業です。

コーヒー豆の表面は、目に見えない小さな穴がたくさん空いており、初めから一気に湯を注いでしまうとその穴から空気が抜けず、十分な抽出ができなくなってしまいます。

そのため、先に少量の湯で馴染ませ、豆表面の小さな穴にもしっかりと湯が行きわたるようにする作業が『蒸らし』という工程です。

蒸らし時間検証 フレンチプレス編|実験方法

では、さっそく実験に入っていきたいと思います。

今回も前回ハンドドリップで蒸らし時間を検証したときとほぼ同様です。

前述の標準レシピの蒸らし時間30秒に対し、短くした場合と、長くした場合でコーヒーを淹れ、その味と風味を確かめました。

実験内容

今回の実験、気をつけないと深みにハマる可能性もあり…注意が必要です。

なぜなら、コーヒーの成分は現代においても未知のものが多く、どの成分が出ていてどの成分が出ていないなどの評価が数値化できないからです。

つまり、その判断はバリスタやロースターが『フレーバーウィール』を用いて行なっていくしかありません。

< 実験方法 >

  • 蒸らし時間30秒の標準レシピをAとする
  • 蒸らし時間なしのレシピをBとする
  • 蒸らし時間60秒のレシピをCとする
  • レシピBとCの蒸らし後の抽出時間はそれぞれAに合わせるように調整
  • 抽出が終わる時間は3つとも同じ4分00秒(240秒)に合わせる
  • 出来上がったコーヒーの味をチェックする

フレンチプレス蒸らし検証

↑ グラフ横軸は時間(秒)。Aが標準レシピ。BとCは蒸らし時間を変え、抽出完了時間はAに揃えた。

蒸らし時間を変えた結果:コーヒーの味チェック

蒸らし時間を0秒(なし)、30秒(標準)、60秒と振って抽出。出来上がったコーヒーについて、味と風味をチェックしていきます。

今回検証で使ったコーヒー豆は ブラジル シティオダトーレ イエローブルボン です。トロピカルフルーツのような甘い風味と、ブラジルらしいしっかりとした味わいを兼ね備えたコーヒーです。

蒸らし時間を変えた結果は、以下の通り。

30秒蒸らし(標準レシピ):
甘さ、フレーバーともにしっかり抽出されており、バランスが良い。
しっかりとしたボディ感と滑らかな舌触り。

0秒蒸らし(蒸らしなし):
フレーバーや甘さが出切っておらず、冷めてくると酸味が目立つ。
これはこれですっきりと美味しく飲めるが、豆の特徴という意味では活かしきれていない。

60秒蒸らし(標準より長い):
雑味と渋みが強く出てしまい、その分甘さが感じにくい。
後味も良くない。

なぜ蒸らし時間の差でコーヒーの味が変化するのか

上記結果の要因ですが、前回ハンドドリップで検証したときと同様に、抽出前半で出てくる成分と、抽出後半で出てくる成分が異なることが、まずひとつあげられます。(前回検証 → コーヒーの蒸らし時間は味にどう影響するのか|ハンドドリップ編

つまり、各成分が出るタイミングにどれだけの量のお湯が注がれているかがポイントです。

分析器にかけてもわからない話なのであくまで仮説ですが、飽和状態になるタイミングが成分によって異なり、湯量と蒸らし時間のバランスによって、甘さが強くでたり、雑味が強く出たりするのではないかということです。

加えて、フレンチプレスの場合は、蒸らし後の2投目を注ぐことが攪拌の意味も兼ねているのでは、というのが2つ目のポイントです。

こちらは実際に検証できることなのでやってみました。

『蒸らしなし』の条件でお湯を全量そそぎ、30秒後に攪拌してみました。

すると、先ほどの『蒸らしなし』条件とは異なり、しっかりと抽出され、甘さとボディ感が増しました。

しかし混ぜすぎてしまったためか、バランスが悪く、お世辞にも美味しいとは言えないコーヒーになってしまいました。

いずれにしても、フレンチプレスの場合は、上記2つの考察ポイントを含めた複合的要素によって、蒸らし時間の違いによる味の差が生じるという結果になりました。

まとめ

今回の検証は、ハンドドリップの蒸らし時間検証と似た結果ではあったものの、味の差に対する要因が1つに絞れず、深みにハマる結果となってしましました。

今回わかったこととしては、フレンチプレスでも蒸らし工程は絶対必要ということです。

蒸らし時間が不足しているとフレーバーが出切らず、蒸らし時間が長いと雑味が多く出てしまうという結果でした。

フレンチプレスで淹れるコーヒー…仕組みは一番シンプルですが、実は一番奥が深いかもしれませんね。

 

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