時間を計ればハンドドリップコーヒーはもっと美味しく淹れられる

2017.09.11


コーヒー抽出レシピの定番『ハンドドリップ』。おうちでももっと美味しく淹れられないだろうかと頭を悩ませている方も多いはず。そこで今回は、ハンドドリップで美味しく淹れるために欠かせない『時間をはかる』ということについて、触れていきたいと思います。

美味しくコーヒーを淹れる

ハンドドリップはもっとも手軽だが、その反面個性が出やすい

ハンドドリップは使用する器具が安価であり、手入れも簡単であるため、ご家庭でコーヒーを楽しむ際もっとも使用されている抽出方法です。

手順もそこまで難しくなく、初心者の方でも気軽に始めることができるという魅力がありますが、その反面、お湯の注ぎ方など『動作の癖』がコーヒーの味にダイレクトに表現されるため、淹れる人によって味の違いが出やすい抽出方法でもあります。

抽出で大事な要素は『豆量』『湯量』『時間』『挽き目』

THE COFFEESHOP で推奨している抽出レシピはこちらをご覧ください。
→ How to Brew ペーパードリップ|コーヒー淹れ方ガイド

上記リンク記事より、ペーパードリップでの抽出において大切な4つの要素をあらためてご紹介します。この4つをきちんと数字で管理することは『動作の癖』以外での味の違いが生じにくくなるため、安定して美味しいコーヒーを淹れるためにとても有効な手段になります。

  • コーヒー豆の量
  • お湯の量
  • 抽出時間
  • コーヒー豆の挽き目

コーヒー豆の量とお湯の量は、出来上がるコーヒーの濃さと関係があり、豆が多いまたはお湯が少なければコーヒーの味は濃くなり、逆であれば味は薄くなります。

コーヒー豆の挽き目に関しては、以前の検証記事で触れていますので、参考にしてしてみてください。
→ 検証|コーヒー豆の挽き目とコーヒーの味の関係とは

『時間』が変わると味も風味も変化する

さて、では本題である『抽出時間』について検証していきたいと思います。THE COFFEESHOP の推奨レシピでは、抽出時間は2分30秒を適正時間としています。今回の検証は、なぜ2分30秒なのかということを証明するための実験でもあります。

<実験内容>
『挽き目』『豆量』『湯量』の3要素を固定し、『時間』のみを3パターンで抽出し、出来上がったコーヒーの味と風味を検証する。使用豆はケニア-カイナムイ。器具はハリオV60ドリッパー。

時間はお湯の注ぎ始めから測定し、ドリッパーから落ちきるまでの時間を、THE COFFEESHOP 推奨レシピの時間である 2分30秒 と、そこから前後30秒ずつずらした 2分00秒3分00秒 で検証しました。

結果はこちら

抽出時間2分00秒(推奨時間マイナス30秒):

酸味…シャープで心地よくない
甘さ…あまり感じられない
後味…すぐに終わる
質感…水っぽい
香り…あまり感じない
苦味…あまり感じない

抽出時間2分30秒(推奨時間):

酸味…明るい甘さを伴ったグレープのような酸味
甘さ…ブラウンシュガーのような甘さ
後味…甘さが心地よく続く
質感…クリーミーで心地よい
香り…グレープやカシスなどの華やかな香り
苦味…ほどよい

抽出時間3分00秒(推奨時間プラス30秒):

酸味…渋みがあり重たい印象
甘さ…ほのかに感じられる
後味…渋みが長く残る
質感…ざらつきがある
香り…グレープのようなしっかりとした香り
苦味…最初から最後まで続く苦味

↑ 淹れた後、フィルター内の豆の見た目も抽出時間で異なりました。写真上が2分、下が3分です。
抽出時間をコントロールするには、注ぐお湯の勢いに変化をつける必要があるため、ドリッパー内での豆の動きにも変化が生じ、このように見た目も違ってきます。

味の総評として、抽出時間が短いと美味しいと感じる要素がしっかりと抽出されず、反対に抽出時間が長いと苦味や渋みなどのネガティブな要素が必要以上に抽出されてしまいました。

やはり推奨時間での抽出が、もっとも美味しいコーヒーとして仕上がりました。

その他の複合要素は

ハンドドリップで出来上がるコーヒーの味を決める要素は、前述の4つ以外にも複合的な要素が無数に存在します。

例えば水の違い。一口に水道水といってもその土地特有の硬度やphがあり、それによってもコーヒーの味は変化します。
→ 水が違うとコーヒーの味も変わるのか?硬度別で比較してみた

その他、お湯の温度や気温、カップの形状や材質なども、味を変化させる要素になります。

まとめ

ハンドドリップの抽出において、抽出時間を計ることがいかに重要か、お分りいただけだでしょうか?

↑ 抽出時間によって、コーヒーの色味にも変化が。写真左から2分、2分30秒、3分の順。

もちろん時間だけがコーヒーの味を決めているわけではなく、『挽き目』『豆量』『湯量』『時間』が揃ってはじめて完成となりますので、ご自宅で淹れる際は、ぜひこの4つの要素をきちんと管理して、美味しいコーヒーを楽しんでくださいね。
また、2分30秒という時間は、あくまでもTHE COFFEESHOPが推奨しているレシピでの適正時間になります。
豆の挽き目や、その他の条件が異なる場合は、適正となる時間も変わるため注意してください。

今回検証に使用したコーヒー豆および現在販売中のラインナップは、
こちら→ コーヒー豆販売ページ をご覧ください。

合わせて読みたい|コーヒードリップを徹底ガイド!
→ ハンドドリップ式コーヒー おいしい淹れ方|道具・豆量・温度・コツを徹底解説


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