ドリップ時の湯量を量ることの重要性|美味しいコーヒーを淹れるためには

2017.10.02


THE COFFEESHOP では、度々美味しいコーヒーの淹れ方をご紹介しております。その全てにおいて共通してお伝えしているのが、【お湯の量】をしっかり量るということです。今回の検証では、お湯の量と抽出される味について、見ていこうと思います。

美味しいコーヒーを淹れるための湯量

実験方法|ハンドドリップ使用

まず使用したコーヒー豆はこちら。

エチオピア サカロ
華やかなエチオピアらしい風味を持ったフローラルなコーヒーです。

ダークミックス
深煎りでしっかりした口当たりとほのかな甘さが残るオリジナルミックスコーヒーです。

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今回の検証は、ハンドドリップでの抽出にフォーカスして行いました。検証のための準備は以下の通り。

  • 耐熱グラスを複数用意
  • ドリッパーにフィルターと豆をセット
  • お湯を沸かす
  • 抽出スタート
  • お湯を注ぎ始めて最初の50cc、次の50cc、その次の50ccというふうに、別のグラスに分けていく

毎回50ccを測定するのは困難であったため、先に水で50ccを測定し、それと同じになるように目分量でグラスをチェンジしていきました。

6つに分けられたコーヒーの味をチェック

まずエチオピアですが、出来上がった6つのグラスを並べるとこのようになります。

右から順に、最初の50cc、次の50cc、その次の50ccと続きます。抽出したのは6つのグラスですので、約300ccのコーヒーを抽出したことに相当します。豆量はそれを想定して20g使用しました。

ちなみに、コーヒーの抽出は時間のコントロールによっても味が変化してくるため、今回の抽出完了の時間は2分30秒に設定しました(参考記事:時間を計ればハンドドリップコーヒーはもっと美味しく淹れられる)。

6つに分けたエチオピアのテイスティングしてみよう

では、実際に味を確認した結果を見ていきましょう。わかりやすいよう、一番色の濃い最初の50ccを1とし、以下薄まっていくごとに2、3、4、5、6とします。

コメントはロースター成澤より。

1:
とにかく濃い。フレーバーが詰まりすぎている。味が強すぎてそれぞれの区別がつかない。

2:
濃度感は良い。華やかなフレーバーではあるが、味は抜けている印象。

3:
コーヒー風味のお湯という感じ。ネガティブな要素は特にない。

4:
風味はこれ以降ほぼない。味は渋みがわずかにある程度。

5:
若干の渋みがあり、少し重たい質感。

6:
紅茶のような淡い渋みがある。

グラス単体での評価は以上の通りです。単体の場合、3までで風味と味の抽出は終わり、以降は渋みみのあるお湯という印象でした。最後の方ではネガティブな要素も感じられました。

続いてダークミックスのテイスティングしてみよう

次にダークミックスの評価を同じように行なっていきましたので、ご覧ください。

深煎りの豆なので、先ほどのエチオピア(中煎り)より濃い色のコーヒーが出来上がりました。

1:
とにかく濃い。味が強すぎて細かい点の判断が不可能。

2:
フレーバーが感じやすく、酸味も感じやすい。

3:
コーヒー風味のお湯という感じ。ネガティブな要素は特にない。

4:
風味はこれ以降ほぼない。苦味と渋みが出始めている。

5:
苦味と渋み。

6:
苦味と渋み。

グラス単体での評価は、先程同様に3までで風味と味の抽出がだいたい終わり、以降は渋みと苦味のあるお湯という印象で、最後の方ではネガティブな要素が感じられました。

↑ グラス1とグラス6の色の違い(エチオピア)。

グラス1と2を混ぜてみるとどうなるの?

さて、ここまでは単体評価ですが、今回の目的は美味しいコーヒーを淹れるための【湯量の重要性】をお知らせするということですので、6つのグラスに入っているコーヒーを順に混ぜていったときの評価も行なっていきます。

方法ですが、味と風味がよく抽出されている前半3つを混ぜた状態で評価し、そこに4と5を追加して再評価、さらに最後に6を追加して再評価という三段階で行いました。

結果は以下の通りです。

1+2+3:
フレーバーも酸味も感じることができるが、味も風味も詰まりすぎていて濃い。

1+2+3+4+5:
コーヒーとして楽しめるレベルではあるが、バランスに欠け、美味しいコーヒーとまではいかない。若干の渋みがある。

1+2+3+4+5+6:
バランスが取れ、渋みが消える。

エチオピア、ダークミックス、共に上記の結果になりました。

今回6つのグラスにわけ、適正の湯量で仕上がるようにしていたため、最後に6のグラスを混ぜた時のバランスの取れ方が非常に顕著でした。

まとめ:湯量は適正に

今回の検証で、注ぐお湯の量が少ないと美味しいコーヒーとして仕上がらないことがおわかりいただけたかと思います。

味や風味は主に前半で抽出されていますが、そこで止めてしまうと、バランスが悪いコーヒーになってしまいます。そこに後半で抽出されるわずかな風味や渋みといった要素が加わることで、バランスが取れているのです。

ご家庭でハンドドリップを行う時は、ぜひお湯の量にも気を配って、美味しいコーヒーを淹れてみてくださいね。

まとめ直し:お湯は少なくても多くてもダメ

ところで、お湯が多い場合はどうなるの?というご質問をいただきましたので、追記しておきます。

というわけで、グラス10個でチャレンジ。エチオピアの豆を使用し、豆量20gで抽出しました。レシピ通りであれば6個目のグラスまでが適正量となりますので、7個目以降のグラスに入る抽出液以降は【多すぎるお湯】によって出来上がったものとなります。

出来上がりはこのようになりました。

7個目から10個目のグラスは明らかに薄いことが肉眼でもわかります。

では、評価した結果を見てみましょう。

7:
薄い紅茶のような味。

8:
薄い紅茶のような味。出がらし感ある。

9:
薄い烏龍茶のような味。出がらし感ある。

10:
9と大差ない。

単体での評価は、コーヒーというよりも紅茶や烏龍茶の出がらしのような味で、ネガティブ要素のある薄い色付き湯というイメージでした。

続いて、前述の1から6を混ぜたもの(抽出レシピとしての完成形)に、7から10を順番に追加して評価していきます。

1〜6+7:
良い要素も多く残っているが、後味に嫌な渋みが残る。

1〜7+8:
良い要素が消える。

1〜8+9:
さらにぼやけた味になり、嫌な渋みと苦味が強くなる。

1〜9+10:
かなり不味い。

以上の結果の通りまとめ直しますと、今回の検証で注ぐお湯の量が少ないと美味しいコーヒーとして仕上がらないこと、そしてお湯の量が多くても同じように美味しいコーヒーには仕上がらないということがおわかりいただけたかと思います。

お湯が少ないと味やフレーバーが詰まって感じになりバランスが悪く、逆にお湯が多いとネガティブが要素が前面に出てしまい良い要素が消えてしまいました。

もう一度言いますが、ご家庭でハンドドリップを行う時は、お湯の量にもしっかりと気を配って、美味しいコーヒーを淹れてみてくださいね。

→ ハンドドリップの抽出レシピはこちら

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